お尻を着けるヒールサイドターン!体軸の移動を「3D」に考えるのがコツ

雪面・サマーゲレンデでお尻を着くヒールサイドターンをしている画像 カービング

今回は、サマーゲレンデトレーニングの中でもかなり高度な練習法をお伝えしていきます。

ということで、第7回目の内容を発表します。

前回の記事「角付けの効果」にあわせて、「より板を立たせる方法」をお伝えしていきます。

そして、今回は「ヒールサイドターン」に絞って考えていきます。

サマーゲレンデでの練習としてはちょっと難しいですが、最近では技術も進歩してきて、板を立たせる方が増えてきています。

サマーゲレンデでもお尻を擦りそうなほど低く滑る方もいるほどです。

今回の記事の内容は、私が実際に考えてお尻が雪面が着くことができるようになった方法と考えを書いていきます。

サマーゲレンデに限らずに、冬でも問題なく練習することができる内容ですので、今の内にイメージトレーニングに励んでいただけると嬉しいです。

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お尻を雪面に着けるヒールサイドターンがしたい!その気持ちわかります!

年々、スノーボードのカービングターンの技術が進歩してきているように思います。

今や、スキー場でお尻を雪面に着けて滑っている方も増えましたね。

そして、ここまで板を立てるとスノーボード特有の深く、且つ横移動がハッキリと見えるカーブになりやすいです。

その中でも雪面に近い姿勢で行われるカーブは、スノーボードをしている方の中でも異質に見えます。

この特異さから、攻めたカーブに魅了される方も多いのでしょう。

と言う私自身も、低くてエグいカーブをしている姿に魅力を感じていた時期がありました。

そのため、「お尻を雪面に着けたい」という気持ちはよく分かります。

そして、実際にお尻を雪面に、いや、今やサマーゲレンデでもヒールサイドターンのときに地面にお尻を擦ることが可能になりました。

それでは、どのようにすれば、お尻を地面に着けることができるのかをお伝えしていきましょう。

サマーゲレンデで攻めた練習をするなら必要なもの

サマーゲレンデで攻めた滑りをすることを考えるのであれば、まずは身の安全を守ることが大切です。

私は、服装を「長袖・長ズボン」「プロテクター各種」を装備し、手には自作した「ハンドプロテクター」を装備して滑っています。

身の安全のためにはしっかりとした装備が必要と言えるでしょう。

こちらに関しては、過去の記事で紹介していますので、そちらの内容を確認してもらえると嬉しいです。

これらで身の安全を確保したら、練習をしていきましょう。

お尻を着けるヒールサイドターンをするなら後ろ足重心のポジションがカギ!

後ろ足重心をおすすめする理由

ターンをする際のポジションは、人によって考え方が異なります。

そのため、ここでお伝えする方法は、あくまで私が「お尻を地面に着けれるようになったときの方法」としてお伝えします。

お尻を地面に着けるために、後ろ足重心を意識することをおすすめします。

理由は、ヒールサイドターンの特性に合わせて考えています。

その特性とは、

・前重心になりやすい
・板が立ちづらい
・ズレやすい

です。

前重心になりやすい

板が立ちづらい

板がズレる

これらの特性によって、「転倒する」という恐怖心から体が動かなくなってしまいます。

と言うことは、恐怖心を取ることができれば、体が動くようになるということです。

そこで、「後ろ足重心」にすることがポイントになってきます。

ママチャリで急な斜面を下っていることを、想像してみてください。

このときに、「前「後ろ」、どちらのブレーキを強くかけますか?

また、重心も「前」「後ろ」だとどちらにしますか?

前足重心と後ろ足重心

※スノーボードの場合の「前重心」「後ろ重心」

ママチャリで考えますと、大体の方は「後ろ」の方が強くブレーキをかけると答えるかと思います。

そして、重心も「後ろ」にすることでしょう。

このイメージがつかなかった方は、このあとの説明をみていただければ、わかっていただけるかと思います。

急な坂で前のブレーキを強くかけたとしたとしましょう。

この場合、後輪が浮くことが想定されます。

最悪の場合、前に吹っ飛んでしまう可能性もあります。

このことから、安全に止まるためにも、後ろのブレーキを強めるのです。

そして、スノーボードでも同じことが言えます。

重心位置を後ろにしておくことで、テールに重さが乗り、ズレたとしてもグリップ力が強くなるため安定感が出やすいのです。

後ろ足重心にする方法

後ろ足重心を取るための方法は、過去の記事を参考にしてもらえると嬉しいです。

こちらの記事の

「サマーゲレンデでカービングポジション④後ろ足重心で低いポジションの練習法」

にポジションの取り方が書いています。

よろしければ参考にしてみてください。

角付け量を増やすなら運動を組み合わせれば良い

角付けのやり方を確認

お尻を地面に着けるほどのヒールサイドターンをするということは、当然「角付け量を増やす」必要があります。

角付け量の違い

そのため、まずは角付け量を増やすことを考える前に、「角付けのやり方」を知っておきましょう。

角付けには大きく分けて、「体全体のリーン」「体軸の移動」「リーンアウト」「脚部での角付け」「ローテーション」の5つの方法があるとお伝えしています。

その方法は、下記の記事に紹介していますので、読んでいない方は一度読んでおくことをおすすめします。

角付け量を増やすなら運動を組み合わせる

先程の「角付けのやり方」を記した過去の記事を読んでいただけた方は分かるかと思いますが、角付けをするための方法には5つあります。

しかし、一つに絞る必要はありません。

しっかりとそれぞれにメリットとデメリットがあることを理解していることが重要です。

そして、それぞれのやり方を組み合わせることで角付け量を増やすことが可能になるのです。

それでは、お尻を着くほどのヒールサイドターンをするには、どの運動を組み合わせていけばいいのでしょうか。

答えは「全ての運動」です。

しかし、全ての運動を意識するのは、難しいですよね。

そこで、「体軸の移動」「ローテーション」「リーンアウト」に意識をもっていきましょう。

次に角付けをする方法をお伝えしていきます。

お尻を着けるヒールサイドターンをするための角付けの考え

角付け量を増やすための体軸の移動の考え

お尻を雪面に着けるほどのヒールサイドターンをするのであれば、まず角付け量を増やすことも必要になります。

この角付け量を増やしたいのであれば、腰を雪面に近づければ良いだけです。

しかし、この腰を雪面に近づけるほどの体軸の移動が、なかなか上手くいかないことが今回の悩みと言えます。

そこで、体軸の移動量を増やすための考えをお伝えしていきましょう。

内傾(リーン)を取ったあとに、さらに【腰を雪面に落とす】ことを試してみてください。

腰を雪面に落とす図

腰を雪面に近づけるようにすると、バインディングのハイバックを押して、角付け量が増えます。

これにより角付け量が増えつつ、腰を雪面に近づけることができるのです。

体軸の移動を「3D」で考える

お尻を雪面に着けるほどのヒールサイドターンをしたいのであれば、動きを「3D」で考えることがポイントになります。

「3D」というのは、横から見た図と、上から見た図の複合です。

横から見た図と上から見た図

横から見た図では、板に対して「前・後ろ」「上・下」の動きしか把握しづらいです。

しかし、上から見た図を見ると、板に対して「横」の動きができることがわかりますね。

その分、「上・下」の表現がわかりにくいです。

そこで、この「横から見た図」と「上から見た図」の双方の特徴がわかるように、「斜め上から見た図」でイメージしてみましょう。

斜めから見た図

上記の画像では、「横」「上・下」「前・後ろ」の動きがわかりやすい図になります。

そして、「3D」で見たときに、動きたい位置の重なり合う点(重心が最終的に行き着く位置)を作ります。

今回の場合は、お尻を雪面に近づけるためのヒールサイドターンですので、「安定性」「多い角付け量」が必要になります。

・安定するために「後ろ足重心」に

・角付け量を増やすための「体軸の移動」をする

と分解して考えると、短いターンの時間には動ききれないことが多いです。

そこで、【1アクション】最終的に重心の行き着く位置に体を動かしていけば、短い時間で体軸を落とし込むことがしやすいのです。

それでは、お尻を雪面に近づけるほどのターンのやり方を考えてみましょう。

▼斜めから見た体軸の移動のGIF

斜めから見た体軸の移動GIF

▼横に近いところから見た体軸の移動のGIF

横に近いところから見た体軸の移動GIF

上記のGIFのとおり、「横(リーン)」「下(雪面方向)」「後ろ(テール方向)」の線の重なり合う「赤い点」を目がけて、左のお尻を動かしていきます。

これで、体軸を使っての傾き(リーン)はとても大きくなり、ターン前半部で大きく傾くことが可能になるのです。

ローテーションでエッジグリップを強くする

体軸の移動によるリーンの取り方はわかりましたね。

しかし、リーンを強く取れる方でないと、意外に傾くことはできないものです。

そこで、角付け量を増やしていく動きをさらに追加していきます。

それが「ローテーション」です。

ローテーションしていく体の部位は、「前足首」「前ひざ」「腰」「肩」「頭」です。

このローテーションは連動しています。

ローテーションの説明図

足元に近いところほど「板に影響を与えやすく」、頭に近い位置ほど「板への影響は少ない」です。

しかし、足元に近いところはバインディングで固定されていることもあり、「体の可動域が少ない」という特性もあります。

この足元の可動域を広げるのが、各部位の上の部位なのです。

もう少し細かく説明しますと、

・「足首」の可動域を広げるのが「ひざ」
・「ひざ」の可動域を広げるのが「腰」
・「腰」の可動域を広げるのが「肩」
・「肩」の可動域を広げるのが「頭」

ということです。

また、ローテーションをする理由は、他にもあります。

それは、「ターンの向きに体が遅れないようにするため」です。

今回のように板の角付け量を増やすカービングターンをしますと、今までのターンよりも板が急激に曲がってきます。

そのため、体が遅れやすいのです。

▼ローテーションを使ったターンのGIF

ローテーションを使っているターンの図

※先行する意識をすることで、ターンに体が合っている

▼ローテーションが遅れているターンのGIF

※目線が板に追いついておらず、体が反応し切れていない

この体の遅れを生じてしまうと、板に力が伝わりにくいだけではなく、バランスを崩す方向に力を加えてしまいます。

これを回避するためにも、最初の内はローテーションを推奨しています。

なお、ターンに合わせてローテーションができる上級者の場合は、逆にローテーションをある程度止めるような動作をする方もいます。

これは、あくまで適切に体を動せることが前提です。

技術を習得するのには、段階があると考えていただくと良いでしょう。

今回のカービングターンの練習をしたい方は、ローテーションを使うことをおすすめします。

リーンアウトを使って角付けを強める

ここでのリーンアウトの取り方は、「右肩を左肩を平行にしたまま、両手を下げる」という方法です。

リーンアウトで重心を落とす

上半身を前に屈折させるのではなく、腰を雪面に押しつけるために、上半身で腰を落とすサポートをするという考えです。

サマーゲレンデで練習する際にも、手にハンドプロテクターをつけているのであれば、左手を地面に着けにいっても大丈夫かと思われます。

ただ、腰が落ちる感覚がわかったら、後々は手を雪面に着けずに、お尻が着くところまで移動できるようにできるとなお良いです。

お尻を着けるヒールサイドのやり方

それでは、実際にどのようにヒールサイドターンをしていくのかをまとめていきます。

1.ターンの入りで、【左股関節】を「3D」に考えた「板の横側+テール方向+雪面方向」の交わるポイントに引いていく
2.「足首」「ひざ」「腰」「肩」「頭」の順番にローテーションしていく
※ほぼ同時に動かす意識
3.両肩を平行にした状態で、両手を下げて腰を落とし込んでいく
4.ポジションをリセットしていく
▼上からのGIF
ヒードサイドターンのイメージ(上)
※文字入りのため、スピードをゆっきりにしています。
▼横からのGIF
※上からのGIFに文字を入れているため、横からの図では割愛します。

成功させるポイント

ドラグしていないか確認

まず、お尻を着けるほどのヒールサイドターンをするのであれば、「ヒールカップ」が「ドラグ」していないことは必須です。

雪の場合は、本当に多少であれば問題はありませんが、「座った状態で足をある程度伸ばして、エッジが完全に浮いてしまっている」場合は、ドラグし過ぎと言えるでしょう。

ヒールカップがドラグしている図

もしドラグしている場合は、バインディングの角度を「プラス」か「マイナス」に振っていきましょう。

カービングターンをメインに考えているのであれば、「プラス」にアングルを振っていくことをおすすめします。

アングルの他の対策としては、プレートと呼ばれる足元の笠を増すことができるアイテムを使ってもドラグ軽減となります。

思い切った動きが大切

今まで以上に体を傾けることになるため、思い切って動く必要があります。

ゆっくり角付けをしてしまったときの動き
※ゆっくり動いてしまったときのイメージ

ゆっくり動きすぎると、思ったようにリーンが取れないままターンが終わってしまいますので、しっかりとリーンが取れるように体軸の移動を思い切って行いましょう。

思い切って動くと言っても、「筋肉を緊張させてターンに入る」というわけではありません。

逆にリラックスして角付けしていった方が内傾が取りやすいです。

力を入れすぎずに、ターンに入っていきましょう。

なお、サマーゲレンデで試す場合は、転倒の危険性は雪面よりも高いです。

このことを頭に入れておいてください。

また、しっかりと防具を身につけて怪我をしないようにお気をつけください。

低めの姿勢を作ってターンに入る

ターンに入るときに、事前に脚を曲げて低い姿勢を作っておくこともおすすめです。

お尻を着けるほど低くなるヒールサイドターンをすることになるので、ターンの始まりですでに板に対して低い姿勢が作れていれば、雪面との距離は少ないです。

低姿勢からヒールサイドターンに入るGIF

低い姿勢になっているとターンに入りづらい傾向にありますが、思い切って腰を斜面下側に落とせれば、意外に簡単に腰を落とすことができるかもしれません。

エッジ長の長い板に乗る

板のスペックに頼る、という選択もあります。

板のエッジ長が長ければ、自身でバランスを取れなくとも、板がカバーしてくれる可能性もあります。

最近では「ハンマーヘッド」という四角い板がカービングメインの板として出ていますが、カービングメインというだけあり、そのスペックはとても素晴らしいものがあります。

しかし、多くの板は乗りこなすにも技術が必要ですので、全てのユーザーにおすすめとは言えません。

ただ、「板が安定するもの」という感覚を得るためということであれば、良い経験かと思います。

冬のシーズン中盤以降になると、試乗会などもありますので、そこを使って長い板に乗ってみることをおすすめします。

この雪面に近づくターンをするのであれば「BC-STRAM」というメーカーの「RX」というモデルに乗ってみてもらいたいですね。

とても長い板のラインナップがありますが、カービングターンをする板の中では比較的柔らかめの設計のため、乗りやすい板です。

長さは男性なら「169cm」、女性なら「164cm」に乗ってみてもらえると今までと違う感覚を得られると思います。

まとめ

お尻を雪面に着けるほどのヒールサイドターンをする方法についてお伝えしました。

今回の方法は、あくまで低姿勢のカービングターンをするための一つの方法です。

次のステップになると、今回とは別の考えをする必要もあります。

ただ、今回の方法は、比較的簡単に雪面に近づくことができ、エッジグリップも体感しやすい方法となっています。

まだ雪面に近づくことが難しいと感じている方には、ぜひ試してみてほしいですね。

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