カービングターンのポジショントレーニング!サマーゲレンデでの練習法

カービングターンのポジショントレーニングをしている画像 カービング

サマーゲレンデでのスノーボードのカービングターントレーニング第4弾です。

今回は、「実際にポジションを変えて滑ってみる」という練習編です。

前回までは、カービングターンをする際のポジションの効果について考えてきました。

私が感じている効果については、前回までの記事でお伝えしていますので、読んでない方はこちらから目を通しておくことをおすすめします!

この私の感覚とは違う感覚を得られるかもしれませんので、自身の感覚を養うための練習をしていきましょう。

サマーゲレンデは、足場がしっかりとしているため、ポジションによる違いを感じ取る練習がしやすいですよ。

冬でも練習になるので、試してみてください。

※2019/10/08に「支持基底面」と「重心」について第1章に追記しています。

スポンサーリンク

サマーゲレンデでカービングポジションを変える練習をするときの考え方

ポジションは基本的に板の支持基底面内で動く

まずは、実際にサマーゲレンデでカービングターンのポジションを変える練習をする前に、頭に入れておいていただきたい考え方をお伝えします。

まずは、「支持基底面」という言葉を知っていただきたく思います。

支持基底面とは、主に介護などで使われる言葉であり、「体を支えるために必要な基礎の床面積」のことです。

一般的に人が立っているときには、下記の図の赤い線の範囲のように両足間の範囲になります。

▼支持基底面のイメージ図

支持基底面

上記の図のように、両足の幅を広くすれば、その分体を支える基礎の床面積は広くなります。

この支持基底面の範囲内に重心があることで、倒れずに立つことができると言われているのです。

それでは、この支持基底面上にあるべき、「重心」についてもお伝えします。

直立した状態における体の「重心」は、足の底から計算されることが多く、成人男性の場合は約56%の位置、成人女性の場合は約55%の位置と言われています。

場所は、脊椎の最下部に位置する三角形の骨の「仙骨」と呼ばれる場所の「やや前方」に重心があるとされています。

これでは、わかりにくいので簡単に考えると、「おへそよりもやや下の奥側の位置」です。

ただ、これは直立しているときの場合の話です。

姿勢を変えると、この重心の位置は変化していきます。

▼重心のイメージ図

重心

上記の図を見ますと、直立時と比べて、横に伸びる動作は斜め上に重心がズレます。

そして、バク転のように動き続ける体勢では、体勢ごとに大きく重心が移動していくことになります。

場合によっては、体の外に重心がくることもあると言われているのです。

そのため、常におへその辺りが重心になるとは限らないことを頭に入れておくと良いでしょう。

ここまで、基本的な支持基底面と重心について触れたところで、「スノーボード」に変換してお話ししていきます。

スノーボードのカービングのポジションは、基本的に「板の支持基底面(しじきていめん)内でどのように、どこに乗るのか」がポイントになります。

この「板の支持基底面」は、通常の直立時の支持基底面とは異なると考えています。

スノーボードにおける支持基底面は両足に板を装着しているため、両足間の幅ではなく、「装着している板の長さと幅」が基底面となると言えるでしょう。

地面と垂直に立ったときの支持基底面内に収まるポジション

上記の図のように、「前と後ろ」には長く、「横」には狭いということです。

そして、板が立っている状態であればエッジ付近(板が雪面に接している範囲)が面積となるため、より横幅は狭くなります

カービングターンをしているときの指示基底面上のポジション

この支持基底面内に、重心が収まっていることが重要と考えています。

このように考えますと、カービングターンでのポジションはシビアということがわかっていただけるかと思います。

自身が思っているよりも大きく動いてみる

カービングターンをしてズレる方には特に気にしてほしいのですが、「自身が思っている以上に大きく動く」ことを意識してみてください。

私は、よく自身の動画を撮って滑りを確認するのですが、その際によくあるのが「やっているつもり」になっていることがあります。

例えば、

・いっぱいいっぱい重心を前に動いているつもりでも、実はそこまで動いていない
・重心を後ろにしているつもりでも思っている以上に乗れていない

ということです。

やっているつもりの動き

※画像のフィギュアは多少の重心移動をしているが、板の中心から動いていけていない

なぜこのように重心移動量が少なくなるのか、を考えてみました。

恐らくですが、自身が制御している範囲でしか動くことができないことが原因だと思います。

「動くことによる効果を知らない、または体感していない」ため、知らずのうちに恐怖心が出て、動くのを抑制してしまうということです。

だからこそ、効果を体感するためにも、自身が意識している以上に動く必要があると考えています。

私自身、実際に限界を超えるように動いています。

例えば、

・ターンの切り替えでノーズ側に飛び込むように動いてみる
・テールプレス(ノーズを浮かす)をし続けてターンをする

などの練習をすることがあります。

思い切って動いたときの図

こちらは極端な動きのため、本当に重心の移動量を増やしたいときにのみ行っています。

また、サマーゲレンデでは、怪我する恐れもあるため、ここまではすることは基本的には少ないです。

しかし、気持ちやイメージでは、これに近いぐらい大きく動こうと考えています。

そして、私の体験から考えますと、実際に大きく動けるようになったタイミングは、「変化が感じられたとき」でした。

例えば、大きく動くことによって「安定する」ことがわかったとしましょう。

安定するので、そこまで動いた方が良いことは明白です。

このことを脳が認識することで、恐怖心による制御が減り、自身の動ける範囲が広がるということです。

また、「板がたわむ」ことを理解したときも同様です。

効果が範囲まで大きく動いた方が、「ターンが楽になる」ということがわかりました。

このように体感し、頭で理解できるからこそ制御しているリミッターが外れていき、「動ける幅が広くなる」、というわけですね。

滑りの幅を広げるためにも、自身が意識している以上に大きく動く練習をしてみることをおすすめします。

複合運動ではなく単一運動も試す

ターン中に適切にポジションを変えられる方は、1つのポジションに絞って滑る必要はないかと思います。

しかし、まだポジションが定まっていないと思う方は、ぜひ1つのポジションに絞ってターンの練習をしてみてください。

理由は、最初から複合運動をしてしまうと、「それぞれのポジションの効果を感じ取りきれない」からです。

例えば、ターン前半で「前足重心の高いポジション」にし、ターン後半で「後ろ足重心の低いポジション」にしたとします。

複合的なポジション

たとえ微量であっても、このようにターン中にポジションを変えると、なんとか滑れてしまうものです。

しかし、なんとか滑れる、ということは意図的ではないはずですよね。

1つのポジションの効果を本当の意味で感じ取っていないことになりますので、再確認するためにも、ぜひ1つのポジションに絞ってターンをし続けてみてください。

また、できることなら動く意識をより大きくしてみることをおすすめします。

なお、サマーゲレンデではポジションを変えることはとても難しいことですので、最初は無理にカービングターンにせずにスライドターンからトライしても大丈夫です。

ポジションを変えることで、スノーボードでターンをするときに、どのような違いがあるのかを感じてみましょう。

サマーゲレンデでカービングポジション①前足重心で高いポジションの練習法

前足重心で高いポジションで滑る練習方法をお伝えしていきます。

■前足重心の高いポジションを作る方法

前足重心の高いポジション

1.腰の位置を前足の上に持ってくる
2.頭を前に出しすぎないようにする

ポイントは、「腰の位置を前足の上に持ってくる」ことです。

「頭を前に出さない」ように注意してください。

前足重心の高いポジションのだめな例

頭を前に出してしまうと、前傾になりすぎて力が逃げてしまうなど、高いポジションを活かしきることは難しいでしょう。

この練習をするときは、「棒立ちカービングターン」を意識すると、どのような効果があるのかが感じ取りやすいです。

このポジションの場合、特に効果を感じるのはターン前半でしょう。

なお、このポジションで滑ると、多くの場合はターン後半でテールがズレてしまうことかと思います。

サマーゲレンデでは、特にこのような影響を受けやすいです。

この理由は、高いポジションの「切り替えはしやすいが地面に近づくまでが遠い」という特徴にあります。

一方で、角づけ量を増やすことができれば、地面側へのエッジグリップが強くなり、ズレにくくもなります。

また、ノーズもたわみます。

このようにこのポジションで大きな効果を感じたいのであれば、「体を動かす速さ(角づけの速さ)」を意識すると今までと違う効果が感じられるかもしれません。

サマーゲレンデでカービングポジション②前足重心で低いポジションの練習法

■前足重心で低いポジションを作る方法

前足重心の低いポジション

1.前足のスネをブーツのタンに当てて足首を曲げる
2.腰の位置を前足の上に持ってくる
3.頭を前に出しすぎないようにする
4.ひざと股関節を曲げて低めの姿勢を作る

高い姿勢のときと近いですね。

違いは、「前足のスネをブーツのタンに当てて前足を曲げる」ことが追加されていることです。

スネをブーツのタンに当てて足首を曲げている図

前足重心のまま低いポジションになるためには、後ろ足はそこまで曲げずに、前足を曲げる必要があります。

そして、ここでも注意してほしいのは、「頭を前に出さない」ことです。

前足重心の低いポジションのダメな例

あくまで重心位置を前足の上に持ってきたうえで低い姿勢を作るからと言っても、頭を前に出すのは違いますよ。

あとは、ひざと股関節を曲げて低めの姿勢を作ればこのポジションができます。

それでは、このポジションでの練習方法をお伝えします。

「ターンの入り」で、スネがブーツのタンに当たるようにしてみてください。

ただ、ヒールサイドターンでは、スネをブーツに当てようとするあまり、リーンが弱くなる可能性もあります。

そのため、ターン中は無理にスネに当て続けることはしなくとも大丈夫です。

ただ、ターンに入る際には、前足のブーツのタンにスネを当てて足首を曲げてターンに入ってください。

ヒールサイドターンでは、スネをブーツから離しがちですので、ここではヒールサイドターンの入り方をお伝えします。

ヒールサイドターンでスネを当てつつターンをするコツとしては、切り替えで一度基本姿勢を作り、前足のスネがタンに当たっていることを確認してから、リーンを取ります。

前足首を曲げた状態でヒールサイドターンに入る図

この練習で感じてほしいのは、ターンの入りでのエッジの噛みの早さとターン前半のエッジグリップです。

そして、重要なのは重心移動による角づけです。

重心をターン内側に入れることができれば、サマーゲレンデであっても、より強いエッジグリップが感じやすくなります。

ただ、前足重心に居続けてしまうと、後半にズレてしまうこともありますので注意してください。

後半のズレを減らす方法は、「エッジグリップを強くする」「ポジションを後ろ足側に移動すること」です。

サマーゲレンデでカービングポジション③後ろ足重心で高いポジションの練習法

次からは、後ろ足重心のパターンを考えていきます。

■後ろ足重心で高いポジションを作る方法

後ろ足重心の高いポジション

1.腰の位置を後ろ足側に引く
2.頭の位置は後ろには引かない

後ろ足に高いポジションで乗る場合は、腰の位置を後ろ足側(テール側)に引くことが必要です。

このとき、頭の位置を後ろに引かないようにしてください。

頭を後ろに引いてしまうと、後傾になってしまいます。

後ろ足重心の高いポジションのダメな例

後傾と後ろ足重心は異なります。

後ろ足重心にするためには、頭は板の真ん中か、少し前に出します。

これで、後傾になりづらくなるでしょう。

また、ターンの練習をする際は、こちらも「棒立ちカービング」がおすすめです。

このポジションで感じてほしいのは、ターン後半でエッジグリップが強くなることです。

後半のエッジグリップの感覚がわかると、後半で板を蹴ることができるようになり、板を瞬発的にたわませて反発させることができます。

このような技術を身につけることもできるため、練習してみることをおすすめします。

ただ、サマーゲレンデの場合は力がかかり過ぎて、エッジがすっぽ抜けてしまうこともあります。

そのため、無理はしないでください。

サマーゲレンデでカービングポジション④後ろ足重心で低いポジションの練習法

■後ろ足重心で低いポジションを作る方法

後ろ足重心の低いポジション

1.後ろ足のスネをブーツのタンに当てて足首を曲げる
2.腰を後ろ足側に引く
3.頭を後ろに引かない
4.ひざと股関節を曲げて低めの姿勢を作る

こちらも基本的な動きは高いポジションと近いです。

そして、違いとしては、「後ろ足のスネをブーツのタンに当てて足首を曲げる」ことです。

それに合わせて、ひざと股関節を曲げて低めの姿勢を作ります。

このようにポジションを作る理由は、お尻が出尻にならないようにするためです。

足首が曲がることにより、足首、ひざ、股関節の曲がり角が近くなり、板の上でバランスが取りやすくなります。

※ヒールサイドターン中は、スネがブーツから離れてしまうため、気にしなくとも問題なしです。

また、後ろ足のアングル角が「21度」以上入れている方は、お尻をテール方向に向けて後ろ足のひざを曲げることで、体全体を板の支持基底面内に収めることも可能です。

その際には、後ろ足のひざを内側にいれるようにすることがポイントです。

後ろ足重心の低いポジションで支持基底面内に収まる図

※後ろ足が「18度」以下であっても、同じ方法を取ってみても良いでしょう。柔軟性次第ではお尻を板からはみ出さないようにできます。

また、高いポジションと注意点は同じであり、頭を後ろに引かないように注意しましょう。

そして、このポジションでの練習で感じやすいのは、ターン後半の安定性です。

テールのエッジグリップが感じやすいでしょう。

ただ、脚を曲げることばかりを意識してしまうと、板が立ちにくくなってしまいます。

サマーゲレンデの場合は、特に板がズレやすいです。

そのため、脚の曲げを意識するよりも、「腰の位置を後ろ足側に引く」ことを意識した方がエッジグリップを感じやすいです。

また、ヒールサイドターンでは、特に後ろ足重心にしづらいので、意識を強くもっておくと良いでしょう。

サマーゲレンデでカービングポジション⑤ターン中にポジションを変える

先程までは、1つのポジションでターンをする練習についてお伝えしました。

しかし、それでは実際にカービングターンをしていく際にポジションを当てはめていきましょう。

ここではシンプルに「ターン前半」と「ターン後半」で考えてみます。

よくある組み合わせは、

ターン前半・・・前足重心で高いポジション
ターン後半・・・後ろ足重心で低いポジション

です。

カービングポジションの重心移動01

これは、ベーシックターンや、検定のスライド系によく使われるポジションです。

他には、

ターン前半・・・前足重心で低いポジション
ターン後半・・・後ろ足重心で高いポジション

です。

カービングポジションの重心移動02

この記事では、ポジションの高低を板の上としているので、その考えであればダイナミック系のターンのポジションになります。

上記の2つのポジションに、運動の「立ち上がる・しゃがむ」「かかえ込む・伸ばす」などを組み合わせることで、種目の滑りができます。

それでは、運動のことをあまり意識せずに「カービングターン」のポジションを考えてみましょう。

ターン前半・・・前足重心で低いポジション
ターン後半・・・後ろ足重心で低いポジション

カービングポジションの重心移動03

実際には多少の高低差はあるものの、斜面に対して低いポジションを意識することで、素早い切り替えやエッジングが可能です。

また、ズレを使っていくカービングターンとしては、

ターン前半・・・前足重心で高いポジション
ターン後半・・・後ろ足重心で高いポジション

という板の方向を大きく変えて横方向に板をズラして側圧を強くもらう方法もあります。

カービングポジションの重心移動04

このカービングターンを行うには、高い姿勢であっても、切り替えの際に速い動きでリーンを取ル必要があると言えます。

それに加え、リーンアウトを使って板側に乗り込むことが必要であり、上手く乗り込むことができれば大きな外力(側圧)をもらうことができます。

アルペンレーサーのような滑りを意識してもらえれば、イメージが湧きやすいでしょう。

このように大まかに分けた4つのポジションの組み合わせでも、滑り方が異なります。

そして、更に「高い」「低い」「前足重心」「後ろ足重心」には微妙な調整の幅があり、何通りものポジションがあると言えるのです。

その微妙なポジションの変化をコントロールすることで、本当の意味で安定した様々なターンができます。

ぜひ、自身でも色々なポジションの組み合わせを試して、最適な位置を見つけてみてください。

また、ターン中のポジジョンの変化だけを気にするのではなく、切り替えの際の基本ポジションを通ることも意識できるとより良いでしょう。

詳細の理由は下記の記事に記しています。

まとめ

今回は、ポジショントレーニングということで、意識すべきことをお伝えしていきました。

ポジションの練習をする際にも、「板の設置面積上に乗る」「自身が思っているよりも大きく動く」ことが大切です。

一つ一つのポジションの効果の違いを感じたら、複合してターンのどのタイミングで、どのポジションを取れば良いのか、を色々と試してみてください。

なお、サマーゲレンデで「大きく動く」ことや「慣れないことをする」と転倒の危険性があります。

怪我のないように、しっかりとプロテクターなどを着て練習するようにしてくださいね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました