- 前回の記事で、スノーボードでカービングターンをする際に、分解した4つのポジションにどのような効果があるのかをお伝えしました。
今回のサマーゲレンデトレーニングの第3弾は、4つのポジションの組み合わせについて考えていきます。
今回も冬にも使える内容です。
4つの組み合わせたポジションとは、
②前足重心で低い姿勢のポジション
③後ろ足重心で高いポジション
④後ろ足重心で低いポジション
です。
「高い姿勢」「低い姿勢」「前足重心」「後ろ足重心」それぞれのポジションで、効果が異なる中で、組み合わせるとさらにどのような効果を生んでいくのでしょうか。
今回は、斜度やターンの大きさは自身が気持ち良く滑られる範囲を仮定して考えていきます。
カービングターンのポジション①前足重心で高い姿勢のポジション
高いポジションの効果の総評は、
・切り替えがしやすいが、雪面のアプローチが遅い
・ターン中には板に力が加わりやすいが、起き上がるのが遅い
前足重心の効果の総評は、
・ノーズがたわみやすいが、タイミングが悪いと詰まる
・操作性を向上させることもできるが、テールがズレやすい
と私は考えています。
それでは、この2つを組み合わせた場合はどうでしょうか。
使いどころを考えてみましょう。
「ターン前半」「ターン中盤」「ターン後半」で考えてみます。
高いポジションのため切り替えがしやく、前足重心のためノーズがたわみやすいです。
その分、リーンを取るためには、時間がかかります。
このことから、横幅のあるターンに効果的と考えています。
もしくは、切り替える際に次の斜面側に飛び込むようにするのであれば、ターンサイズは考えなくともたわみを与えることもできるかもしれません。
ターン中盤では、高いポジションを作ることで、板に力を加えやすくなります。
その分バランスを崩しやすいです。
雪面状況にも対応がしにくいと言えます。
ターン後半で、前足重心で高いポジションになってしまうと、ノーズが詰まりやすいです。
減速要素が強くなる傾向にあります。
また、詰まった結果、前に飛ばされてしまうこともあります。
ただ、ターン後半で切り替えの意識をする場合には、あえて「重心を前に動かしていく」ことはあります。
あくまでこの動きは、「意図的に動いていく」場合の話です。
意図せず「前足重心になってしまう」場合はバランスを崩す可能性が高いです。
カービングターンのポジション②前足重心で低い姿勢のポジション
前足重心で高いポジションの次は、低いポジションです。
そもそも、低いポジションの効果の総評は、
・ターン中は安定しやすいが、外力を受ける量が弱くなる
・切り替えがしにくいが、切り替え動作ができれば、雪面へのアプローチが早い
と考えています。
それでは、前足重心と組み合わせた場合の効果を考えてみましょう。
ターンの切り替えがしにくいため、切り替えの練習が必要です。
低いポジションで切り替える方法としておすすめなのは、板の反発を利用した切り替えです。
反発を次のターンに活かすことで、オーバークロス(板の上の重心移動)だけではなく、アンダークロス(脚部の切り替え)の割合が多くなり、楽に切り替えができます。
これにより、雪面へのアプローチがしやすいでしょう。
また、前足重心にいるため、ノーズのたわみも得られやすいと考えています。
ただ、板の反発を利用するには、技術が必要であるため、この方法は基本ができるようになったうえでの技術です。
そのうえで、重心を前足側に移動させるので、より高度な動きと言えるでしょう。
この方法ができれば、ミドルサイズのターンなどがしやすくなります。
ターン中盤も低いポジションを作ることで、バランスが取りやすくなります。
しかし、低いポジションを作ってしまうと板は立ちにくいです。
そのうえで前足重心であるため、エッジグリップが弱くテールがズレやすいと言えます。
中盤でもお伝えした現象が同じく起こりやすく、前足重心のため、テールがズレやすいです。
切り替えの意識を意図的に持って、動き始めるのであれば効果的ですが、動けずにこのポジションを作ってしまっている場合は、バランスを崩してしまうことでしょう。
カービングターンのポジション③後ろ足重心で高いポジション
次は、後ろ足重心の場合について考えていきます。
後ろ足重心の場合の効果の総評は、
・板の立ちが弱いとノーズがフォールラインに落下してしまう
・ターン中盤でのテールのエッジグリップが強くなる
・重心移動ができれば抜けが良いが、後ろに居続けると走りづらい
という考えです。
それではまず、高いポジションとの組み合わせについて考えていきましょう。
後ろ足重心で高いポジションを作った場合は、前足に重さが乗らないので動かしやすいです。
しかし、注意しなければいけないのが、「後傾」にならないようにすることです。
後継とは、上半身がテール側に寄ってしまうことです。
後ろ足重心はあくまで、重心であるため、およそ腰辺りがテールよりにある状態です。
頭は、真ん中付近、もしくは後ろに引いた分前屈して頭を前に出す。
と言った形です。
この姿勢が取れている状態であれば、前足を使ってもエッジグリップを強くすることも可能と言えるでしょう。
ターン中盤でこのポジションを作ることができれば、板がたわみます。
ただ、高いポジションのため、バランスを崩しやすいという特徴があります。
エッジが噛むしっかりとした雪面状況のときには、大きな力を生みやすいでしょう。
ターン後半で後ろ足重心に変化させることができれば、板は走ります。
板を走らせるにも、ただずっと後ろ重心でいれば良いわけではありません。
やはりノーズから捉えて、重心移動をしてたわむポイントを変えることで板が走ります。
ということで、板が走るタイミングで重心の移動をすることがポイントになってきます。
カービングターンのポジション④後ろ足重心で低いポジション
最後は、後ろ足重心で低いポジションです。
この組み合わせはどのような効果があるのでしょうか。
ターン前半では、あまり使わない印象のポジションです、
後ろ足重心の低いポジションですと、前足が使えにくく、切り替えがしにくいです。
また、ノーズのたわみもそこまで大きくないと言えるでしょう。
ターン中盤では、バランスが取れつつ、外力を受けやすいポジションとも言えます。
ベーシックの動きに合っています。
ターン後半では、外力が強まるところまではポジションをキープしておくことで走ります。
その後の外力が弱くなるところでは、次のターンに向けて動いていきたいところです。
その際には、次のターンを効率良く行うためにも、重心位置を前に移動していきましょう。
そのままのポジションで切り替えてしまうと、切り替えがしにくいだけでなく、切り替え時のノーズのたわみも弱くなります。
ポジションは使い分けることが重要
今回お伝えしたポジションの組み合わせは、大まかな内容です。
もっと細かく言いますと、何通りものポジションが存在します。
また、人の骨格、身長、体重、柔軟性などでも取れるポジションの幅は異なります。
まずは大まかなポジションで問題ありませんので、1つのポジションに絞ってターンをしてみてください。
そのうえで実際にどのような効果があるのかを体感して、ターンを組み立てていきましょう。
なお、サマーゲレンデの場合は、ポジションが上手く取れなければすぐにバランスを崩してしまいます。
シビアであるからこそ、1つ1つのポジションにどんな効果があるのかはっきりとわかりやすいかと思います。
また、ポジションを変えるのが難しいと感じる方は、カービングターンに限らず、スライドターンでも問題ありません。
そして、ポジションを変えることができるようになってきたら、ターン中にポジションを変えて滑ってみてください。
例えば、
ターン前半・・・前足重心の高いポジション
ターン中盤・・・後ろ足重心の低いポジション
ターン後半・・・前足重心の高いポジション側に向けて動いていく
と言った感じです。
これでベーシックの動きになってきます。
ターンの種類や、ターンサイズによってもポジションを変えることで、違う感覚を得ることができます。
ぜひサマーゲレンデを利用して、ポジションの組み合わせによる効果の違いを感じてみてください。
まとめ
今回は、ポジションの組み合わせによる効果について考えてみました。
この考えは、現状の私の考えです。
もしかしたら、色々とトライしている内に考えが変わるかもしれません。
その際には、また詳しくご説明していきたいと思います。
また、今回のポジションに関しては、必ずしも全ての人が同じ感覚になるとは限りません。
そのため、まずは自身で色々とポジションを変えて滑ってみてください。
そのうえで、自身が最適と思うポジションを作ってみてください。
コメント