スノーボードのカービングターンをする際に、重要となるポイントはたくさんあります。
その中でも力を効率良くかけることを考えるのであれば、「骨盤」と「股関節」は注目すべきところでしょう。
何かのスポーツを真剣に取り組んでいる方やカービングターンに精通している方は、「骨盤を立てる」という言葉を耳にしたことはないでしょうか。
この骨盤を立てるという行為ができれば、カービングターンで効果的に力を働かせることが可能になります。
筆者は、特にヒールサイドターンで効果を感じ取りました。
そして、骨盤を立てるためには、股関節を上手く使う必要があります。
今回は、この骨盤の状態や股関節の動きについて焦点を当てていきますので、カービングターンの上達を考えている方はぜひ読んでみてください。
※骨盤を立てなくても十分にカービングターンができます。
より効果的に板に力を加えることを考えた場合に真価が発揮する内容です。
股関節と骨盤ってどの部位?
骨盤と股関節と言っても、どこのことを表しているのか想像できない方もいるかと思います。
まずは、どのような部位なのかを説明していきます。
骨盤とは、上記の画の赤く囲んだ部分の骨です。
お尻から腰の付け根辺りまである大きな部分で、一つの骨ではなく、いくつもの骨が組み合わさることで形成されています。
また、男性と女性で骨盤の形が異なっていることも特徴の一つです。
女性は出産するために骨盤が広くなっているため横長で、男性は縦長になっています。
この形状とホルモンの関係などにより、男性よりも女性の方が柔軟性が高いことが多いと言われています。
股関節は、上記の画の青く囲んだ部分です。
脚の付け根にあたる部分で、骨盤と太ももの骨をくっつけている関節になっています。
太ももの付け根のVライン(鼠蹊部)の中心辺りの奥(お尻に近い位置)に股関節があるとされています。
この股関節は、肩関節と同じく球関節と言って自由度が高い特徴を持っています。
更に股関節は、スポーツにおけるパワーの源とも言われており、あらゆるスポーツにおいて重要な部分とされています。
骨盤とカービングターンの関係性
まずは、骨盤の役割を軽くお伝えします。
骨盤は、上半身(背骨)と下半身(股関節)とを繋ぐ役割があり、体のバランスにも関係してくる重要なパーツになります。
そのため、骨盤が歪む(前後左右に傾く)ことで体のバランスが悪くなり、肩凝りや腰痛を発症してしまうこともあります。
このように骨盤は体の要とも言える部分なのです。
それでは、カービングターンに骨盤が関係してくる理由についてお伝えします。
カービングターンは、外力とバランスを取りながら滑ります。
もし、そもそも体のバランスが悪い状態だと、外力とのバランス以前に自身でバランスを上手く保つこと自体が難しい可能性があるのです。
一般的に楽しむレベルではそこまでシビアに考える必要はないかもしれませんが、体のバランスを保てるようにしておくことに越したことはないと言えるでしょう。
また、骨盤の状態が悪いと、上半身と下半身が悪い意味で連動してしまいます。
カービングターンは、上半身と下半身の使い方次第でも滑り方は変わるので、この点においても骨盤はとても大切な役割を持つということです。
そして、骨盤を立てることによって効率良く力を板に伝えることができます。
そのため骨盤を立てることは、スノーボードのカービングターンに限定せず、あらゆるスポーツにおいても重要なことと言えるのです。
股関節とカービングターンの関係性
股関節とカービングターンの関係についてお伝えしていきます。
まず股関節ですが、体重を支えることに大きく関係してくる関節です。
歩く際には体重の3倍以上、階段の上り下りの際には6倍以上もの負荷が股関節にかかっていると言われています。
この負荷に股関節が耐えられるように靭帯や筋肉が多く存在します。
そして、カービングターンでは、大きな外力が発生し、それに耐えなければなりません。
この大きな力に耐えるために、股関節周辺の筋肉がしっかりと機能するように動かすことがポイントになってくるのです。
機能させるためには柔軟性や筋力が必要になり、適切な動かし方を理解する必要があります。
このように股関節が動かせるようになって、初めて骨盤を立てることができるようになりますので、人によってはストレッチや筋トレなども必要になってくるでしょう。
実際に様々なスポーツの世界において股関節はパワーの源とも言われており、しっかりと機能させるためのトレーニングがされている部分でもあります。
6つの股関節の動き
股関節の動きについて理解していきましょう。
主に内旋、外旋、内転、外転、屈曲、伸展の6つの動きが可能とされています。
※左:脚を伸ばしているときの動き
右:脚を曲げているときの動き
内旋は、太ももを内側に回す動作です。
稼働域角度は、45度と言われています。
脚を伸ばしている状態と曲げている状態で動きの見え方が変わるので、ご注意ください。
※左:脚を伸ばしているときの動き
右:脚を曲げているときの動き
外旋は、太ももを外側に回す動作です。
稼働域角度は、45度と言われています。
こちらも脚を伸ばしている状態と曲げている状態で動きが変わります。
内転は、内側に回転する動作です。
稼働域角度は、20度と言われています。
内旋と外旋は捻るように回すのに対して、内転は脚を閉じる方向に動かします。
外転は、内転とは反対に脚を開いていく動作です。
稼働域角度は、45度と言われています。
屈曲は、股関節を曲げる動作です。
稼働域角度は、125度と言われています。
脚を上げていくだけではなく、前屈のように股関節を使って上半身を脚に近づけるのもこの動作当てはまります。
伸展は、股関節を伸ばしていく動作です。
脚を背中側に引いていくことで、鼠径部(股関節の前方部)が伸びていく動きになります。
稼働域角度は、15度と言われています。
股関節の動きは一つだけとは限らない
先程お伝えした6つの股関節の動きは、一つの方向にのみではなく、複合して動かすこともあります。
開脚前屈=外旋+外転+屈曲
このように場合によっては、複合して動かすこともあります。
ただ、複合した動きをする場合は、それに付随する全ての筋肉や筋を機能させる必要があるので、難しい動きとなります。
なお、ヒールサイドターンでは、座位(長座)で骨盤を立てるため、股関節の屈曲ができる必要があります。
骨盤を立てる?寝る?3つの状態を理解しよう
遂に「骨盤を立てる」という状態についてご説明します。
ここまで読んだ方の中には、「骨盤を立てる?」とずっと疑問を思い浮かべていた方もいることでしょう。
お待たせしました。
骨盤の状態としては、主に「前傾」「後傾」「立位(ニュートラル)」の3つの状態があるとされています。
上記の画像の青い逆三角が骨盤です。
上記の画像は少し極端ではありますが、骨盤が前方に傾いている状態を表します。
骨盤が前傾している方は、「反り腰」になりやすい傾向にあると言われています。
骨盤が後方に傾いている状態を表します。
骨盤が後傾している方は、「猫背」になりやすい傾向があると言われています。
また、骨盤が後傾していることを、俗に言う「骨盤が寝る」と言います。
骨盤が真っ直な状態を表します。
この立位(ニュートラル)が正常な骨盤の位置です。
そして、この立位(ニュートラル)こそが骨盤を立てる状態となります。
座位や長座の場合は、骨盤の「腸骨」「恥骨」を手で三角形を作って、「手で作った三角形が地面に対して垂直になっている状態」が立位(ニュートラル)です。
最終的には、骨盤を前傾にも後傾にも自分自身で動かせるようにできることが理想的です。
現在の骨盤の傾きをチェックする方法はいくつかあります。
そのうちの一つとして、下記の動画をご紹介します。
出典:【骨盤前傾・後傾運動の基礎】自分で骨盤の傾きをチェックする方法
また、長座(脚を伸ばして座った状態)で骨盤を立てる方法をお伝えしている動画も紹介します。
長座での股関節の動かし方ができて骨盤を立てることができれば、ヒールサイドターンに活かすことができる可能性がありますよ。
出典:長座が出来ない意外な理由とは??!~さとこの簡単&分かり易いヨガ~
まとめ
今回は、骨盤と股関節についてお伝えしました。
自身の骨盤の状態と、股関節の動きを確認してみてください。
座った状態で骨盤を立てるのは、人によってはできない方もいるかと思います。
猫背になりやすい日本人は骨盤が後傾していることが多いので、骨盤を立たせられない人も多いんですね。
特に長座は、難しいです。
筆者自身も長座で、完全に骨盤を立てることはまだ完璧だと言えないので現在調整中です。
ただ、完全に骨盤を立てられなくとも、骨盤を立てる動きを理解して取り入れるだけでヒールサイドターンで板に力を加えられるようになります。
次回の記事では、ヒールサイドターンで骨盤を立てる効果の考察と、簡単にできる股関節を使った前屈のストレッチ法などをお伝えしようと思います。
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