【スノーボードと身長の関係①】カービングの競技と道具の関係性

【スノーボードと身長の関係①】カービングに身長は関係ある?ジャンルと道具の影響 カービング

スポーツの中には、身長が影響するものも多くあります。

バスケットボールやバレーボールは身長が高い方が有利であり、競馬や体操競技においては身長が低い方が有利とも言われています。

このようにスポーツによって、身長が関係してくることもあると言えるでしょう。

それでは、スノーボードはどうでしょうか?

スノーボードと言っても多くのジャンルがあるため、全てが同じ結果になるとは言えないと考えています。

また、身長の他に、骨格や体重、柔軟性、技術力などの大きく関わってくるものが他にも多くあります。

そのため、身長が全てではないと言えるでしょう。

しかし、身長も考え方によっては大きく関わってくるところと考えているため、今回は敢えて「身長」に焦点を当ててみました。

そして、多くあるスノーボードのジャンルの中でも、私自身が深く考える機会の多い「カービング」について考えています。

なお、最初にお伝えしておきますが、今回の内容は「技術の向上」を考えたときのお話です。

自由にカービングすることを考えている方には、特に気にすることでもないかと思っています。

今回の内容は、あくまで筆者が考えている可能性の話として、「スノーボードと身長の関係性」について書かせていただきます。

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身長は天性のもの!スノーボードに限らず上手く付き合うことが必要

低身長と高身長

スノーボードに限った話ではないですが、身長の高低はスポーツにおいて様々な影響を及ぼすと考えています。

これは、筋力や体重なども同じことが言えるでしょう。

そして、ここで言えるのは「身長」は、「筋力」や「体重」とは異なり、成長しきると後から変化を加えることは一般的にはできないということです。

当然、筋力や体重にも「恵まれた才能」というのはあるでしょう。

しかし、「筋力」「体重」は、努力で多少の変化をさせることはできるとも言えます。

その点、「身長」は基本的に変化を加えることができない部分です。

「変えることができない」ということは、この決められた身長と付き合って人生を歩んでいくというわけですね。

このように言いますと、「身長が低いから・・・」「身長が高いから・・・」と落ち込む方もいるかもしれませんが、スポーツには相性もありますので、考え方によっては有利に働かせられるかもしれません。

スノーボードにおいてもどちらにもメリットもあるため、特性を活かせれば、自身にしかできないスタイルが見つかるかもしれないと考えています。

ちなみに成人した日本人の平均身長は、1978年~1979年生まれで「男性:171.46cm」「女性:158.52cm」と言われています。

そして、1996年生まれは「男性:170.82cm」「女性:158.31cm」とされており、平均身長が縮小傾向にあるという話があります。

参考文献:THE SANKEI NEWSか「日本人の身長が低くなった! 昭和55年以降生まれで確認」

スノーボードにおける身長の影響

それでは、スノーボードにおいて身長がどのように関係してくるのでしょうか。

スノーボードにおいては、ジャンルによって影響の仕方が変わってくると思っています。

「滑走系」が主体の競技に関しては、下記の影響があると考えています。

■身長が高い場合
メリット:
・ターンにおいて板に対して大きな力を与えやすい
・体を使った表現を大きくすることがやりやすい

スノーボードの滑走において身長が高いときのメリットの図

デメリット:
・面積が広くなるため、空気抵抗を受けやすい
・関節間が長いため、関節の曲げ方が悪いとバランスが崩れやすい
・傾きに時間がかかり、起き上がるのに時間がかかる
・体を動かすのに時間がかかり、タイミングがズレやすい

スノーボードの滑走において身長が高いときのデメリットの図

■身長が低い場合
メリット:
・面積が小さいため、空気抵抗を受けづらい
・コンパクトな姿勢が作れるため、バランスが取りやすい
・傾きや起き上がりを速めしやすい
・コンパクトに動けるため、タイミングを早めやすい

スノーボードの滑走において身長が低いときのメリットの図

デメリット:
・体重や筋力が少ないと、板に力を伝えづらい
・体を使った表現がコンパクトになってしまうことがある

スノーボードの滑走において身長が低いときのデメリットの図

他にもあるかもしれませんが、筆者が考える中では上記のことが滑走に関わってくると考えています。

それでは、「ジャンプ・トリック系」主体の場合に関してはどのようなことが考えられるでしょうか。

■身長が高い場合
メリット:
・硬い板をしならせやすいため、高さを出しやすい
・滞空時間が大きければ、体を使った大きな表現がしやすい

スノーボードのジャンプやトリックにおいて身長が高いときのメリットの図

デメリット:
・軸がズレたときにバランスが取りにくい
・速い回転がしづらい

スノーボードのジャンプやトリックにおいて身長が高いときのデメリットの図

■身長が低い場合
メリット:
・コンパクトに動きやすいため、バランスの修正がしやすい
・速い回転がしやすい

スノーボードのジャンプやトリックにおいて身長が低いときのメリットの図

デメリット:
・板次第では高さを出しにくい
・コンパクトな表現はしやすいが、大きな表現がしづらい

スノーボードのジャンプやトリックにおいて身長が低いときのデメリットの図

上記の身長による影響に関しては、柔軟性や筋力なども関わってくるため、全ての人が同じ結果になるとは考えていません。

ただ、スノーボードは横向きで、かつ脚の位置を固定した上でバランスを取りながら滑るスポーツですので、大なり小なり上記の影響を受けると考えています。

また、デメリットを書きましたが、現在は道具の進歩もあるため、道具のチョイス次第でカバーできることもあると言えるでしょう。

例えば、グランドトリックメインの道具の性能で言えば、硬い板でなくとも反発力のある板もあります。

そのため、身長が低めの方であれば、硬めの板を無理に使わずに自身に合う硬さの板を選ぶことで、高さを出すことも可能でしょう。

そして、スノーボードには技術(やり方)も多くありますので、「身長のメリットを活かす」も「デメリットを減らす」もできるかと思います。

この技術(やり方)の選択をしやすくするために、筆者が考える身長が与える影響を「スノーボードにおけるカービング」に焦点を当ててもう少し詳しく書いていきます。

スノーボードのカービングにおける身長の特性

先程、スノーボードのジャンルとして簡単に「滑走系」と「ジャンプ・トリック系」という2つのジャンルに分けました。

しかし、もっと細分化することができます。

例えば、「滑走」と言っても「直滑降」「スライド」「カービング」などと滑り方は様々あります。

そして、ジャンルで言っても「フリーライディング」「パウダーラン」「スノーボードクロス」「レース」「テクニカル」などと多くのジャンルがあります。

全てに焦点を当てるとジャンルが多すぎるため、カービングジャンルの「レース」と「テクニカル」に絞って話を進めていきます。

「テクニカル」という種目は、指定された滑走種目に対して「効率の良いターン」「的確な板への働きかけ」「バランス能力」「技術力」など、個々の競技団体が掲げる滑走技術に基づいて、審査する競技です。

複数人のジャッジが点数を付けるため、ジャッジの考えによって点数が割れる(点数の差が出る)こともあります。

「レース」に関しては、「スタートからゴールまでのタイム」、もしくは「複数人同時滑走の勝敗」を競う競技です。

明確な「タイム」や「ゴールまでの勝敗」という基準で決まるため、勝敗の基準がわかりやすい競技です。

このテクニカルとレースを考えたときに身長がどのように影響していくのでしょうか。

テクニカルは身長が低い方が有利?

現在のJSBA(日本スノーボード協会)が行うテクニカルの大会に関しては、「きれいな半円」など団体が掲げる正確性やターンの効率が求められています。

そのためか、フリースタイル部門というソフトブーツの種目に関しては、「身長が高すぎない方が有利な可能性がある」と考えています。

まず、理由の一つとしては、フリースタイルのテクニカル種目を行っている全人口の身長の割合はわかりませんが、上位に位置着く方々の中には高身長の方が少ないように思われるからです。

ただ、高身長の方でもデモになっている方もいらっしゃいますので、あくまで目安としての話です。

なお、ここでの高身長は、定義がどこからなのかが明確ではないため、よく基準とされている「男性:175cm以上」「女性:165cm以上」とします。

一方でアルパイン部門というハードブーツを履いている種目に関しては、「高身長の方が不利ということはない」と考えています。

上記の関係性に関しては、道具による身長との関係が深いように思います。

この理由については、「身長と道具の関係性」の章でもう少し細かく書きます。

レースは身長が高い方が有利?

レースの多くは、アルパインで行われることが多いです。

フリースタイルで行われることもありますが、割合から見るとアルパイン部門の方が圧倒的に多いと言えるでしょう。

このレースの種目に関しては、「高身長の方が有利」なように思います。

当然、テクニカルやレースに関しては、あくまで「技術」がものを言う世界です。

そのため、「できない」「勝てない」ということではなく、あくまで「有利か、不利か」という話です。

身長で不利という点があっても、技術力や道具でカバーできることもあるでしょう。

それでは、次にこの身長による有利、不利に思う理由を道具との関係性という題目でお伝えします。

スノーボードのカービングにおける身長と道具の関係性

フリースタイルの道具と身長!テクニカルのカービング種目と高身長の相性

スノーボードにおけるフリースタイルの道具は、基本的に「自由度」のあるものになります。

そのため、ソフトブーツを扱います。

そして、横向きのセッティングを行うことを考えて、板のウエスト幅は比較的広いものとなっているでしょう。

バインディングに関しても、ソフトブーツに合わせた中での硬さになっています。

このことから、そもそもカービングをメインに考えているのではなく、自由に楽しめるものとしての道具と言えるのです。

フリースタイルの道具の特性上、自由に楽しめるように配慮して作られているということがわかりましたね。

それでは、フリースタイルの道具でテクニカル種目のカービングを行うことを考えてみましょう。

ここで言えることは、身長が高い方が「動くことによる時間のロス」が発生しやすいということです。

例えば、下記の画を見てみてください。

身長が高い場合と低い場合を比べて、頭の位置と重心の位置を基準に半径を書いたものです。

※頭の位置・・・純粋に倒れた場合の頭を基準にした半径
重心の位置・・・真っ直ぐ倒れた場合の重心の半径

高身長と低身長を比較して傾いたときの半径の図

上記の画では、身長が高い方が大きな半径になることがわかるかと思います。

半径が大きいということは、「傾くときに時間がかかり、傾いた体を起こすのにも大きな時間がかかる」ということです。

さらに、フリースタイルの道具の特性上「ブーツが柔らかい」「板のウエスト幅が広め」などと速い切り替え動作がしづらいと言えるでしょう。

このように考えますと、JSBAの公式大会においてはダイナミックな動きや速さを求めるのではなく、「きれいな半円」を求められる傾向にあるため、高身長の場合は身長の特性を考えずに滑ると、不利な状況になり得ると考えられるのです。

画で書きますと下記のようなイメージです。

半円のイメージとタイミングが遅い例

左が「きれいな半円」を目指したときのイメージです。

右が「高身長の方」や「動きのタイミングが遅い方」になりがちなイメージです。

高身長の方は特に「動きに時間がかかること」「力を板に伝えやすいこと」が相まって上記のようなイメージになります。

このようなことが考えられるため、高身長の場合はより「速い動き」「早いタイミングの動き出し」の意識、もしくは「ズレ」や「角付け量の調整」など滑り方を考えることも必要かもしれません。

ただ、メリットもあるため、自身の特性を活かした滑りができれば有利な部分もあると考えています。

一方で、成人の身長の平均より下の方は、テクニカルにおいてはコンパクトにタイミング良く動ける可能性があるため、その特性を活かして滑ると有利になり得ると考えています。

アルパインの道具と身長!カービングに特化した道具と高身長の相性

フリースタイルの道具に対して、アルパインの道具はカービングに特化しています。

道具の特徴を簡単に言いますと、「ハードブーツ」「ウエストが細い板」「ハードブーツに耐えうるバインディング」です。

ハードブーツはソフトブーツと違い、プラスチック素材などの硬い素材でできています。

そのため、体が動くのと合わせて俊敏に反応してくれます。

そして、板もウエストが細い分、切り替えが速くしやすいです。

このようなことから、高身長の方であっても「早い動き出し」「速い動き」がしやすいのです。

そして、身長が高い方は「力を板に伝えやすい」という特徴があるとお伝えしましたね。

この特徴があるからこそ、硬い板をたわませやすく、強い反発を得やすいと言えます。

そのため、技術が伴えばスピード競技において速いタイムを出しやすいと考えています。

一方で身長が低い方が不利なのか、と言うとそうでもないかもしれません。

やはりコンパクトに動きやすいため、傾きと戻りの時間が早いです。

そのため、次の行動がしやすいので、上手くこの特性を活かせれば有利にもなり得ます。

このように身長と道具の関係について書いてきましたが、最終的には身長が全てではなく、技術や道具との相性の方が大きいと言えるでしょう。

まとめ

今回は、カービングをメインにした、スノーボードにおける身長との関係性について書きました。

身長によるメリットとデメリットを書きましたが、今回の内容が正解ということではないと考えています。

と言いますのも、スノーボードの道具や技術は発展してきており、常識と考えていたことを覆すような発見があるかもしれないからです。

また、身長の利を使って、パイオニアになるような滑りを見つけてみるのも面白いかもしれませんね。

なお、今回は身長のみの話ですので、体重に関しては深く着目していないことご了承ください。

また、身長に関するカービングとの関係性については、もう少し掘り下げようと考えているため、次の記事ではもっと深い身長の繋がりについて書かせていただきます。

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