スノーボードのカービングターンをしていて、バランスを崩して転ぶことはありませんか。
カービングターンで、バランスを崩すことなく滑ることはとても難しいことです。
しかし、バランスを崩しても完全に転ばずに、持ちこたえられるケースもあります。
カービングが上手い人は、このフォローが上手くできていると言えるでしょう。
そして、中にはそもそもバランスを崩しにくい状態で滑る方もいます。
そこで、今回は、カービングで「板が安定する理由」と「転倒してしまう理由」に焦点を当てていきます。
カービングターンが安定する2つの要素
カービングで安定する理由を考えたことはありますか。
カービングターン中は、板を立てて体を傾けて滑るため、いつバランスを崩してもおかしくないような姿勢になります。
この姿勢を維持して滑ることができる理由を簡単に言いますと、「エッジグリップ」がしっかりできているからです。
エッジグリップがしっかりできていると、板がズレにくく、バタつきも押さえられるので安定します。
そこで、このエッジグリップをさせる大きな二つの要素をお伝えします。
角付け(板を立てること)
まずは、二つの要素のうちの一つは、「角付け」です。
角付けは、板を立てることを指します。
板が立てば、エッジの角が雪面に接していきます。
そうして、この角がしっかりと雪面に食い込めば、板はしっかりとグリップしていくというわけです。
そして、この角付けを感じやすくするポイントがあります。
それは、「板のチューンナップ」です。
カービングでは、エッジの角度が滑りにかなり影響します。
私の場合は、ベースの角度を「-1度」、サイドの角度は「-2」削っています。
※コンベックス(船底形状のソール)の板の場合は、ベースの角度を「-0.5度」にすることもあります。
なお、ベースを削ると操作性(ズラしやすさ)に影響し、サイドを削るとエッジの引っかかりの良さ(グリップ力)に影響します。
ただし、サイドの角度をキツくしすぎると、エッジが丸まりやすく(耐久性の低下に)なるので頭に入れておいてください。
これにより、雪面に対してエッジが鋭角になります。
板を立てたときにしっかりと雪面に引っかかるようになるので、グリップしやすく安定します。
板のチューンナップをしていなくとも、ある程度はグリップしますが、板の性能をより引き出したい方はチューンナップをすることをおすすめします。
チューンナップがしっかりとされており、角付け量が多い状態(内傾もしっかりと取れている状態)で滑ることができれば、板がズレにくくなり、バタついてもすぐにグリップを取り戻すことも可能になることでしょう。
なお、角付けの方法に関しては、以前の記事が参考になるかと思います。
ポジション
もう一つの要素は、「ポジション」です。
ポジションが上手く取れれば、多少の雪面の荒れも気にならなくなります。
要はポジションが上手く取れる人は、カービングで安定して滑ることができるということです。
それでは、なぜポジションが良ければ安定するのでしょうか。
理由は、板の適切な位置にしっかりと重さ(自重)を乗せて滑ることができるからです。
逆にポジションが悪いと、不適切な位置に重さが乗るので、ズレやバタつきが起こります。
このように「ポジション=安定性」になるとも言えるでしょう。
ちなみに以前の記事で、基本ポジションに関しては下記の記事に今シーズンの考えを書いています。
また、サマーゲレンデとしていますが、冬のシーズンにも使えるポジションのトレーニング法を下記の記事で紹介しています。
ここまでの話からカービングで安定して滑れる方は、角付け量が多かったり、ポジションのコントロールが上手いケースが考えられます。
カービングで転倒する7つの理由と対策
カービングで転倒する理由についても考えてみましょう。
転倒する理由に関しては、本当に様々で正解を出すのは難しいですが、考えられるケースをいくつか挙げていきます。
コースの状況(雪)が悪い
まず、コースの状況が悪い場合ですね。
雪面がボコボコになっていたり、アイスバーンになっていたり、硬い雪の塊(通称:ジャガイモ)だらけだったり、とコースの状況が悪いケースです。
当然、人によって好みがあるので、アイスバーンが好きという方もいます。
逆にアイスバーンが嫌いな方もいますよね。
アイスバーンが好きな方は、板をしっかりと立てられる方や、カービングがしやすい板に乗っている方が多いことでしょう。
当然、苦手な雪なときは、バランスを崩しやすいので転倒しやすいです。
雪が悪いときは、雪のせいにして、できることを楽しみましょう。
それでも上手くなりたい方は、どのようにしたらバランス良く滑れるかを考えてみると上達に結びつきますよ。
角付けと体の傾きの量が合っていない
これは、体を傾けようと頑張っているものの、板が立たないケースに多いです。
体を傾けるのは、「板をある程度のところまで立てること」、もしくは「立った板に力が加わるようにすること」が主な目的になるでしょう。
では、なぜ体を傾けても板が立たない現象が起きるのでしょうか。
これは、ヒールサイドターンとトゥサイドターンのそれぞれに違う原因があると考えています。
ヒールサイドターンの原因
ヒールサイドターンでは、板に対して「しゃがみ込む」ことをする方もいるでしょう。
この「しゃがみ込み」。
ターンの後半で「しゃがみ込もう」と考えている方は要注意です。
■ターン後半にしゃがみ込むGIF動画
上記のGIF動画のように、ヒールサイドでは板方向にしゃがみ込む行為をすると、板が寝る方向に働きます。
そのため、ターン後半にしゃがみ込もうとすると、体はある程度まで傾いているのに対して、板は逆に寝ていってしまいます。
そのため、角付けと体の傾きが同調していない状態になりやすいのです。
それでは、どのようにして改善したらいいのでしょうか。
大きく分けると2つのパターンがあります。
・しゃがまずに、雪面にお尻を近づける
・しゃがみ込んでから傾く
それぞれをもう少し詳しく書きます。
このパターンは、しゃがみ込むタイミングを早める方法です。
「ターン前半にしゃがみ始める」、もしくは「切り替えのときにしゃがみ始める」ようにすると良いでしょう。
しゃがみ込んだあとは、お尻を雪面に近づけるようにして傾きを作っていきます。
そうすると、外力が強くなるターン後半に向けて、板は立ち続けていくことになります。
そのため、体の傾きと角付けが同調して、バランス良く滑りやすくなるというわけです。
■しゃがんでから傾くパターン
下記の記事にストロークのやり方について詳しく書いていますので、良かったら読んでみてください。
トゥサイドターンの原因
トゥサイドターンでは、「内倒」という状態で滑ってしまうと、角付けと体の傾きが同調できないケースが多いです。
内倒は、上半身や頭から傾けようとする場合になりやすいです。
例で言いますと、お辞儀がわかりやすいでしょう。
平らなところで立ってお辞儀をした場合、上半身は傾いても、脚は基本直立したままになるでしょう。
■板を装着したままお辞儀をするイメージGIF動画
上記のGIF動画を見るとわかりますが、上半身だけを傾けようとしても板が立ちづらいのです。
このように腰折れの状態で体を傾けると内倒になりやすいので、バランスを崩して転倒しやすくなります。
内倒を防ぐための方法については、以前に記事に書いていますので、よろしければ見てみてください。
ポジションが悪い
ポジションの悪さは、板がバタついたり、ズレたりする原因になります。
その結果、転倒してしまうこともあるでしょう。
それでは、どのようなポジションだとバランスを崩しやすいのでしょうか。
様々な要因がありますので全ての滑りに言えることではありませんが、私が考えるに下記のことが考えられます。
・ターン後半で前に乗ってしまっているポジション
・体が遅れているポジション
・内倒しているポジション
・ターン後半で前に乗ってしまっているポジション
細かなことを言いますと、もっと様々な原因が考えられますが、よくあるポジションの悪いケースとしては上記が考えられます。
それでは、それぞれについてもう少し細かくお伝えします。
ヒールサイドターンの悪いポジション
これは、お尻が雪面に近くなるほどに体を傾けて、しっかりと板を立てることができれば板がズレずにターンはできます。
しかし、角付けが弱い状態では、テールを押さえられないためにズレてしまいます。
■前に乗って、テールがズレていくイメージGIF動画
そのため、ターン後半では後ろに乗るようにして、テールがズレないように押さえることがポイントになります。
■後ろに乗って滑るイメージGIF動画
体が遅れるというのは、ターンしていく方向に目線が追いついていないケースに起こりやすいです。
目線が遅れてしまうと、体の動きも遅くなり、結果的に板に対して完全に横向きになります。
横向きになってしまうと、正面側に無駄に力を入れてしまうことになり、結果的に「タ、タ、タン」と板が暴れてしまいやすいのです。
これを防ぐために目線が遅れないように進行方向に向けてあげましょう。
その際にポイントをお伝えします。
人の構造上、背中側に目線を回すことはやりづらいですよね。
ということは、ヒールサイドターンでは目線を思っているよりも早いタイミングで目線を向けてあげる必要があります。
そして、顔が進行方向に向けることができれば、自然と体も進行方向に向きやすくなるため、板が暴れにくく推進しやすくなります。
■目線を送るイメージGIF動画
目線を送る際にも、ターン後半には後ろに乗ることを意識できるとなお良いでしょう。
トゥサイドターンの悪いポジション
内倒に関しては、先程の「角付けと体の傾きの量が合っていない」の章に書いているため、割愛させていただきます。
これは、ヒールサイドターンでお伝えしていることと理由は同じです。
ただ、トゥサイドターンのポイントとしては、「上半身の位置」を意識してみてほしいです。
トゥサイドターンでは、上半身を前にかがむようにしてしまいやすいからです。
そうすると、結果的に前に乗りやすくなり、ノーズが詰まることがあります。
■上半身を被せたときのイメージGIF動画
ノーズが詰まりやすいと感じる方は、上半身を板に対して垂直にする意識をすると解消されるかもしれません。
■上半身を垂直にしたときのイメージGIF動画
動きのタイミングが悪い
動きのタイミングに関しては、上級者でもミスをすることがあるほどの課題です。
それくらい難しいということですね。
動きのタイミングとは、「切り替え期・ターン前半・中盤・後半」で適切に動くことです。
上級者でも、タイミング悪く動いてしまうと、転倒します。
ここに関しては、人によって滑り方が違うため詳細を書くことが難しいですが、もし上手く滑ることができないと感じている方がいましたら、「タイミングを早めてみる」と上手くいくかもしれません。
例えば、ターン前半でミスするのであれば、その前の「切り替え期」、もしくは「ターン後半」にターン前半の動きを意識してみると言ったぐあいです。
力を掛ける方向が悪い
雪次第で、力を掛ける方向が悪いとズレてしまいます。
例えば、アイスバーンでは板を正面側に脚力で押すようにするとズレてしまうことがあります。
これは、エッジが雪面に食い込こまずに、接地している面積が狭いので起こります。
このようなアイスバーンのときは押すのではなく、雪面に食い込ませるように力を掛けることをすることで、接地面積を少しですが広くすることも可能ということです。
このようなことができる方は、アイスバーンが得意だったりします。
また、道具の力によって得意になることもあります。
例えば、板が重かったり、エッジがしっかりと研がれているなどでも、同じように接地面積が確保しやすくなるので、得意になることがあります。
しかし、逆に新雪やシャバ雪などのときに、雪面方向に力を掛けるようにすると板が埋まってしまいます。
このような雪のときには、面(ソールの大部分を使う意識)で滑るようにするとバランス良く滑ることができます。
また、力一杯入れて滑っている場合も、雪面とケンカしてしまったり、板が埋まってしまうことがありますので、無駄に力を入れないようにするとスムーズに板が動いてくれるかもしれません。
ドラグ
ドラグとは、板からバインディングやブーツがはみ出てしまうことです。
ドラグするから、必ずしも転倒してしまうわけではありません。
しかし、雪面とケンカしやすくなったり、抵抗が大きくなりやすくなるとは言えるでしょう。
板を思いっきり立てる方は、特に注意してください。
転ぶ理由がわからない、という方はもしかしたらドラグしているかもしれませんよ。
気になる方は、両足を板に着けて確認してみましょう。
1.お尻を着けて座る
2.脚を伸ばす
3.バインディング(ヒールカップ)が雪面に当たって板が浮く
1.ひざを着けて座る
2.つま先が雪面に当たって板が浮く、もしくはあまりにもつま先が雪面にぶつかる
上記のような場合は、ドラグして転倒しやすくなっていると言えるでしょう。
少しでも緩和する方法としては、
・スタンスを広くする ※基本的にウエストの真ん中が一番細くなるため
・サイズが小さくなるバインディングを使う
・ウエストの太い板を使う
・プレートを使う
などが考えられます。
プレートについては、下記の記事で私が使用しているメーカーについて書いていますので、気になる方は読んでみてください。
道具の問題
中には、道具の問題という人もいます。
と言いますのも、古いレンタルの道具では上手く滑りづらいというのは、イメージに難しくないかと思います。
もう少し詳しくお伝えしますと、
・板が短すぎる
・バインディングが大きすぎる
・バインディングのストラップがへたっている
・ブーツが大きすぎる
・ブーツがへたって柔らかすぎる
・エッジが丸まっている
・コンケープが激しい
などが挙がります。
本当に上手い方は、レンタルであろうとどんな道具であろうとも上手く滑ることができるかもしれませんが、道具次第で滑りやすい滑りにくいというのはあるでしょう。
道具が悪いと、正確に動いていてもちゃんと反応せずに、バランスを崩して転倒しまうこともあります。
道具が良ければ上達の手助けになることもありますので、思いきって道具を変えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、「安定して滑られる理由」と「転倒してしまう理由」について取り上げました。
今回取り上げたことが全てではありませんが、大きく関わってくるところだと言えます。
カービング中にテールがズレる方は、後ろに乗ってみたり、角付けの量を増やすことを考えてみると解消されるかもしれません。
自身のミスをする原因を突き詰めて、改善すると技術レベルが高くなりますよ。
また、雪が悪いときは、どうしてもバランスを崩して転倒しやすいです。
そんなときは、雪のせいにしてできることを全力で楽しみましょう。
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