スノーボードのカービングターンにおいて、「基本姿勢」はとても重要なことだと知っていますか?
基本姿勢を深く考えなくてもカービングターンをすることはできますし、究極のフリーカービングにおいては「構え合って構えなし」という基本姿勢になるのかもしれません。
しかし、「重点的にカービングターンの上達がしたい!」と考えているのであれば、シーズンに一度は基本姿勢を見つめ直すことをおすすめします。
ということで、今回は「カービングターンの基本姿勢」を4つに絞って考えてみました。
また、筆者が現在考えている基本姿勢についても書きます。
今回の基本姿勢は、「よりカービングターンの上達を目指している方向け」の内容になっています。
スノーボードのカービングターンの基本姿勢はどんなイメージ?
スノーボードでよく耳にする基本姿勢。
皆さんは基本姿勢と聞いたら、どのような姿勢をイメージしますか。
正直、読者様によってイメージは様々だと思います。
その中でも多いのが、「リラックスした姿勢」なのではないかと思っています。
文字にすると、
◆基本姿勢のイメージ
という感じでしょうか。
筆者も「スノーボード全般」や「カービングターン導入時」にはこの基本姿勢をベースにお伝えしていきます。
しかし、カービングターンのレベルが上がってくるにつれて、違う基本姿勢をおすすめすることもあります。
理由は、違う基本姿勢を作ったほうが「速く滑りやすい」「深いターンがしやすい」ということがあるからです。
ということで、今回はこのリラックスした基本姿勢とは別の基本姿勢を考えていきます。
最初にお伝えしておきますが、基本姿勢は突き詰めて考えていくとかなり奥が深い部分です。
人によって身長、体重、骨格、柔軟性、滑りたいイメージなどが異なるため、一つの基本姿勢が全ての人にあてはまるとは言い切れません。
全ての状況に合わせた基本姿勢を書くのは難しいため、ざっくりと4つに絞って基本姿勢をお伝えしていきます。
4つのカービングターンの基本姿勢
それでは、4つのカービングターンの基本姿勢をお伝えしていきましょう。
今回、筆者がお伝えするのは、【高めのポジション】【低めのポジション】【前傾ポジション】【ノーズとテールを押さえるポジション】です。
このうち3つは低重心のポジションになりますが、あえて3つに分けさせていただきます。
この4つの基本姿勢は、どれも共通して「重心」を気にすることをおすすめしています。
滑り方や雪質に合わせるなど考え方は様々ですので、どの重心の取り方も間違いとは言えません。
ただ、筆者の考えとしては、基本的には真ん中をメインに重心を考えることをおすすめします。
理由は、前重心になりすぎるとノーズがつまりやすく、後ろ重心になりすぎるとスピードが速くなったときに対応しきれない可能性があるからです。
特に、前重心になりすぎると、ターン中に後ろに重心移動できずにテールがズレやすくなるので気をつけたいところです。
スノーボードのカービングターンにおける基本姿勢①高めのポジション
カービングターンの基本姿勢で、まず最初にお伝えしていくのは「高めのポジション」です。
まずは、高めのポジションの作り方をお伝えしていきます。
胸も前に開き、進行方向に顔を向ける
それに合わせて頭を真ん中、もしくは少し前に来るように意識
次にメリットとデメリットを考えてみます。
・比較的リラックスしやすい
・脚部を張っておけば、板に力が伝わりやすい
・切り替え動作を始めやすい
・ターン中に脚を曲げると力が伝わりづらい
・後傾になりやすい
・リーン(体の傾き)のピークまで時間がかかる
などが考えらます。
この中で、特に気をつけなければいけないのは、「後傾姿勢にならない」ことです。
後傾姿勢になりやすい理由は、高い姿勢は目線が高くなるため、斜度が急に感じやすく、恐怖心が大きくなりやすいことが大きな要因と言えます。
また、重心が高くなることで、スピードが上がったときに上半身が後ろに振られやすくなります。
そのため、「腰の位置を少し後ろに引くこと」「頭の位置を真ん中より前に置く意識」を持つことをおすすめします。
ちなみに高めのポジションを意識することで板に力が伝わりやすい理由に関しては、前回の記事に理由を説明しています。
詳しく知りたい方は、下記の記事を読んでみてください。
また、高い姿勢は切り替え動作を始めやすいというメリットはありますが、その反面で、体を傾けられる量が多くなるため時間がかかります。
そのため、結果的に大きく傾くことがしづらいと感じる方もいるかもしれません。
なお、「傾きに時間がかかる」ことを緩和したいのであれば、高めのポジションよりも低めのポジションを選択することをおすすめします。
スノーボードのカービングターンにおける基本姿勢②低めのポジション
次のカービングターンの基本姿勢は、「低めのポジション」です。
作り方から説明していきます。
・雪面へのアプローチ(体の傾き)がしやすい
・重心が低いため、バランスが取りやすい
・脚を曲げているため、伸ばし圧をかけることができる
・板を立て始めづらい
・関節の曲げ方が悪いと重心が板から外れる
この低めのポジションの特徴としては、「重心の位置を低くくできること」です。
板を立て始めることはしづらく感じるかもしれませんが、ターン中の低姿勢が作りやすいので、結果的に早いタイミングで大きな角付けがしやすいと言えるでしょう。
また、低重心により、バランスが取りやすいと言えます。
ただし、あくまで関節を全体的にバランス良く曲げられた場合の話です。
関節の曲げ方が悪いと、バランスを崩しやすい状態になりやすいです。
特に、高身長の方は「関節間のパーツも長くなりやすい」ので、バランスを崩しやすくなります。
上記のような状態の解消法としては、バランス良く関節を曲げることです。
もし、足首を曲げづらいと感じる方は、スネをブーツに当てて押しつぶすようにすると、ある程度は曲がるでしょう。
◆足首を曲げる方向のイメージ
このようにバランス良く関節を曲げる解消法の他には、「上半身と腰の向きを進行方向側に向ける」という解消法があります。
アングルなどのセッティングによってはしづらい方もいるかと思いますので、おすすめなのは「前振り(後ろ足の角度も前に向ける)のセッティング」です。
腰を前に向けることで、上半身やお尻が板の上に収まりやすいので、体が板からはみ出しやすい方は試してみてはいかがでしょうか。
スノーボードのカービングターンにおける基本姿勢③前傾ポジション
カービングターンで敢えて「前傾ポジション」を意識した基本姿勢を取る方もいます。
この前傾ポジションの作り方からお伝えします。
斜面に対して、上半身が並行に近い姿勢を作るイメージ
・目線が低くなるため、恐怖心が少なくなる
・上体が後ろに振られづらいのでスピードに強くなりやすい
・ノーズ側を押さえやすくなる
・重心が常に前側に位置しやすくなる
・ノーズが詰まりやすい
この前傾ポジションは、下半身を低くするよりも上半身を低めの位置にもってくるのが特徴的です。
メリットの中でも効果が大きいのは、「目線が低くなる」ことではないでしょうか。
目線が下がるということは、斜面に対する恐怖心が少なくなります。
そのため、積極的に体を傾けやすくなると言えるでしょう。
ただ、この基本姿勢には注意点があります。
それは、重心位置が常に前にある状態になりやすいということです。
特に、高身長の方や座高が高い方は要注意です。
下記の画を見てみてください。
上記の画の青い線は、中間姿勢から上半身を前傾した場合に、重心が前にいきやすいことを可視化したものです。
実際には、腰の位置を少しテール寄りに置くかと思いますが、それでも前傾ポジションは前に重心がいきやすいでしょう。
そのため、重心移動ができない方は、ターン中にノーズが詰まりやすい基本姿勢とも言えます。
ただ、常に落下してノーズにプレッシャーをかける滑りや、アイスバーンなどで積極的にノーズにプレッシャーをかける滑りをするのであれば、この基本姿勢も良いかもしれません。
また、後傾姿勢になりやすい方の強制方法としては、良い方法だと思います。
スノーボードのカービングターンにおける基本姿勢④ノーズとテールを押さえるポジション
次にカービングターンにおける基本姿勢は、「ノーズとテールを押さえるポジション」です。
この基本姿勢の作り方からお伝えしましょう。
後ろ脚を曲げて、腰の位置を後ろ足の上辺りか、それよりテール側に引く
・少しの前後動でノーズやテールにプレッシャーをかけやすい
・体全体を使った低重心で板を押さえるため、バランスが取りやすい
・体の傾きのピークを早く迎えやすい
・窮屈に感じやすい
・関節の曲げ方が悪いと重心が前に行きやすい
・板にかかる力が分配されやすい
この「ノーズとテールを押さえるポジション」の特徴は、ノーズを頭で、テールを腰で、体全体を使って板を押さえていることです。
そのため、少しの動きで前後に重心を移動することができます。
ただ、高身長の方や座高が高い方は、重心が真ん中よりも前寄りに重心がいきやすいことを頭に入れておくことをおすすめします。
その理由を説明しましょう。
スノーボードでは両足が固定されています。
そのため、腰をテール側に引くにも限界があります。
この「腰を引く量」と「前傾した姿勢」双方の移動量を考えてみましょう。
上記の画を見ますと、緑線の分、前に体を動かす量が多いことになります。
そして、上半身の大半が前に来ることになるため、結果的に重心も前に行きやすくなるということです。
前に行きすぎないようにするには、「前傾する量を抑える」、もしくは「後ろの股関節をしっかりと曲げる」などがあるでしょう。
筆者が行っているカービングターンの基本姿勢
先程までで、カービングターンの基本姿勢を4つ抜粋して書かせていました。
最後にこれらを踏まえて、筆者の考えている基本姿勢について書いていきます。
※2019年12月現在の考えです。
常に新しい試みをしているため、今後は変わることもあります。
身長とクセから組み立てている
まず、筆者は自身の体の特徴でもある「身長」を考えています。
筆者の身長は「約178cm」ですので、そこそこ高めの身長だと考えています。
身長が高くなるということは、「重心が前にいきやすい」「目線が高いため恐怖心を感じやすくなる」「傾き(リーン)に時間がかかる」というデメリットがあります。
これらを考慮して「高い重心」にならないように気をつけています。
かと言って、低重心にしすぎてしまうと窮屈になりやすいです。
そのため、「程良い低重心」になるように心がけています。
また、クセとしては、前側の股関節を曲げが大きく、後ろの股関節の曲げが小さいため、前傾姿勢になりやすいという特徴があります。
これらを踏まえて、基本姿勢を考えています。
基本姿勢で重要にしていること
筆者が重要としているのは、「両足で板に圧をかけられる場所」です。
ここでポイントになるのが、「重心位置」です。
筆者のクセに「前重心になりやすい」というのがありますので、意識的には「真ん中から後ろ辺りに位置づける」ように心がけています。
また、この重心位置については、「斜面に立った」ときの足にかかる負荷を基準に考えています。
機会があれば下り坂になっているところで実際に立って試してほしいのですが、肩幅に脚を広げた状態で斜面に垂直な状態で立ります。
このとき、前足と後ろ足のどちらに負荷を感じるか、ということです。
筆者は、「前足のほうが支えている感覚が大きい」ように感じています。
理由は、斜面上における重力のかかり方にあると考えています。
※斜面上に働く力から考察
上記のとおり、重力の方向は、斜面と平行でも斜面と垂直でもありません。
赤線の方向に働きます。
この重力の力を「斜面と垂直な方向の力(青線)」と「斜面方向の力(緑線)」に分解します。
そして、重力を分解した垂直方向の力と拮抗する力(垂直抗力:オレンジ線)が働くため、垂直方向の力と打ち消し合います。
そうすると、斜面方向への力が残ります。
この斜面方向の力に対して体を支えようとしているため、前足側に負荷がかかるというわけです。
なお、この斜面方向への力は、斜面が急になればなるほど大きくなります。
この斜面方向の力のことを考えて、「後ろ足と均等に負荷を感じる位置」を探しました。
後ろに重心を持って行くために行った方法は、「後ろ側の股関節を曲げる」ことです。
筆者のクセで「後ろ側の股関節」の曲げが小さかったので、後ろの股関節を曲げることで重心位置が真ん中に寄ってきました。
あとは、上半身も前傾になりすぎないようにすることで、気持ち後ろ側に重心を置くことができるようになってきています。
筆者が行っている基本姿勢の作り方
それでは、この基本姿勢の作り方を説明します。
足首の曲げた分、「ひざ」も曲げ、股関節を自然に曲げる
頭の位置は板の真ん中辺りを基準に上体を真下に下げていく意識
※股関節は後ろ脚側を特に意識して曲げる
股関節を曲げる際に気をつけたいのは、背中を曲げるのではないということです。
◆股関節よりも背中の曲げがメインになってしまっている姿勢
脚の付け根の部分を曲げるようにしていきます。
◆股関節(脚の付け根)が曲がるイメージ
このように股関節を曲げることで、上半身を前傾させすぎずに程良く低重心にすることができています。
なお、この基本姿勢は、あくまで筆者自身のクセなどを考慮したものです。
そのため、読者様には色んな基本姿勢を試して、自身に合うものを見つけてもらうのが良いかと考えています。
まとめ
今回は、スノーボードのカービングターンにおける基本姿勢について書きました。
筆者が考えるに、身長や体格が人それぞれで異なる以上、他の方と同じやり方で上手くいかないこともあると考えています。
そして、基本姿勢は細かなことを言いますと、「重心の下げる量」「体の開く量」「後ろ脚のひざの向き」「アングルなどセッティングに合わせる」など、細かな作り方があります。
そのため、この記事においては「この基本姿勢にしてください!」とはお伝えしません。
今回の記事の基本姿勢を気になっていただけたのであれば、今回お伝えした基本姿勢をベースに、自身用にアレンジしてみてはいかがでしょうか。
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