スノーボードの「プレート」と呼ばれるアイテムを知っていますか。
このプレート、板とバインディングの間に挟むアイテムです。
そして、カービングターンをする方に使われることが多く、メーカーも何社もあります。
今回は、その中でも「T-PLATE JAPAN」というメーカーのプレートの効果について迫っていきます。
実際に使用した感想を含めて書いていきますので、ぜひ読んでみてください。
スノーボードのプレートとは?総じて言える効果
まず、スノーボードのプレートというものについて簡単に説明していきます。
プレートとは、先程もお伝えしたとおり、板とバインディングの間に挟むアイテムです。
メーカーによって形状や厚みに違いがあり、効果に関してもメーカー独自の発想が注ぎ込まれています。
ただ、全てのプレートに総じて言えることとしては、「ドラグを緩和する効果」があります。
※ドラグとは、板からはみ出したブーツやバインディングが雪面に引っかかること。
プレートを付けることによって、ブーツやバインディングの位置が高くなり、板を立てられる限界値が上がります。
そのため、横向きのセッティングを好む方や、ブーツやバインディングのサイズを大きくしないといけない方におすすめのアイテムになります。
また、高い位置から動けることからテコの原理のような効果があり、「エッジグリップが増しやすい」(力を伝えやすい)こともプレート全体の特徴と言えます。
T-PLATE JAPANのプレートは複数のモデルがある
それでは、T-PLATE JAPANのプレートに焦点を当てていきましょう。
■T-PLATE JAPAN ホームページ
■T-PLATE JAPAN Facebookページ
T-PLATE JAPANが出しているプレートは、全部で7種類もあります。
フリースタイル用
フリースタイル用に関しては形状は同じですが、材質や硬さに違いがあります。
そのため、乗り心地は別物です。
画像引用:T-PLATE JAPAN 販売ページ
値段は高価ではありますが、材質にかなりのこだわりが詰め込まれており、プレート自体がたわんで反発するという特徴があります。
硬さは、3モデルの中では真ん中の位置に属しており、柔らかすぎず硬すぎないちょうど良い硬さです。
そのため、板のたわみを阻害せずに、プレートの反発力で走りを生み出します。
「池上 大斗」選手の他、「菊田 光司郎」デモ、「松本 卓」選手、「小川 咲」選手などトップライダーが使用しています。
画像引用:T-PLATE JAPAN 販売ページ
メインモデルの「アドバンスド」モデルは、2019-2020モデルで硬さを変えました。
以前までは硬めにできていましたが、より多くのユーザーの好みに合うように少し柔軟性を持たせるように改良されています。
これにより、ウッドやグラスの板でもプレート自体の硬さを感じにくくなりました。
それでも、3モデルの中では一番硬いモデルです。
今期の私は、新型のアドバンスドモデルを使用しております。
画像引用:T-PLATE JAPAN 販売ページ
柔らかい板に合わせたり、楽に滑りたい方、グラトリにも使用したい方には「クルージング」モデルがおすすめです。
3モデルの中では、一番柔らかいモデルとなっており、衝撃吸収性が良くできています。
反発も強すぎないので、楽に滑りやすくなります。
また、タップ系のグラトリにも相性が良いです。
アルペンとフリースタイル兼用
画像引用:T-PLATE JAPAN 販売ページ
ナローアドバンスドとナロークルージングのプレート本体は同じモノで、違いはプレート内に入れるメタルのプレートです。
プレート本体の硬さは、比較的柔らかくできています。
ナローアドバンスドのメタルプレートは、「H」の形をしており、硬さもあります。
そのため、エッジグリップが良くなります。
その分、操作性がクルージングより劣ることがあります。
これは板の硬さによっても感じ方は異なるでしょう。
フリースタイルでは、体格が小さめでもしっかりとカービングをしていく方におすすめです。
なお、ワイドボードにセットするとエッジとプレートとの距離があるので、グリップ力向上の効果を感じ取りにくいこともあります。
画像引用:T-PLATE JAPAN 販売ページ
ナロークルージングのメタルプレートは、「I」の形のが2本になっています。
ナローアドバンスドよりグリップ力が劣りますが、操作性が向上する傾向にあります。
こちらも板の硬さによる相性も関係してくるところなので、人によって感じ方が異なるでしょう。
カービングで強く圧をかけるような滑りをしないのであれば、このモデルも選択肢として挙がるでしょう。
画像引用:T-PLATE JAPAN 販売ページ
こちらのモデルは、2020シーズンに新しく出たモデルで、成人アルペン向けに作られているようで、しっかりとしたエッジグリップが得られるとのことです。
その分、操作性が劣るとのことで、試乗してから購入することをホームページでもおすすめしています。
また、本体は他の2モデルとは違うようで、メタルのプレートを変えて使うことができないとされています。
なお、この記事ではナローALを兼用モデルの位置付けで書きましたが、アルペン向けとのことですので、アルペンに付けるのが一般的かもしれません。
・ワンピース
画像引用:T-PLATE JAPAN NEWS
アルペン用のワンピースプレート(一体型プレート)に関しては、衝撃吸収性やきれいなたわみからの走りを生み出せるようにダンパー(バネを使った可変パーツ)を内蔵しています。
しっかりとたわませることができれば、とんでもない走りを実現できるプレートです。
ただ、WEBの商品情報に掲載されていないモデルとなっています。
毎シーズン必ず作るというものではないとお聞きしているので、気になる方は直接T-PLATE JAPANにお問い合わせしてみると良いでしょう。
なお、このワンピースプレートに関しては、「池上 大斗」選手がアルペンで使用しています。
Tプレートには他に無い独自の特徴がある
ここからは、フリースタイル向けの3モデルのみに焦点を当てて、Tプレートの特徴をお伝えしていきます。
Tプレートのフリースタイルモデルは、基本的に一つのプレートが半分に分かれて作られています。
そして、この分かれているプレートに4本の「カーボンロッド」を組み合わせることができます。
※裏面から撮影
この作りによって、一セットのプレートの割れ目部分がたわむようにできており、カーボンロッドによって張りや返りを生み出しています。
これプラス、プレート自体がたわむ材質になっているので、綺麗に板をたわませることができ、そのたわみからの反発力で板を走らせられるようにできているというわけです。
さらに、カーボンロッドの太さには「3mm」と「4mm」があります。
※クルージングモデルには、「4mm」のカーボンロッドが付属されていないので、オプションで購入することになります。
このカーボンロッド、1本ごとに変えることが可能になっています。
人によってはカーボンロッドを入れないパターンや、内側だけ、外側だけ入れるパターン、太さを変えるパターンもあります。
※内側と外側のカーボンロッドの太さを変えたパターン
また、オプション購入になりますが、「天板」という金属製のプレートもあります。
この天板は、プレートの上に装着するもので、足元に張りを持たせることができます。
板をより踏みつけるようにすることが可能になり、エッジグリップを増すことができます。
ただ、操作性は少し劣ってしまう傾向にあるので好みはあります。
そして、体重や筋力次第でも感覚は変わるので、人によってメリットとデメリットの感じ方も変わってくるでしょう。
ただ、このように様々なカスタムができるので、アイテムいじりする方にとってはたまらないプレートになってます。
やり方次第で様々なカスタムができるのはTプレートの魅力であり、独自の特徴と言えるところでしょう。
フリースタイル用Tプレートの効果
Tプレートの効果は、モデルによっても違いがあります。
厳密には、全てのモデルに同じような効果があると言えるのですが、感じ方が違うということです。
これは、「板の違い」と近いことが言えます。
板は、形状が同じでも、素材や硬さが異なれば乗り味も大きく変わりますよね。
T-PLATE JAPANが出すプレートも同じで、材質や硬さに違いを持たせているので、モデルごとに感じ方が変わってくるのです。
各モデルの硬さを比較してみました。
●エグゼグティブ
●アドバンスド
●クルージング
このようにプレートの硬さが異なるため、板との相性もありますが好みも人によって変わるというのが私の感想です。
今回は、私個人が感じている感想を踏まえて考察した内容をお伝えしていきます。
エグゼグティブは、多くのユーザーに効果を実感してもらいやすいプレートです。
エグゼグティブの特徴は、「柔軟性と張りの両立」「高い復元力」「強い反発力」でしょう。
そのため、多くのユーザーが楽しさを感じやすいモデルとなっています。
この理由を、特徴を踏まえて説明していきます。
まずは、「柔軟性と張りの両立」です。
プレートが柔軟に動くことで、板の動きを阻害することがほぼないため、多くの種類の板との相性が良いと言えるでしょう。
そして、柔軟でありつつも張りがあるので、雪面の状況に合わせて動いて衝撃を吸収してくれるため、安定して乗れる感覚があります。
さらに、張りがあることで板が不自然にたわむことを抑制し、きれいにたわむやすくなることでエッジグリップが増すことが考えられます。
次に「高い復元力」です。
高い復元力があることも、エッジグリップの強化に貢献していると考えています。
理由は、板の動きに対して常に張り付いて動くレスポンスの早さがあるため、柔軟性と張りをより効果的に働かせることができるからです。
また、「強い反発力」と「高い復元力」により、板のたわみからの解放を瞬発的にできるようサポートしてくれます。
※エグゼグティブが完全に復元するまでの時間は、「約1秒」です。
復元力が高いことで、板への力を逃がずに伝えきれる効果があると考えられます。
このように強い反発力と高い復元力により、走る感覚が感じ取りやすいので、楽しさを感じやすいのです。
これらの効果によって、多くのユーザーを満足させています。
また、他のモデルの材質と異なり、高温、低温の状態でも硬さに変化が起こりにくいとのことです。
いつどんな環境でも、同じスペックで使えるということですね。
まず、旧型のアドバンスドの効果について触れます。
張りがとても強かったので硬い板に対して力をかけやすい効果がありました。
そして、足元がカッチリしている感覚を感じやすいプレートだったのです。
積極的に動く方には、評価も良かったでしょう。
ただ、逆にプレートを付けている感覚が強く感じることもあり、やはり好みは人それぞれだったと言えます。
その点では、新型のアドバンスドはプレートがあるという違和感がかなり薄れたように感じます。
そして、張りは有りつつもある程度は柔軟には動くので、雪面の凹凸を吸収しつつも、しっかりと押さえつけられている感覚があります。
この効果は、憶測ではありますが、プレートの裏にある軽量化するための凹みがアドバンスドの硬さと相性が良いことにあると思っています。
※Tプレートの裏面、凹んでいる部分
もう少し細かく説明しますと、アドバンスドは縦にはたわみにくい(硬くて動かない)です。
しかし、斜めには凹みの影響もあり、たわみ(ねじれ)ます。
そして、硬さもあるので、ある程度のところでたわみが止まります。
※別角度から
簡単にお伝えしますと、「アドバンスドのツメ部分は斜め方向には曲がり、ある程度のところで止まる」ということです。
この特徴と、カービング時の板のたわみ方が関わってくると考えています。
カービングで板をしっかり立てて滑ると、エッジ部分を支点に力が加わるため、ターン前半から中盤にかけては少しねじれるようにたわむことが考えられます。
※板の硬さや長さ、滑り方によっても板の動きが変わるため、必ずしもこの結果になるとは限りません。
上記の画像ではわかりにくいですが、ノーズの向きが微妙にねじれながらたわんでいます。
このように板がねじれるようにたわむことと、アドバンスドの斜め方向にたわむ特徴がマッチして、プレートが板と変にケンカすることなく雪面の凹凸に合わせてサポートしてくれます。
そして、アドバンスドの硬さも相まって、常に雪面とのコンタクトが取れて、張り付いている感覚が感じやすいのです。
また、上手く乗れたときには自身の方に戻る感じではなく、推進方向に押し出してくれる感じがあります。
これは、アドバンスドの張りの強さが関係していると考えてます。
張りがあることで、滑走者の力を伝えつつ、外からの力も受け止めます。
これにより、板にしっかりと力を伝わり、「限界!」ってところで戻ろうとすることで、推進方向に押し出す現象が起こるのではないかと考えています。
エグゼグティブが柔軟かつ大きな瞬間的な返りで板の反発力を高めるのに対して、アドバンスドは雪面に張り付いて、しっかりと力を伝えられれば推進する感じです。
板の動きを阻害しない感覚は、クルージングが一番あります。
カーボンロッドを入れることで張りを出すこともできますが、それでも他の2モデルに比べると柔らかめです。
柔らかいからグリップしないのか、と言いますとそんなことはありません。
グリップや走りの効果は他の2モデルに劣りますが、クルージングもグリップ力は増します。
そして、クルージングの大きな特徴と言えば、衝撃吸収性でしょう。
復元力が高いわけではないため、板を押さえつけることなく吸収し続けてくれる印象です。
※クルージングは、完全に復元するまでに「約3秒」ほどかかります。
ちなみに完全に復元するまでに、エグゼグティブが「約1秒」、クルージングが「約3秒」と違いがあります。
これは、レスポンスの早さ(速さ)に違いが出ると考えています。
エグゼグティブは、板へ力を伝えるのが早くしっかりと力を伝えられるので、板からの反力をしっかりと感じやすいです。
一方でクルージングは、エグゼグティブと比べると板からの反力を強く感じない分、衝撃吸収性がより高いように感じます。
そのため、疲れ知らずで、1日通して楽しめるプレートと言えるでしょう。
このように3タイプそれぞれで、特徴と効果の感じ方が異なります。
プレートの付け方
T-PLATE JAPANが出しているプレートは、専用の長ビスを用意せずに、普段使っているビスで取り付けることができます。
「それじゃあ、どうやって付けるの?」と思われる方もいるかと思います。
バインディングの通常のビスを使えるように専用の六角のボルトアダプターを使います。
こちらは、プレート購入時にセットでついてきます。
この六角のボルトアダプターを先に板に取り付けて、そこにプレートをセットします。
そして、バインディングをボルトアダプターに取り付けます。
※六角のボルトアダプターは、指で回して留まる程度の締め具合でも大丈夫とのことです。
締めすぎると板を傷つけることもあるので、締めすぎには注意しましょう。
詳しくは、下記の動画で説明しています。
このようにバインディングのビスをわざわざ変える必要がないので、多くの板に簡単に取り付けることが可能になっています。
また、板にプレートの跡がつくのが嫌な方は、オプションでプレートの下に敷くシートも販売してますよ。
●T-plate 専用保護シート2枚 販売ページ
さらに、Tプレートを複数枚持っている方に面白いセッティング方法があります。
下記の動画に変わったセッティングが紹介されていますので、複数枚持ちの方は試してみてはいかがでしょうか。
全員に同じ効果があるの?
Tプレートに限らずに全てのプレートに言えることですが、「全員に同じ効果が体感できるのか」というとそうとは限らないと思っています。
まず、プレートは「板を立てることが前提」で効果を感じることができます。
極限に立てる必要はなくとも、ある程度のカービングができる方が対象になるでしょう。
また、板や体格、さらにはポジション、滑り方次第でも感じ方は変わってきます。
例えば、板が硬いのにクルージングを組み合わせると大きな変化が感じにくかったり、ポジションが悪いと逆に変に力が加わることがあります。
そのため、全ての人に同じ効果を感じるとは言い切れないのです。
そして、本来の効果を感じられずにプレートを付けていると、「重い」「足元に違和感を感じる」「切り替えが遠く感じる」などの逆効果を感じてしまうこともあるでしょう。
プレートを付けたから必ずしも、全員が上手くなるとは言い切れないということです。
ただ、板を立てられる限界値は単純に上がりやすいので、角付け量を増やす練習をするのに活用するのも一つの手ではあります。
また、良いポジションで乗れると、走りやグリップ力の向上を体感しやすいので、滑りを飛躍させることもできるアイテムではあります。
まとめ
T-PLATE JAPANのプレートは、モデルによって効果が変わってきます。
そのため、実際に手に取って、できることなら使用してみてもらいたいところです。
2020シーズンは試乗会を数箇所で行っていますので、機会があったら試してみてください。
以前に使ってあまり効果がわからなかったという方も、今になって使ってみると全然違う感じ方ができるかもしれませんよ。
技術が向上したら、効果も感覚も変わります。
試乗会の情報や商品の新しい情報は、ホームページのNEWSページに記載されます。
定期的に更新されているので、気になる方は見てみてください。
そして、Tプレートは一度購入したら、他の板に付け替えられるところも良いところですね。
試せる方は、ぜひ一度試してみてください。
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