今回は、サマーゲレンデでスノーボードのカービングターントレーニングの第5弾です。
と言いましても、サマーゲレンデだけではなく、ウインターシーズンにも使える話です。
前回は、ポジションについて考えてみました。
読んでいただけましたでしょうか。
まだ読んでいない方は、ぜひチェックしてみてください。
ポジションによってどのような効果があるのかは、自身で実際に体感して取り入れることが一番です。
そして、ポジションの他にもターンに必要な運動はたくさんあります。
そのうちの1つ、「角付け」に焦点を当てていきましょう。
※12月23日更新
「体軸」に対する語弊を招く書き方をしていたため、修正しました。
カービングターンの角付けのやり方は1つではない
カービングターンの三大運動の中の1つに「角付け」があります。
この角付けは、「板を雪面に対してエッジを立てる」ことを指します。
そして、よく混同しやすいのが「リーン(内傾)」です。
リーンはあくまで「ターンの内側に傾く運動」のことを指します。
このリーンは、板を立てるための動作であるため、角付けとは別の運動となることを理解してもらえたらと思います。
これを勘違いして同一のものと考えてしまうと、角付けのやり方を「リーンを取ること一択」だと間違えてしまいやすいです。
もし勘違いしていた方がいましたら、考え方を変えてみてください。
それだけで、もしかしたら今までできなかった問題が解消されるかもしれません。
また、サマーゲレンデでカービングターンをする際に、角付けのやり方を変えるだけでエッジグリップやたわみが強くなるかもしれませんよ。
カービングターンの「角付け」のやり方は大まかに5つ
カービングターンをする際の角付けのやり方は、大きく分けて5つあると考えています。
・体全体でのリーン(内傾)
・腰部を中心にターン内側に移動する
・リーンアウト(外傾)を使う
・脚部を使う
・ローテーションを使う
※「体全体でのリーン(内傾)」「腰部を中心にターン内側に移動する」は、どちらも「体軸の移動」と言えますが、やり方自体が異なるために表現を分けさせていただきます。
この5つの運動が、角付けに関係してくる運動です。
そして、この運動1つ1つが角付けをする際に、与える効果が異なります。
ターンの種類によっても使い方を分けることもあるぐらいです。
この5つの運動をしっかりと理解することで、「エッジグリップ」「板への圧」「操作性」などが変わってきます。
そして、この5つの運動の効果を高める動きが「基本姿勢」です。
切り替えの際に本当に一瞬でも通るようにできれば、ゼロポジションからですので、より大きな効果を得やすいです。
それでは、次から角付けをするための5つの運動のやり方をお伝えしていきましょう。
カービングターンの角付けのやり方①体全体でのリーン(内傾)
まずは、最初の章でもお伝えした、混同されやすい「体全体のリーン」からです、
この体全体のリーンは、角付け(板を立てること)に重要な要素であることは間違いありません。
そして、初心者がカービングターンをする際に「簡単に取り入れられる運動」です。
その理由は、ある程度の斜度で、ある程度のスピードが出ている状態のときに体を傾ければ、カービングターンになりやすいからです。
特に難しく考えることなく、ターンの内側に倒れようとすれば良いわけですので、運動としてはそこまで難しくはないですよね。
「体全体でのリーン」には、このような特徴があります。
また、板に垂直上に乗れている場合は、強い力が加わりやすいというのもこの角付けのやり方の特徴です。
それでは、やり方をお伝えしていきます。
■基本の考え
腰を支点にして動かして、体全体でターンの内側に傾いていく
■トゥサイドの足元
スネをブーツのタンに当てて、足首を曲げていく
■ヒールサイドの足元
前足のふくらはぎをハイバックに当てていく
基本の考えに合わせてそれぞれのターンの足元の使い方をするだけです。
腰を始点に体全体で傾くことを意識するだけで、角付けができます。
「棒立ちカービングターン」の要領で考えるとイメージしやすいでしょう。
カービングターンの角付けのやり方②腰部を中心にターン内側に移動する
次は、体全体でリーンを取ることと同様の体軸の移動でありつつも、違う角付けのやり方がありますので、お伝えします。
それは、「腰部を中心に傾いていく」方法です。
動きとしては、「腰付近のみ」をターン内側に移動させる動きということです。
腰付近のみを移動させるために重要なポイントは、「背筋を伸ばすこと」、もしくは「胸を張ること」です。
どちらでも意識しやすい方で問題ないです。
もう少し簡単にお伝えしますと、「猫背にならないようにする」ということです。
▼猫背の例
上記の写真のように猫背になってしまうと、腰部のみではなく「体全体で自動的に傾きが行われてしまう」のです。
そのため、猫背にならないようにすることがポイントになります。
なお、この腰部を中心に傾き、角付けができたときの効果は、ターン前半でのエッジグリップの向上が期待できます。
それでは、「体軸をターン内側に移動して角付けするやる方」をお伝えします。
■基本の考え
1.猫背にならないように背筋を伸ばす、もしくは胸を張る
2.股関節のVラインに手を当てる
3.両足のスネをブーツのタンに当てる
4.お尻を少し上げるように引くような意識
■トゥサイドの動き
1.前足のアングル方向に腰を正面側に出していく
2.スネはブーツに当てて足首は曲げる
3.上半身はあくまで傾けないように意識する
■ヒールサイド
1.お尻を前足のアングル方向に引く
2.股関節のVラインに当てている指を挟む感覚を感じる
3.上半身はあくまで傾けないように意識する
ここでお伝えしている「股関節のVラインに手を当てる」ことに関しては、あくまで練習のときに行います。
普段のターン中はこの作業をしなくとも大丈夫です。
しかし、ヒールサイドのVラインに指を挟む感覚を養ってほしいので、この感覚がわかるまでは上記の方法で練習することをおすすめします。
また、ポイントはあくまで腰付近の動きによってターンが始まることです。
上半身の傾きを作ってターンに入るわけではありません。
練習の内は、上半身で傾きを取らないようにしましょう。
なお、猫背の場合、腰の移動と上半身の傾きが同調して動いてしまいます。
腰と上半身を別々の動きをさせるためにも、猫背にならないように胸を張りましょう。
カービングターンの角付けのやり方③リーンアウト(外傾)を使う
次のカービングターンの角付けのやり方は、「リーンアウトを使う」ことです。
※リーンアウトとは、内側に倒れた体を起こす動きです。「外傾姿勢」や「アンギュレーション」とも呼ばれることがあります。
多くの方は、
「リーンアウト」=「バランスを取るため」
と考えがちです。
この考えは間違えではありません。
しかし、リーンアウトを上手く活用することで、「自身でバランスを取る」こと以外にも効果を発揮します。
そのうちの1つが「角付け」です。
一段階強い角付けができるのが、このやり方の特徴です。
それでは、「リーンアウトを使った角付け」のやり方をお伝えします。
■基本の考え
1.先に何かしらの方法でリーンを取っていることが前提
2.リーンに対して起き上がるのではなく、一部分のリーンを使ってリーンアウトが取れつつ、角付けを強める
■トゥサイド
1.上半身をノーズ方向に向ける
2.リーンを取る(体全体の傾き、もしくは体軸の傾き)
3.ひざを地面に近づける
1.上半身をノーズ方向に向ける
2.リーンを取る(体全体の傾き、もしくは体軸の傾き)
3.後ろ足側の腰を地面に近づける
■ヒールサイド
1.リーンを取る(体全体の傾き、もしくは体軸の傾き)
2.前足側の股関節をアングル方向に引きつつ、地面に近づける
3.後ろの手を板を掴む勢いで下げる
この方法をすることで、板が立ちます。
読んでいて分かった方もいるかと思いますが、「角付けを始める手段」ではなく、あくまで「角付けを強める動き」です。
角付けを始める手段はあくまで体全体の傾き、もしくは腰部を中心に動いた傾きが必要です。
カービングターンの角付けのやり方④脚部を使う
次のカービングターンの角付けのやり方は、「脚部を使う」ことです。
この方法は、やはり板に近い部位を動かすため、一番早く角付けを行うことができるのが特徴と言えます。
この脚部を使っての角付けは、ショートターンなどに有効であり、早いエッジグリップを得ることができるでしょう。
それでは、「脚部を使っての角付けのやり方」をお伝えします。
この記事でお伝えする角付けのやり方は、「つま先の上げ・足首の曲げ」と「脚を体から離すように押し出す」の2つの方法のみをお伝えします。
■トゥサイド
1.前足のスネをブーツのタンに当てて、足首を曲げる
2.前足のひざを地面側に近づける
■ヒールサイド
1.前足のつま先を上げる、もしくはハイバックにふくらはぎを当てる
2.体軸を地面側に近づける
■トゥサイド
1.つま先を伸ばす、もしくは足首を曲げつつ、体から離すように押し出していく
2.腰の位置が板の上にあるように調整する
■ヒールサイド
1.かかと側で板を体から離すように押し出していく
2.腰の位置が板の上にあるように調整する
このように方法は大きく分けて2つあります。
パウダーであるときや、ハードパックのときなど環境次第で、使い分けることがポイントになるでしょう。
なお、足首を曲げるパターンとつま先を伸ばすパターンは、やりやすい方を選ぶのが良いかと思います。
足首を曲げるメリットは、足首にテンションがかかるため自重を板に乗っけることができます。
つま先を伸ばすメリットは、早く角付けを行うことができることです。
相性があるようにも感じるため、自身が感覚をつかみやすい方を使うのが良いかと思います。
カービングターンの角付けのやり方⑤ローテーションを使う
最後のカービングターンの角付けのやり方は、「ローテーション」です。
ローテーションもターンの三大運動の1つです。
そのため、「角付けのやり方?」と疑問を浮かべる方もいることでしょう。
ローテーションの要素として、よく「ズラすため」や「方向づけ」のためと考えている方がいますが、この要素だけではありません。
ここでは、角付けの要素をイメージしやすくするため、3Dで考えていきます。
また、わかりやすいようにヒールサイドを対象としてお話しさせていただきます。
まず、「地面に垂直上に立っている場面」を想像してみてください。
この状態でローテーションをしたとします。
このとき、エッジが雪面に噛まないため、当然ズレます。
次に、「地面に対して傾いている場面」を想像してみてください。
この状態で、ひざ、腰、肩の順にローテーションしたとしましょう。
すると、傾いている段階で雪面にエッジが少なからず噛んでいるため、そこが軸となり、つま先が上がり角付けが強くなります。
さらに地面方向にエッジが食い込むように力が加わるため、よりエッジグリップが強くなります。
このような効果があることがわかったところで、「ローテーションを使うことで角付けするやり方」をお伝えします。
■基本の考え
1.まずは傾きが取れていることが重要
2.傾きとほぼ同時に行うことでも効果がある
■トゥサイド
1.前足のひざを内側にローテーション
2.腰は内側にローテーションしないように、重心を後ろ側にするように動かす
■ヒールサイド
1.前足のひざを外側にローテーション
2.腰、肩もターンに合わせてローテーションし続ける
トゥサイドでは、腰が内側に回旋してしまうことで、ポジションが悪くなりがちです。
そのため、腰はあえてローテーションしないようにしつつ、前足のひざをローテーションしていきましょう。
まとめ
今回は、カービングターンの角付けのやり方に焦点を当てていきました。
角付けと一言で言っても、やり方自体は本当にさまざまです。
この方法を複合させたり、動かす割合を変えることで、板に与える影響は大きく変化していきます。
まずは、それぞれどのように角付けが行えるのかを試してみることをおすすめします。
次回の記事では、今回お伝えした角付けのやり方に対してどのような効果があるのかをお伝えしていこうと考えています。
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