今回は、サマーゲレンデでのオフトレ企画第2弾です。
第1弾は、基本姿勢についてお伝えしました。
▼第1弾
そして、第2弾からはポジションです。
サマーゲレンデでカービングターンをする際に重要になる、ポジション。
冬でもスノーボードでカービングターンをする場合にはこのポジションがとても重要になってきます。
また、ターン中のポジションには様々な考えがあり、やりたいターンによってポジションを変える必要があります。
考え方も人それぞれの考えがあるため、今回お伝えする考えとは異なる方もいるかもしれません。
そのため、今回は私が考えるポジションの違いによる効果を題目とします。
サマーに限らず、冬のシーズンでも重要なことですよ。
サマーゲレンデで練習したいポジションは大きく分けて4つ
サマーゲレンデでは、ターン中にポジションを変えることが難しいです。
そのため、まず始めはポジションを変えることを考えず一つに絞ってターンのトレーニングをしてみましょう。
ポジションは大きく分けて4つあります。
スノーボード上で「高い姿勢」「低い姿勢」「前足重心」「後ろ足重心」です。
厳密には、この組み合わせでポジションができます。
②前足重心で低い姿勢のポジション
③後ろ足重心で高いポジション
④後ろ足重心で低いポジション
これらのポジションはそれぞれで、効果が異なります。
今回は、組み合わせる前に、「高い姿勢」「低い姿勢」「前足重心」「後ろ足重心」を一つ一つ分解してそれぞれの効果を考えていきます。
なお、この記事でお伝えする「高い姿勢」「低い姿勢」は【板に対して高いポジションか、低いポジションか】です。
雪面側に対してではありません。
スノーボードでポジションを高くする効果
ポジションを高くすることによる効果
スノーボードでポジションを高くすることによる効果は、意識するタイミングによって異なります。
まず、ベーシック(立ち上がりとしゃがみ込みの運動)で考えてみましょう。
ベーシックでは、
「切り替えをしやすくするため」
という理由でポジションを高くします。
高いポジションを取っていることで、重力に引っ張られやすくなるため、重心移動もしやすいということです。
次に、ターン中にポジションを高くしようとするとどうでしょうか。
※ここでの「ポジションを高くする」とは、スノーボードの上でしゃがんでいない状態のこととします。
ターン中にポジションが高い状態にあるということは、考え方によっては、
「外力に負けることなく、ポジションを高い状態を維持しようとしている」
ということになります。
要は、「脚がある程度伸びている」、「曲がらないように耐えている」ことになります。
私は、脚が伸びることにより、外力との釣り合う力を板にぶつけるような効果が出ると考えています。
要は脚が曲がっているよりも脚が伸びている方が、板に力が加わりやすいということです。
このようにポジションを高くすることによる効果があると考えています。
・切り替えがしやすい
・ターン中では、板に力が加わりやすくなる
ポジションを高くすることによるデメリット
まず、切り替えの際にポジションが高い状態を考えてみましょう。
「メトロノーム」をイメージしてみてください。
重りが高い位置にあるときと、低い位置にあるときでリズムが変わるのを想像できますでしょうか。
「高い位置に重りをつけた場合」は、リズムがゆっくりです。
反対に「低い位置に重りをつけた場合」は、リズムが早くなります。
これと同じであり、高いポジションだと雪面までが遠いため、近づくまでに時間がかかります。
また、起き上がるのにも時間がかかります。
ポジションを高くすることによるデメリットは、
「動きが大きくなるため、内傾と立ち上がりの動きが遅くなる」
ということです。
重心移動はしやすくなり、強い力をかけることができる効果の反面、このようなデメリットがあると考えています。
・雪面に近づくまでに時間がかかる
・ピークの姿勢から立ち上がるのが遅い
スノーボードでポジションを低くする効果
ポジションを低くすることによる効果
スノーボードでポジションを低くする効果に関して考えてみましょう。
まず、ベーシックで考えていきます。
ベーシックでは、ターンの外力が強くなるところで「脚の曲げている姿勢」を作っています。
この曲げた姿勢は、低いポジションを作ることで「安定しやすい姿勢を作るため」に行っている技術です。
サスペンション技術と考えても良いでしょう。
関節の曲げにより、自身にかかってくる力を無理に受けることなく、必要な分だけを受け止めます。
そして、雪面の凹凸に合わせて、ひざが曲げ伸ばしされることで衝撃が吸収され、板が雪面から飛ばされにくくなります。
このように、低いポジションになることでバランスが取りやすくなるため、安定感は出ます。
次に切り替えで考えてみましょう。
切り替えで低いポジションを作ることができれば、最初から雪面に近いので、内傾を早く取ることができます。
・ターン中に低いポジションを作ることで安定しやすくなる
・低いポジションで切り替えることができれば、雪面へのアプローチが早い
ポジションを低くすることによるデメリット
ポジションを低くすることによるデメリットは、ベーシックの要素で行うと、板のたわみが弱くなることです。
ベーシックの動き単体で考えれば、板のたわみを弱くすることに関してはそこまで問題になりません。
しかし、カービングターンとして考えますと、板にかかる力が弱いと言えるでしょう。
外力を板に強くぶつけたい場合には、外からくる力をいなさずにせき止める方が効果があります。
また、切り替えでは内傾の最高到達地点までは早いですが、「動きにくい」ことがデメリットと言えます。
・脚部を曲げて低くなる場合、外力を受ける量が少し弱くなる
・切り替えをしようとしても、動きにくい
スノーボードで前足重心のポジションの効果
ポジションを前足重心にする効果
ポジションを前足重心にすることで、「ノーズがたわむ」という話を聞きます。
この理論にも様々な考えがありますが、私の見解としては、
「板がフォールラインに落下する際に、重心がノーズ側にあることで、落下する力をノーズにぶつけることができるため、ノーズがよりたわむ」
のだと考えています。
ノーズがたわむことでの効果は、深いターンができることです。
ノーズがたわむことで早く板の先端の進行方向を変えるため、ターン弧がつぶれたようになる、いわゆる深いターンが可能になるのです。
また、ノーズから入ったたわみを上手く利用して、最終的に上手く力を抜くことができれば、板は走ります。
このようにたわみを得るための方法の一つとしても有効です。
たわみの他には、「操作性の向上」が考えられます。
前足側は、ハンドルとして考えられることが多いです。
例えば、「後ろにいる方が前足が軽くなるので動かしやすくなる」というものです。
私もこの説は、確かに前足が動かしやすくなるため、一理あると考えています。
ただ、ノーズのエッジグリップが弱くては、トーションを利かすだけになってしまうため、板がしっかりと噛まず思ったように操作がしづらいです。
この方法は、ポジションが定まっているからこぞ使える方法だと考えています。
一方で、「前足重心にすることで、エッジを噛ませた上でズラすことができる」というのもあります。
重心を前足寄りにすることで、板を面側に押し出して、微量にズラしていくというものです。
もしくは、前足重心にすることで意図的にテールをズラして板の進行方向を変える、ということも可能です。
要は使い方次第で、操作性が向上することも考えられるということです。
・ノーズがたわみやすい
・やり方次第で、操作性が向上する
前足重心のポジションのデメリット
前足重心のポジションのデメリットは、板を立てることができなければ、ノーズドロップになるだけということです。
板が立たないとエッジグリップができず、テールがズレてしまうのです。
それにより、ノーズがすぐにフォールラインに向いてしまいます。
さらに、ノーズドロップだけではなく、ターン中にも板がズレてしまうことがあります。
テールが軽くなることが大きなデメリットと言えるでしょう。
また、前足重心の場合、板が詰まってしまうことがあります。
よく板が詰まって前に吹っ飛んでしまう場合は、不適切な前足重心になっているのかもしれません。
・板が立たないとテールがズレる
・不適切なタイミングで前足重心になるとノーズが詰まる
スノーボードで後ろ足重心のポジションの効果
ポジションを後ろ足重心にする効果
ポジションを後ろ足重心にする効果を考えてみましょう。
まず、後ろ足重心にすることで、エッジグリップが感じやすくなります。
ヒールサイドターン中によくズレるという話を耳にしますが、これは「テールがズレる」ことが原因の可能性が高いでしょう。
そして、テールがズレる要因の一つに「前足に乗ってしまっている」ということが挙げられます。
ということは、後ろ足に乗ることで「ズレる」ことは少なくなるということです。
一つの要因として挙げているだけですので、これだけが原因ではありませんが、後ろ足に乗ることでテールが逃げることなくしっかりとグリップしてくれることもあるでしょう。
サマーゲレンデの場合は、特にエッジグリップが弱いと、テールが逃げてしまいます。
意図的にテールのエッジグリップを強めるためにも、後ろ重心にしてみることをおすすめします。
エッジグリップの他の効果としては、「抜けを良くすることができる」ことです。
後ろ足重心にすることで、たわみの解放をテール側にて送り出すことができ、板を前に送り出すような効果があるのです。
・テールのエッジグリップが強くなり、ズレにくくなる・上手く重心を移動できれば、抜けが良くなる
後ろ足重心のポジションのデメリット
後ろ足重心のデメリットとしては、ターンの入りでノーズのエッジグリップが弱くなることです。
板を立たせることができれば、最近の板の性能上ノーズのエッジは噛みます。
しかし、角づけが弱ければ、ノーズがフォールラインに落ちてしまいます。
そのため、ターン後半に動きが集約しやすい傾向が多くなるのです。
また、後ろ足重心でターンに入ってしまうと、前からのたわみが弱いため、走りが弱くなることもあります。
重力による板のエッジグリップをしっかりとしたいのであれば、やはり前足から捉える必要があると言えるでしょう。
ただし、後ろ足重心であっても前足で押さえることができれば走りを出すことも可能ではあります。
・板の立ちが弱いと、ノーズがフォールライン方向に落ちてしまう
・常に後ろ重心だと、走りが弱くなる可能性がある
まとめ
今回は、サマーゲレンデのポジショントレーニングをする上で、一つ一ポジションを分解してどのような効果があるのかを考えました。
この考えが全てではありません。
スノーボード自体がまだ発展途上のスポーツであるからこそ、新しい考え方が出てくることもあります。
また、理論には様々な方が、それぞれの考えをお持ちです。
私自身も全ての方が同じ効果を体感するとは限らないと考えています。
というのも「板の性能」「骨格・体格」「柔軟性」「動くタイミング」「滑走環境」などで感じ方が異なると思っているからです。
私が現状で感じ、考えているポジションの効果としてお伝えさせていただきました。
皆さんもポジションの変化によってどのような効果の違いがあるのかを改めて洗い出してみると、今後の練習に活かすこともできますよ。
コメント