スノーボードをするためには、まず山から滑り降りる必要がありますね!
しかし、最初から板の先端を下に向けてまっすぐ降りるのは至難の業です。
そこでまずは、板を横にして滑る基礎技術の「サイドスリップ」(横滑り)を覚えていきましょう。
このサイドスリップは、【ブレーキ】にもつながる技術です。
サイドスリップを身につけるための重要なポイントを詳しくご紹介していきますよ!
※大人の方を対象としたやり方です。
小さいお子さんの場合は、筋力の問題でこの方法ができない可能性もあります。
ちなみにサイドスリップ(横滑り)をする際には、立つことができる必要があります。
そして、立ち上がること自体難しいことですので、まだ下記の記事を読んでいない方は、下記の立ち方を書いた記事から読むことをおすすめします。
なお、「長い記事は嫌!」「簡単にやり方のみを知りたい!」という方は、下記の記事にやり方のみを載せているので、こちらを読んでみてください。
スノーボードの技法「サイドスリップ」とは?ブレーキにつながる技術!
スノーボードの技法でもあるサイドスリップ。
スノーボードにまだ行ったことない方は、サイドスリップと聞いてもパッとイメージしづらいかと思います。
このサイドスリップとは、冒頭でお伝えしたとおり、板を横にしたままの状態で斜面をまっすぐ滑る技術のことです。
このように板をまっすぐにすることからも「横滑り」と呼ばれることもあります。
かかと側(ヒール)とつま先側(トゥ)がある
スノーボードは横向きで行うスポーツのため、正面側と背中側があります。
そして、サイドスリップ(横滑り)では斜面に対して板を横にして滑るため、斜面下を向く「かかと側」と、山を向く「つま先側」が存在することになります。
ちなみに専門用語としては、かかと側を「ヒールサイトもしくはバックサイド」、つま先側を「トゥサイドもしくはフロントサイド」と呼ぶことがあります。
そして、上記のように向きが変わると、難易度も変わってきます。
理由は、間接の動かし方の違いにあります。
人は、正面側と背中側で関節の動きが異なるため、かかと側とつま先側でやりやすい方とやりづらい方が存在するのです。
ブレーキにつながる技術
サイドスリップは、スノーボードをするうえで最初に覚えていただきたい技術です。
その理由は、【ブレーキ】につながるからです。
そもそも、スノーボードをする上で止まり方を知らずに滑るのは、怖いと思いませんか。
ブレーキの仕方と知らずに自転車に乗るのと同じだと考えると、想像は難しくないでしょう。
この恐怖を和らげるためにも、サイドスリップを覚えていただきたいのです。
そして、何よりスノーボードの初心者だけに必要な技術ではない、というところもポイントです。
斜面が急でターンをして滑ることが難しいときや、雪面がボコボコであるときなどにも使えます。
裏を返せば、サイドスリップができれば大体のところは滑ることができます。
極めれば、初心者でも頂上にいくことができる可能性を秘めている技術と言えるのです。
サイドスリップ(横滑り)は足首の動かし方がポイント
ここでは、実際にサイドスリップ(横滑り)をするやり方をお伝えしていきます。
サイドスリップ(横滑り)で大切なのは「足首の使い方」です。
足首が使えると【滑走を行う】ことができ、【ブレーキ】もできます。
サイドスリップ(横滑り)をするにあたり、とても重要となるポイントですので、頭に入れておきましょう!
ここからは、かかと側を「ヒールサイド」、つま先側を「トゥサイド」と表現させていただきます。
「ヒールサイド」と「トゥサイド」で足首の使い方が異なることを頭に入れて見てみてください。
ヒールサイド(かかと側)のサイドスリップの足首の使い方
ヒールサイド(かかと側)のサイドスリップの足首の使い方は、【つま先の上げ下げ】です。
下記は、座った状態でつま先を動かしているイメージです。
※GIF動画では、つま先以外にも動いてしまっていますが、実際には「つま先のみ」を動かします。
◆板を装着していない状態
◆板を装着した状態
ただつま先を上げたり下げたりするだけですので、とても簡単です。
それでは、なぜこの動きでサイドスリップ(横滑り)ができるのか、をお伝えしていきましょう。
その場に座って、両足のつま先を上げたまま、板を押そうとすることをイメージしてみます。
※つま先を上げたまま=足首が曲がっている状態
雪面に板が引っかかり、板を押しズラすことがしづらいことがわかります。
これがヒールサイドでの【ブレーキ】になります。
ブレーキがかかる理由は、板が雪面に対して斜め(立つ動き)になり、エッジという金属の部分の角が引っかかるために起きます。
一方で、つま先を下げた状態で、脚を少し伸ばすことをイメージしてみます。
※つま先を下げる=足首が伸びている状態
よりわかりやすいように、両手でお尻を浮かせて板の滑走面を雪面に着けています。
これで、板が滑ることがわかります。
このようにヒールサイドでは、つま先を下げることで【滑走】ができる状態になります。
滑走できる理由は、板が雪面に対して寝る(平行に近くなる)ため、板の滑走面(ソール)が接地し、エッジによる引っかかりが弱くなるからです。
トゥサイドのサイドスリップの足首の使い方
トゥサイドのサイドスリップの足首の使い方は、【ブーツに頼るようにして足首を曲げる、曲げを緩める】です。
スノーボードのブーツは通常の靴と違い、硬めにできているため、このブーツの硬さを利用します。
上記のようにブーツのタンをスネでつぶすイメージで、足首を曲げていきましょう。
ブーツは硬いので足首を曲げることができれば、必要な分だけ板が立ち、ブレーキがかかります。
それでは、動かし方のイメージをお伝えします。
※横向きのため、片足にしか印を書いていませんが、実際には両足で行います。
◆板を装着していない状態
◆板を装着した状態
ここでの動かし方のポイントは、「スネをつま先に近づける」ようにしてひざを曲げることです。
この動きをすることで、スネがブーツのタン(スネの前の部分)に当たり、足首が曲がっていきます。
そして、かかとが微量に浮きます。
「かかとが浮く=板が立つ」ことですので、エッジが引っかかり、【ブレーキ】がかかります。
ブーツに当たっているスネを少し離すようにして、足首の曲げを緩めます。
足首の曲げが弱まることで滑走面が接地し、エッジの引っかかりが弱くなるので、【滑走】ができます。
※足首の曲げを緩めるときには、ゆっくり少しずつ行うようにしてください。
急激に行うと、反対方向に転ぶ可能性があります。
サイドスリップ(横滑り)のやり方
基本的なやり方のポイントをお伝えしたところで、実際のやり方をお伝えしていきます。
ヒールサイド(かかと側)のサイドスリップのやり方
それでは、ヒールサイド(かかと側)のサイドスリップ(横滑り)のやり方からお伝えします。
1.ヒールサイド(かかと側)で立つ
※つま先を少し上げておく意識を持つ
2.つま先をゆっくり下げて、滑り出したらつま先の動きを止める
3.スピードを遅くしたかったら、つま先をゆっくりと上げていく
◆一連の流れのイメージGIF動画
やり方は、つま先の上げ下げですが、「ゆっくりと上げ下げする」ことを意識するようにしてみてください。
トゥサイド(つま先側)のサイドスリップのやり方
次は、トゥサイド(つま先側)のサイドスリップ(横滑り)のやり方です。
1.トゥサイド(つま先側)で立つ
※スネをブーツに当てながら足首を曲げて、お腹を山側に出しておく
2.お腹を山側に出したまま、足首の曲げをゆっくり緩める
※ブーツに当てているスネの当たり具合を緩める(ひざの曲げを緩める)
3.スピードを遅くしたかったら、お腹を山側に出したまま足首をゆっくりと曲げていく
※スネをブーツに当てていくことで足首が曲がる
◆一連の流れのイメージGIF動画
こちらのやり方は、おへそを出し続けたまま足首の曲げ、緩めでできます。
しかし、足首を緩める際には特に注意してほしいのですが、「ゆっくりとスネの当たり具合を緩める」ようにしてください。
曲げるときもゆっくりを意識することが成功のポイントです。
サイドスリップ(横滑り)で注意点とコツ
先ほどは、サイドスリップ(横滑り)のやり方をお伝えしました。
ここでは、より成功率を上げるために、注意点とコツをお伝えしていきます。
滑走する際にはブレーキを完全に緩めない
速く滑りたいからと、ブレーキを完全に緩めないでください。
完全に緩めてしまうと、【逆エッジ】という状態を引き起こします。
【逆エッジ】とは、本来山側に近いエッジが引っかかるはずなのに対して、「斜面側に近い方のエッジが引っかかってしまう状態」のことです。
上記の画のように、逆(斜面下側)のエッジが引っかかるため、体が斜面側に放り出されてしまう可能性があります。
このようにならないためにもブレーキを完全に緩めないようにする必要があるのです。
逆エッジは、スノーボードにおいて切っても切り離せない現象ですので、できるだけ逆エッジにならないようにブレーキを調整できるようにしましょう。
それでは、どのようにしてブレーキを調節するのでしょうか。
ヒールサイドのサイドスリップであれば、「つま先を下げすぎないこと」です。
つま先の下にウズラの卵があると考えてみてください。
完全につま先が下がり雪面に着いてしまうと、スノーボードに卵がつぶされることを想像します。
このように意識することで、つま先を下げすぎず、ブレーキが常にかかっている状態にしやすいです。
トゥサイドのサイドスリップは、「ブーツのタンからスネが完全に離れないようにする」ことです。
常にスネがブーツのタンに当たっている状態を感じることができれば、ブレーキが完全に緩むことは少ないでしょう。
動かすスピード
ブレーキを常にかけておくことをお伝えしましたが、その他にも注意すべき点があります。
それは、足首を使うときのスピードです。
例え話をします。
自転車や自動車に乗ったことがある方は、共感していただけるかと思います。
乗り物で走行している状態で、急ブレーキと急発進をしたとします。
上記の画は極端な例ですが、急発進や急ブレーキをすると、体は前や後ろに動きやすいのです。
これをスノーボートに置き換えます。
スノーボードは、バランスを取ることが必要です。
そのため、このように体が前や後ろに大きく動いてしまうと転倒しやすいというのは想像に難しくないでしょう。
そして、このサイドスリップでは、「足首を動かすスピードが速い」場合に急発進や急ブレーキが起きやすいです。
そのため、【ゆっくりと足首を使う】ようにしてみてください。
動かす速度としては、「動いているのか?」と思うぐらいの感覚が良いでしょう。
斜面が急になればなるほど、少しの動きで滑ってくれます。
そして、滑り始めたら、動きを止めるもしくはブレーキをかけ始める意識をすると、スピードコントロールがしやすいですよ。
このように微量に動く技術を身につけることができれば、いつでもコントロールができるという自信につながるので恐怖心が薄くなります。
恐怖心が薄れれば体に無駄な力が入らないので、疲れずらく、よりスムーズに板を操作ができるようになります。
ブレーキしても完全には止まらない
スノーボードのブレーキは基本的に「停止」ということではなく、「スピードコントロール」がメインになります。
そのため、スピードが遅くなれば、それでブレーキがかかっていることになります。
遅ければブレーキができているということを頭に入れ、できるだけリラックスするようにしましょう。
リラックスできれば、より体が動くようになり、結果的にブレーキも強くなって止まることもできるかもしれません。
リラックスする
恐怖心があることによって、体に力が入ってしまうことでしょう。
しかし、できることならリラックスした状態を作っていただきたく思います。
まずは立つ前に深呼吸をしましょう。
その状態で、ヒールサイドのサイドスリップならつま先を上げたまま立ち始めます。
これにより、ブレーキがかかった状態になるため、滑り出す恐怖心が減ります。
姿勢
リラックスしてブレーキをかける動きをしても、滑ってしまうことがあります。
その理由の多くは、姿勢にあります。
怖いあまりにへっぴり腰にならないようにがんばりましょう。
そして、頭が下がらないようにします。
できるだけ、まっすぐ立つことが理想です。
ただ、ピンと立つのは違い、関節は柔らかく使いたいので少し曲げておく意識を持っておきます。
そして、本当に少しだけ山側に傾く意識を持ちます。
これにより、ブレーキの効きも良くなります。
また、姿勢に関しては、特にトゥサイドのサイドスリップに注意していただきたいことがあります。
それは、お尻を背中側に引かないようにすることです。
お尻を背中側に引いてしまうと、いくらブーツのタンにスネを当てて足首を曲げてもブレーキがかかりづらいです。
上記の画のように滑り続けてしまうと、最終的に逆エッジになってしまいます。
そこで、おへそを山側に出すようにして立ってください。
これで体がまっすぐになるため、かかとが浮きやすくなり、ブレーキがかかりやすくなります。
目線
目線にも注意してください。
体をまっすぐにするためにも重要なポイントです。
目線を雪面の方(下)を見ないようにして、顔を上げます。
頭は体の一部の中でも重い部分ですので、下を向くことで頭が前に出てしまい、バランスが悪くなります。
そうならないように、頭を上げます。
そして、頭を上げて前を向くことで、周りを見ることができるため、人とぶつかりづらくなります。
まとめ
このサイドスリップ(横滑り)は、スノーボードの技術としては基礎中の基礎です。
ここがしっかりとできるのと、できないのでは他の技術の習得にも違いが出ます。
インストラクターは、片足だけボードにつけてサイドスリップを行うことで、感覚を磨いているほどです。
そして、基礎だからこそ他の技術に結びつくことが多いのです。
すでにサイドスリップができるスノーボード中級者もこのような細かなところも気にしてみてください。
もちろん、スノーボード初心者の方もこの記事でご紹介した方法を試してみてください。
また、次は木の葉落とし(斜め滑走)の記事を書いています。
サイドスリップも木の葉落としもターンにもつながる技術ですので、紹介する方法をぜひ覚えてみてください。
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