スノーボード初心者の方のほとんどは、ボード用品一式を購入した際にショップ店員に取り付けてもらうことが多いかと思います。
しかし、初回はセッティングしてもらっても、その後は自身で取り外しや取り付けを行わなければいけません。
逆にバインディングの取り付けや取り外しができれば、スノーボードの用具の理解が深まりますので、初心者脱却の一歩とも言えるでしょう。
そして、自身に合うバインディングのセッティングは実はそれぞれ異なり、スノーボードの上達速度に大きく影響します。
ぜひ自身でセッティングができるように、付け方や外し方を知っておきましょう。
なお、用語から説明していきますので、知っている方は「スノーボードのバインディングの外し方」から見てみてください。
スノーボードのバインディングの付け方・外し方に関する専門用語
スノーボードにバインディングを取り付け、取り外しをするにあたり、各箇所に専門用語を要します。
そこで、まずは専門用語を覚えていただきたく思います。
※今回の記事で使用しない用語は割愛します。
ボードの専門用語
板の進行方向側の先端のことを指します。
ノーズと反対側の先端のことです。
板の端に取り付けられている金属部のことです。
バインディングをボードにネジで取り付ける際に使用する、ネジの受け口のことです。
バインディングの専門用語
足を置く土台のことをベースプレートと呼びます。
ベースプレートのかかと側にあたるパーツのことです。
ベースプレートと一体になっているものや、独立して別のパーツとして組み合わさっているものがあります。
バインディングをボードに取り付ける際に固定する土台のことで、センターディスクなどとも呼ばれます。
ディスクプレートがあるため、バインディングの角度を変えることができます。
足首やつま先に取り付けることによって固定するパーツのことです。
足首側をアンクルストラップと呼び、つま先側をトゥストラップと呼びます。
バインディングのつま先側を少し伸ばしたりする機能のことです。
バインディングによって備わっているものと、備わっていないものがあります。
ブーツのサイズに合わせて調節するためのパーツです。
ベースプレートについているふくらはぎの下側に沿うようにできているパーツです。
起こしたり、寝かせるなど動かすことができます。
ハイバックを起こしたときの角度を調節するためのパーツです。
バインディングによってドライバーを使用するものと用具を使用せずに簡単に調節できるタイプがあります。
セッティングの専門用語
スノーボードはご存知のとおり、横向きでボードに乗るスポーツです。
この横向きでボードに乗る際に、バランスを取るために足を広げます。
この両足間の幅をスタンス幅、もしくはスタンスとも呼びます。
ボードに取り付けるバインディングの向きは、板に対して真横ではありません。
進行方向に体を向きやすくする、バランスを取りやすくするなどの理由でつま先の向きを変えています。
そして、バインディングの向きのことを「角度」いわゆるアングルとして示されます。
アングルは、ディスクプレートのメモリに記載しており、通常のディスクプレートは1メモリ3度ずつで設定されています。
バインディングを「つま先寄り」「足の真ん中」「かかと寄り」に調節する際に使用する用語です。
バインディングの取り付け位置を、テール寄りに取り付けることを言います。
これらの専門用語を知ったところで、バインディングの外し方と付け方をご説明していきます。
スノーボードのバインディングの外し方
冒頭でお伝えしたとおり、初心者の方の多くはショップ店員に取り付けをお願いするかと思いますので、まだ付いている状態かと思います。
そこで、まずはスノーボードのバインディングの外し方からお伝えします。
取り外し、取り付けの際には、「3番のドライバー」(少し太めのドライバー)を使用します。
1.バインディングのハイバックを起こす
2.ドライバーをビスの頭に当てて、反時計回りに回す
ドライバーで回すときは、少しだけビスを下に押しつけるようにして回すと頭がなめづらい(角が無くなりづらいる)です。
3.ビスとワッシャーを無くさないように保管したら、板からバインディングを外す
外すのは、とても簡単です。
ただし、外してしまうと【どの角度でどの位置に付いていたのかがわからなくなる】ということに陥ってしまうこともあります。
そのため、外す前には、ディスクプレートの角度のメモリと、バインディングを板から離した際に穴の位置を確認しておくことをおすすめします。
もし、角度を一から変えるのであれば覚えておく必要はないでしょう。
スノーボードのバインディングの付け方
まずは、簡単にバインディングの付け方を理解しましょう。
※セッティングの各ポイントは後ほどご説明します。
1.ボードのビス穴の取り付け箇所を確認
ビス穴はノーズ側、テール側に各8ヵ所程度あります。
※ボードによってはこのビス穴の数が異なります。
ビス穴はノーズ、テール双方で4ヵ所ずつ(四角い位置)で使います。
2.ビス穴の取り付け位置を決めたら、そのビス穴の上にバインディングのディスクプレートの穴の位置を合わせる
3.ワッシャーをディスクプレートの穴に合わせて、ワッシャーの穴にビスを入れる
4.ビスの頭にドライバーを付け、反時計回りに回して「ゴリッ」と音が鳴ったら、時計回りに回して締めていく
このようにして全てのビスを取り付ければ、バインディングの基本の付け方は完了です。
ただし、これはあくまで基本的な付け方であり、セッティングを考慮していません。
そのため、次ではセッティングの仕方をお伝えしていきます。
スノーボードのバインディングのセッティング
スノーボードのバインディングを取り付ける際には、セッティングをする必要があります。
ここでは、セッティングのポイントをお伝えします。
バインディング間のスタンス幅
バインディングのスタンス幅は両脚の幅を決めるためであり、取り付けビス穴の位置で幅が変わります。
板の長さによって数字は異なりますが、「52cm」などとcmで表され、バインディングの取り付け位置は基本的に「2cm」刻みで移動します。
このスタンス幅はビス穴で留められる位置であれば、狭くも広くもできます。
この広さは、人それぞれで決めることになり、これが正解というのは基本的に存在しないと言っても良いでしょう。
ただ、狭いと関節が動かしやすい分バランスが取りづらく、広いとバランスは取りやすいが体を動かしにくくなる、という特性はあります。
最初は、狭くしすぎたり、広くしすぎたりせずに「中くらいの広さ」が良いでしょう。
バインディングのアングル
バインディングのアングルを変えることで、2種類の姿勢が作れます。
「ダックスタンス」・・・両足のつま先を体に対して外側に角度をつけた姿勢
レギュラースタンスにする方の多くは、滑りに特化したカービングターンを行う方です。
一方で、ダックスタンスの方に多いのは、グランドトリックやジャンプを行う方です。
初心者にもダックスタンスが多く、レンタル用のスノーボードのセッティングもほぼダックスタンスにしていると思われます。
そして、後ろ脚をノーズ側に角度をつけた場合は「+(プラス)」、反対に後ろ脚をテール側に角度をつける場合を「-(マイナス)」として「度数」をつけていきます。
そのうえプラスの場合は、あえて「+」記号をつけずに表記されます。
また、度数はディスクプレートの1メモリが3度ですので、3の倍数で表されます。
レギュラースタンスの場合の数字の例は、「前30,後ろ15」などです。
前足が「30度」、後ろ足が「15度」プラスに向いていることがわかります。
それでは、ダックスタンスではどうでしょうか。
ダックスタンスの例は、「前15,後ろ-9」などです。
このように後ろ足はマイナスに「9度」向いていることがわかります。
バインディングのセンタリング
ディスクプレートの穴は、取り付け位置を選択できるように長い穴が空いているタイプと、複数の穴が空いているタイプがあります。
この穴の取り付け箇所によってバインディングをつま先寄りにも、かかと寄りにもつけることができます。
このとき、ディスクプレートの向きが重要です。
長い穴の位置をバインディングに対して縦長の状態にしてください。
横向きでは、つま先寄りかかと寄りではなく、ノーズ寄りテール寄りになります。
このセンタリングは、初心者であれば板に対して【ブーツのつま先とかかとが同じ量がはみ出る】ようにするのが良いでしょう。
厳密には、「ブーツのつま先」と「バインディングのヒールカップ」が同じ量はみ出るように調整できるとより良いです。
バインディングのフォーワードリーン
ハイバックの後ろについているフォーワードリーンというパーツを確認してみましょう。
ショップでは様々な人が商品を触るため、このフォーワードリーンを触ってしまうことがあります。
このフォーワードリーンによって、ハイバックの角度がつきすぎてしまうと、ふくらはぎを圧迫することになり、痛みを感じてしまうことがあります。
また、初心者のうちは、まっすぐに立つことができず上達を妨げることがあります。
一度確認してみて、フォーワードリーンアジャスターが「下に下がっている」状態であれば、上に上げてハイバックの角度を緩くしてみましょう。
ブーツへの圧迫がなくなり、楽にまっすぐな姿勢を作ることができるかもしれません。
ターン技術を身につけている方でしたら、ハイバックの角度をブーツの後ろの傾斜とピッタリと合うように調整すると良いでしょう。
バインディングのストラップ調整
「バインディングのストラップは止まればいい」と考えている方も初心者には多いかと思います。
しかし、しっかりと締まっておらず、締め加減が弱いことがあります。
これでは、上手くボードをコントロールできない可能性もあります。
なかには、「限界まで締めてもこれ以上いかない」と諦めている方もいるかと思いますが、調節次第で解決できるかもしれません。
ストラップの調整は、基本的にギザギザしていない受け口(ラチェット)の付いているストラップに、ネジが付いているかと思います。
このネジの取り付け位置を変えることで、長さの調節ができます。
※ネジは、ドライバーで対応できるものから、スパナではないと取り外せないものもあります。
このストラップを締めたときに、ブーツを均等に締めているような状態だと、完璧です。
バインディングのガスペダル調整
バインディングにガスペダルというパーツが付いている場合は、ぜひ活用しましょう。
ベースプレートのつま先側が少し動くようになっているものは、ガスペダル式のバインディングです。
ブーツを乗せたときに、ブーツのつま先の反りに合わせるようにガスペダルをセッティングできると良いです。
このようにセッティングすると、ブーツの先端がガスペダルよりはみ出ているかと思いますが、これで問題ないです。
逆にブーツの先端と同じ量前に出してしまうと、バインディングが雪面に接触しやすくなってしまいますので、ご注意ください。
このガスペダルの調整は、ブーツサイズが大きい方に有効です。
スノーボード初心者おすすめのバインディングの付け方・セッティング
バインディングのセッティングで見るべきポイントについてお伝えしたところで、スノーボード初心者におすすめの付け方とセッティングをお伝えします。
スノーボード初心者におすすめのセッティングは、ずばり【両脚を開いてジャンプし、着地した際に脚の関節が軽く曲がる無理のない姿勢が作れる】ことです。
着地した際に、脚の関節が曲げづらいと感じる場合は、脚の幅を調節してみましょう。
板のビス穴の上に立って、上記のジャンプした着地の姿勢を作り、そのビスの穴の位置、幅を確認して取り付けると良いでしょう。
スノーボード初心者におすすめのアングルは、前足「9~18」、後ろ足「0~-9」の間で調整するのが良いでしょう。
初心者におすすめな角度は「前18,後ろ-6」です。
この角度は、後ろ足を少し外側につま先に角度にすることで普段立っている状態に近く、かつ前足の角度を少しつけることで進行方向を向きやすくしています。
横向きでも、ターンでも操作がしやすい角度です。
つま先とかかとが板から同じくらい出るように調節すると良いでしょう。
最初は角度をつけない方が、楽に動けます。
慣れてきたら、ブーツに合わせた角度にセッティングしてみましょう。
アンクル、トゥどちらのストラップもブーツを左右均等に締め込められる位置にしましょう。
ブーツサイズに合わせて、ブーツ先端の反り加減に合わせる程度出しておくと良いでしょう。
前足よりも後ろ足を、ビスの穴の取り付け位置を下げるように取り付けましょう。
基本的にバインディングは、ノーズ側に寄せずに、テール側に寄せることが基本です。
これをセットバックと言います。
どちらにズラせば良いのか、迷った場合はテールに寄せましょう。
まとめ
スノボのバインディングの取り外し、取り付け方は意外に簡単です。
ドライバー一つで取り付けることができます。
しかし、セッティングの仕方がわかりにくいですよね。
そして、調整の幅が大きいため、迷う方もいることでしょう。
もし、バインディングの調整をしたことがないようでしたら、ぜひこの機会に調整してみてください。
ストラップの取り付け位置は、意外にまだ調整ができ、締め加減を変えられる可能性もあるかもしれません。
ちょっとしたセッティングの違いで、やりやすくなることもありますので、今回お伝えした取り付け方も試してみてもらえると嬉しいです。
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