スノーボードのポジションの特性を考えたことはありますか?
スノーボードのカービングの世界では、前乗り、センター乗り、後ろ乗りなどポジションがいくつか存在します。
簡単に言いますと、板の前、真ん中、後ろのどこに乗るのかってことですね。
これらのポジションを組み合わせて滑ったり、一つのポジションだけで滑る意識を持って滑ることがあります。
皆さんの中には、前乗り=悪いと考えている方もいるかもしれないですね。
たしかに前乗りの状態でミスをすることもあるでしょう。
しかし、前乗りが一概に悪いとは言い切れませんよ。
今回は前乗りの特性を、筆者なりに考えていることをお伝えします。
スノーボードの前乗りとは?
スノーボードにおける前乗りは、人によって解釈に違いがあります。
と言いますのも、前の使い方にも幅があるからです。
例えばグラトリでの話です。
ノーズプレスという技をするためには、前足よりノーズ側に乗りにいきます。
ノーズプレスは基本的にテールを上げますので、前足よりノーズ側に体重を乗せにいきます。
それではターンでの前乗りを考えてみましょう。
ターンでは、基本的にノーズプレスのときのように前に乗り込むことは少ないです。
よっぽど硬い板を使っていたり、ノーズに過剰なプレッシャーを掛ける技術を要さない限りはデメリットのほうが多いですからね。
それでは、カービングの世界で一般的にどのくらいまで前に重心を移動させるのでしょうか?
これは、技術によって考え方は様々です。
人によってどこに乗るのか、考え方が異なります。
まず、前足の真上まで乗り込むケースです。
前足の真上に乗り込むことで、前足に体重を乗せてノーズへプレッシャーを掛けるパターンですね。
これはカービングでの前乗りでも、大きく重心を移動するケースです。
このように大きく動くことを前乗りと考える方もいます。
しかし、これが全ての人が考える前乗りではありません。
他には、センターよりも少しでも前に重心を置くことを前乗りだと考えている方もいます。
少量でも前に動くことで、前足のブーツにプレッシャーを掛けやすくし、前足を使えるポジションに移動します。
なお、これは前に乗りに行っても、後ろ足が使える程度に配慮しているポジションと言えるでしょう。
さらには、基本のポジションを後ろに置きながら、上体や前足の関節の曲げを利用して前に乗るという技法もあります。
上体の屈折を利用するパターンや前脚の関節の曲げを利用して体を傾けるパターンなどですね。
■上体の屈折を利用するパターンGIF
■前脚の関節の曲げを利用して体を傾けるパターンGIF
スノーボードにおける前乗りポジションの作り方は、技術の考え方やバーン状況、ジャンルなどによって考え方が異なると言えます。
前乗りの4つの特性
スノーボードのカービングの世界での前乗りの特性をお伝えします。
・ノーズをたわませやすい
・板の進行方向を変えやすい
・ズレやすい
・詰まりやすい
これらが前乗りの大きな特性だと考えています。
この特性のメリットとデメリットを分解して考えてみましょう。
前乗りのメリット
まずは、前乗りのメリットから考えていきましょう。
ノーズをたわませやすい理由
ノーズをたわませやすい理由をお伝えしていきます。
そもそもスノーボードは、斜面を落下するスポーツです。
そのため、基本的には滑走すると勝手にノーズから力が加わります。
そして、前乗りポジションでターンやカービングをしたとします。
そうすると、前足側で力を大きく受け止めることになります。
そのため、ノーズが局所的にたわみやすくなるというわけです。
ノーズがたわむということは、サイドカーブ(板の曲がる性能)以上に曲がることになるので、通常よりも曲がりやすくなると言えます。
ただし、前乗りすれば必ず曲がりやすくなるという訳ではありません。
条件がいくつか揃うことが必要です。
この条件とは、
・グリップさせられるポジションが取れていること
・ターン中の力を上手く使えていること
です。
さらにターンの切り替え期、前半、中盤、後半のどのタイミングで前乗りするのかも重要なポイントになってくるでしょう。
板の進行方向を変えやすい理由
板の進行方向を変えやすい理由は、テールをズラしやすいからです。
前足側に重心が乗ると、極端なことを言いますとコンパスのように動かすことが可能です。
前足が針で後ろ足が鉛筆のように、前足を軸に後ろ足を左右に振り出す滑り(テールスライドターン)がやりやすくなります。
■テールスライドターンGIF
よく、初心者に前に乗るように指導することがありますが、これは後ろ足を振り出してターンをしやすくすることが主な理由です。
このように後ろ足を振り出してターンをすると、ターン自体が小さくできるので、ターン中の恐怖心を減らす効果が期待できます。
ただし、勝手にズレてしまったり、ズレを止めづらいといったデメリットもあります。
そのため、初心者にターンを教える際に、ブレーキをするために途中で後ろに乗せ替えるよう伝えることがあるのです。
これが初心者に前後動をさせる理由とも言えますね。
しかし、近年は前後動をしなくてもターンができる技術も考えられています。
そのため、指導者によって教え方に違いが出ることがあります。
話が少しズレてしまったので戻しますね。
まとめますと、前乗りするとズラしやすいということは、急な方向転換がしやすい=操作がしやすいということです。
前乗りのデメリット
次は、前乗りのデメリットです。
ズレやすい理由
前乗りするとズレやすい理由をお伝えしていきます。
先ほどのメリットの項ですでに出ているので、それをもう少し細かく伝える内容になります。
ターンをした場合、回転の外側に膨らもうとする力が発生します。
そのため、前足側に重さが乗っていると後ろ足(テール側)が軽くなり、ズレやすくなります。
先程、極論だと「前足に乗り込むとコンパスのように動かせる」とお伝えしましたね。
ということは逆を返すと、前足側は安定しますが後ろ足側は動いてしまうということです。
特に板が雪面に対して寝ていると、エッジングが弱くなってしまうのでズレていきやすいです。
そして、一度ズレてしまうとそのズレを止めることが難しくなります。
■テールがズレてしまうGIF
詰まりやすい理由
詰まりやすいというのは、雪にノーズが埋まって飛ばされたり、バランスを崩すことです。
詰まりやすい理由は、前足に重さが乗るため雪に埋まりやすくなることにあります。
板を立てた状態で前に乗り込むと特に詰まりやすいです。
また、バランスを崩す原因の一つに、ノーズが不必要にたわみ過ぎることも関係しています。
■ノーズが詰まるGIF
前乗りに適している場面
切り替え期やターン前半
前乗りに適している場面は、切り替え期やターン前半部分です。
カービングターンでは、
・ターン前半に前に乗り込むことでノーズにプレッシャーをかけて深く曲げる
・落下の力を利用して切り替えがしやすくなる
などの利点があります。
逆にデメリットの「ズレやすい」「詰まりやすい」という特性から、ターン後半に前乗りをするとミスしやすいです。
そのため、切り替え期やターン前半に前乗りをすることは効果的と言えます。
急斜面
人によっては、前乗りは急斜面にも適しています。
急斜面になると板の加速度が大きくなります。
そのため、体が遅れて後傾になりやすいのです。
このような人は前に乗り込む意識をすることで、後傾対策ができます。
硬めのハードバーン
硬めのハードバーンでカービングターンをするときにも前乗りは使えます。
硬い雪やアイスバーンのときには、ノーズが詰まる可能性が低くなります。
そして、ノーズが雪面に食い込みにくい状況です。
だからこそ、前乗りすることでしっかりとノーズを雪面に食い込ませることができます。
ノーズから食い込ませられれば、深く雪面を削ることができるので、雪の壁をしっかりと作ることが可能になります。
その結果、安定したり、板がたわみやすくなったりします。
前乗りをするようアドバイスすることもある
前乗りの特性から、デメリットのほうが大きく感じる方もいるでしょう。
しかし、人によっては前乗りをするようにアドバイスされることもあります。
例えば、
「後傾になっている人」
「前足が使えていない人」
「板の操作が苦手な人」
などの傾向がある人です。
このような方には、前乗りをするようアドバイスすることで、ポジションの修正を図ることもあります。
他にも、前後動が苦手な方にも前乗りを進めることがあります。
理由は、動ける限界値を上げるためです。
意識的に前に乗ろうとしないと、意外に動けないものですので、前乗りのアドバイスをすることがあります。
また、前乗りの利点を活用するために前乗りを進めるケースもあるでしょう。
まとめ
今回は、前乗りの特性を考えてみました。
前乗りは使い方次第で、大きな効果を発揮できるかもしれません。
もし、後ろ乗りに慣れている人がいるようでしたら、逆に前乗りを活かすことも考えてみると面白いかもしれないですよ。
ただ、普段のターンがズレやすいと感じている方は、前乗りが原因かもしれません。
このようなかたは、後ろ乗りを練習することをおすすめします。
コメント
勉強になりますm(__)m前乗り・後ろ乗り、どちらもマスターできるように頑張ります。
コメントありがとうございます!
気づくの遅くなりました。
すみません
前乗りと後ろ乗りはどちらもできるようになることで、ポジションの幅が広くなりますし、コントロールもしやすくなるので練習してみると良いと思いますよ!
頑張りましょう!