来期、T-plateに新しくIダンパーが発売されることはご存知でしょうか?
昨年度にセンタープレートという板の真ん中に取り付けることで、板の走りが良くなるなどの機能性を持たせたデッキパッドが発売されました。
発売初年度からカービング愛好家から好評の商品です。
このセンタープレートの知識を基に改良を加えてできたのが、Iダンパーです。
このIダンパーを筆者が昨年の冬シーズンとサマーゲレンデにて様々な使い方でテストを重ねてきました。
その結果、色々な効果があることが分かりましたので、今回はIダンパーの使い方と効果の考察をお伝えします!
T-plateのIダンパーとは?
T-plateのIダンパーは、薄いメタルのバーと黒い硬質のスポンジのようなものでできています。
板に貼り付けることで、
板の振動を抑制するなどのあらゆる効果をもたらすアイテム
です。
幅:32mm
高さ:12mm
重さ:45g(1枚)
材質:アルミ・低密度ポリエチレン
加工:白アルマイト
接着面には、脱着が簡単にできるようにマジックテープを使用しています。
雪は天候や時期、時間で状態が変わりますよね。
雪が締まっているときには取り付けて、雪が柔らかくてプレートがいらないと感じたときには簡単に取り外しができます。
そのときの気分で、
その場で使用するかを選択して、
簡単に脱着ができる
のが良いところです。
また、Iダンパーは、T-plate japanのホームページにて4枚セットで販売されています。
4枚もあれば、ノーズ、センター、テールに好きな場所に好きな形で付けることが可能です。
なお、Iダンパーは、ある程度の板に合う硬度になるよう考えて作られています。
細かく伝えますと、去年のテスト時と金属素材の変更点があり、ジェラルミンからアルミに変更しています。
この変更により、柔軟性が増しています。
更に長さもテスト時よりも長く設計されているので、より柔軟さが出るようにしています。
この結果、どの板に合うようになっているだけではなく、
ボードに起きるブレをかなり抑えることが可能
になりました。
このように金属自体がたわませられるように厚みや長さ、素材などを考えて作られています。
更にメタルバーには、アルマイト処理を施しており、錆びにくく、傷つきにくいように加工しています。
また、手で一点に力を入れることで、金属を曲げることができます。
※GIF
そのため、キャンバー形状やロッカー形状にすることも可能です。
そして、板のキックのRに合わせて形を調整できるので、板のどこにでも取り付けることができます。
また、先程Iダンパーが曲がるとお伝えしましたが、金属であることは変わりありませんので、ある程度は元の形に戻ろうとします。
プレート自体に適度に復元力もあるということですね。
※GIF
※GIFのIダンパーは最初から引っ張る方が浮くように反らせています。(ノーズロッカー形状)
この特性を活かすことで、様々な効果が得られるということです。
このIダンパーの製品の説明に関しては、YouTube動画として作りました。
音声とテロップをつけて見やすくしていますので、ぜひチェックしてみてください。
・4枚のアルミ製I型プレート
・マジックテープで簡単にいつでも脱着可能
・形を変えられるので板のスペースさえあれば、どこでも貼り付けられる
・板のブレを抑えられる
T-plateのIダンパーの効果とは?
T-plateのIダンパーがどんな効果を生むのか、をお伝えします。
最初にお伝えしておきますが、Iダンパーは、貼り付ける場所や付け方によっても効果の大小が変わってきます。
そこで、まずは主力となる効果から説明します。
・エッジグリップの向上
・フレックスの剛性と反発力アップ
これらが主な効果と言えるでしょう。
この効果について考察した内容をもう少し細かく説明していきます。
振動抑制効果
Iダンパーは、3つの防振効果かあります。
一つ目、
メタル自体の防振効果
二つ目、
低密度ポリエチレンの防振効果
三つ目、
Iダンパーの適度な柔軟性による防振効果
があります。
実際に板の動きを見てみましょう。
まず、プレートを付けていないヘタった板のノーズのたわみです。
ヘタっているため、大きくたわんでしまいますね。
この板の場合、板に張りがないので雪面とケンカしてしまうとブレてしまい、ブルブルと大きな挙動が起きることがあります。
※GIF
このようにバイスに固定して引っ張ると板がヘタっているため、ノーズが大きく暴れているのがわかりますね。
このように挙動が大きいと、ミスをしたときに立て直しができずに転倒しやすいです。
それでは、Iダンパーをノーズに付けた場合はどうでしょうか?
板がたわむのと一緒にプレートがたわんだ後、ある程度のところでプレートがたわみ過ぎるのを抑えてくれます。
このように適度な板のたわみによって、ターンの進入角度は気持ちの良いラインを作ってくれます。
また、バイスに固定して、板を引っ張ってみましょう。
※GIF
当然、板と一緒にたわむため完全に揺れが収まることはありません。
しかし、ノーズの暴れ方が弱くなることがわかります。
ということは、ミスをして板が叩かれても立て直しが早いということですね。
この挙動を抑えてくれることからも、高い振動抑制効果を得られると考えています。
エッジグリップの向上
エッジグリップの向上に関しては、
Iダンパーによってエッジ側を押さえつける力が増幅するから
です。
メタルによる張りも相まって、エッジグリップ向上に寄与していると考えられます。
また、振動吸収効果によってもエッジグリップが高まると考えられます。
※GIF
このように丸沼高原スキー場サマーゲレンデにあるブラシの段差をものともしないグリップ力を感じることがあります。
なお、プレートの付け方によって効果の大小はあります。
乗り手の好みに合わせて貼り付けてみるといいでしょう。
フレックスの剛性・反発力アップ
フレックス、いわゆるたわみやすさになります。
Iダンパーを取り付けることで、フレックスの剛性アップが見込めます。
剛性が上がれば、スピードに強くなったり、たわみ過ぎてノーズが詰まるということが減ります。
また、力をしっかりと受け止めやすくなるのでターン中の走りを出しやすくなります。
そして、何よりこの効果を活かすことで、ヘタった板の張りと反発を復活させることができます。
こうしてみると、Iダンパー無しのほうがたわんでいるにも関わらず反発は弱いですね。
なお、Iダンパー自体が反発しているというよりは、ヘタった板の張りを復活させて反発力を高めていると考えてます。
効果を裏付ける実験動画
ここで紹介した効果がなぜ起きるのか?
それを裏付けるために3つの実験をしてみました。
こちらもYouTube動画として作りましたので、ぜひチェックしてみてください。
Iダンパーの注目すべきポイント
I型プレートの重量は、1枚あたり45g程度です。
そのため、4枚全部付けても約180gです。
カスタムするのにかなり軽量な点は、何にも変え難い注目すべきポイントと言えるでしょう。
取り付けたいけど、重くなるのは嫌だと思っている方も少なくないですからね。
そして、Iダンパーは単体での使用も可能です。
プレートとセットで使わなくとも効果はあります。
更には、Iダンパーの設置の仕方次第では、
良い意味で付けている感覚がありません。
違和感が少ないと言った方がいいでしょうか。
足元に付けなければ、捻れ具合も変わらず操作感はそのままです。
そのため、板の性能をそのまま活かした状態で振動抑制など補助してくれます。
また、値段は4枚セットで6,800円(税抜き)です。
板を補助するアイテムの中では、かなり格安の商品と言えるでしょう。
更に4枚セットなので、二人でシェア買いすれば半値で使えます。
2枚あれば十分という方には、この買い方も良いですね。
そして、何度も言うようですが、やはり着脱が簡単な点は素晴らしいポイントです。
板の性能を補助するのに軽量で、かつ着脱が可能なので気分や状況によって変えられる。
この性能でこの価格は、かなりコスパに優れているアイテムと言えるでしょう。
・1枚45gととても軽量
・Iダンパー単体で使える
・良い意味で付けている感覚がない
・4枚セットで6,800円と格安
・簡単に脱着ができる
T-plateのIダンパー用マジックテープの貼る位置
Iダンパーを付けるには、付属のマジックテープを自分自身で貼り付けます。
そこでマジックテープの貼り付け位置についてお伝えします。
基本的には自由です。
ただ、どこに貼るのが良いのか悩む方もいるかと思いますので、斜めに貼り付けるときの位置の目安だけお伝えさせていただきます。
板に貼る位置の目安は、先端がキックの反り返りのところ5〜7cm程度を目安。
また、先端側がエッジから約1cm、後ろ側が5cm程度離して斜めに貼り付けます。
ここら辺は板によってもキックの反り返り具合や太さが異なりますので、適度に合わせてみてください。
T-plateのIダンパーの基本的なカスタム方法と効果
ここでは、
基本的なカスタム方法(貼る場所と貼り付け方)
と
それぞれの効果の違い
をお伝えします。
※★が多いほど、効果が高くなります。
なお、★が多いから良いわけではなく、板のスペックとのバランスやどの効果が欲しいのかで決めると良いでしょう。
※あくまで筆者の感覚のため、効果は個人差があります。
※板にマジックテープが付いて見づらいですがご了承ください。
ノーズに貼り付ける①(縦貼り)
ノーズにIダンパーをエッジ際に縦に貼り付けるパターンです。
・エッジグリップ ★★★
・衝撃吸収性 ★★☆
・剛性復活 ★★★
■使用感想
Iダンパーをエッジ際に縦に貼ることで、エッジグリップが強くなります。
また、直にエッジ際を押さえるため、剛性は高まります。
そのため、人によっては硬さを感じることもあるでしょう。
ノーズに貼り付ける②(斜め張り)
ノーズにI型プレートをエッジ際から中央に向かって斜めに貼り付けるパターンです。
・エッジグリップ ★★☆
・衝撃吸収性 ★★★
・剛性復活 ★★☆
■使用感想
衝撃吸収性の効果を高く得たい場合に良いカスタムです。
滑ってる感覚としては、付けている感覚が良い意味で少なく、それでも板が暴れにくくなる感じです。
板の基本性能をそのまま活かしつつ、補助させるのに最適と言えます。
センターに貼り付ける
センターにIダンパーをエッジ際に貼り付けるパターンです。
・エッジグリップ ★★★
・衝撃吸収性 ★☆☆
・剛性復活 ★★★
■使用感想
両足間にI型プレートを配置するため、感覚としては全体的に張りを感じます。
人によっては足元の操作性に変化を感じるかと思います。
その分、ヘタった板やセンターが柔らかい板に取り付けると性能の違いを大きく感じやすいと言えるでしょう。
※センタープレートのほうがエッジグリップは高まります。
テールに貼り付ける①(縦貼り)
テールにIダンパーをエッジ際に縦に貼り付けるパターンです。
・エッジグリップ ★★★
・衝撃吸収性 ★★☆
・剛性復活 ★★☆
■使用感想
テールに取り付けることで、エッジグリップがアップします。
また、テールのフレックスが硬くなるので、安心して踏み込んでいくことができると言えるでしょう。
テールがズレやすい方におすすめのカスタムです。
テールに貼り付ける②(斜め張り)
テールにIダンパーを中央からエッジ際に斜めに貼り付けるパターンです。
・エッジグリップ ★★☆
・衝撃吸収性 ★★★
・剛性復活 ★★☆
■使用感想
適度にテールに張りを持たせつつも、板の性能に変化をあまり加えたくない場合に良いカスタムです。
テールグリップが強化されているものの、違和感が少ないのが大きな特徴と言えるでしょう。
T-plateのIダンパーのカスタム一例(貼り方の例)
ここでは、カスタムの一例を紹介します。
ノーズ強化カスタム
ノーズ二枚貼り(ノーズが長いパターン)
・エッジグリップ ★★★☆☆
・衝撃吸収性 ★★★★☆
・剛性復活 ★★★★☆
■総評
ノーズが長い板に衝撃吸収性をかなり上げたい方におすすめのカスタムです。
ノーズとテールに取り付けるカスタム
パターン1(ノーズ・テール縦貼り)
・エッジグリップ ★★★★★
・衝撃吸収性 ★★★☆☆
・剛性復活 ★★★★★
パターン2(ノーズ・テール斜め貼り)
・エッジグリップ ★★★☆☆
・衝撃吸収性 ★★★★★
・剛性復活 ★★★☆☆
パターン3(ノーズ縦貼り・テール斜め貼り)
・エッジグリップ ★★★★☆
・衝撃吸収性 ★★★★☆
・剛性復活 ★★★★☆
パターン4(ノーズ斜め貼り・テール縦貼り)
・エッジグリップ ★★★★☆
・衝撃吸収性 ★★★★☆
・剛性復活 ★★★☆☆
■総評
縦貼りをすることでフレックスの剛性が高まって、エッジグリップが強くなる傾向があります。
一方で斜め貼りは、衝撃吸収性が良く、適度にエッジグリップがアップします。
これらの組み合わせ次第で、効果も変わってきます。
ノーズとセンターに貼り付けるカスタム
パターン1(ノーズ縦貼り・センター貼り)
・エッジグリップ ★★★★★
・衝撃吸収性 ★★★☆☆
・剛性復活 ★★★★☆
パターン2(ノーズ斜め貼り・センター貼り)
・エッジグリップ ★★★★☆
・衝撃吸収性 ★★★★☆
・剛性復活 ★★★★☆
■総評
やはりセンターに取り付けると足元を捻るときに硬さは出ます。
その分、張りが出るので総合的に効果が大きくなります。
センターとテールに貼り付けるカスタム
パターン1(センター貼り・テール縦貼り)
・エッジグリップ ★★★★★
・衝撃吸収性 ★★☆☆☆
・剛性復活 ★★★★☆
パターン2(センター貼り・テール斜め貼り)
・エッジグリップ ★★★★☆
・衝撃吸収性 ★★★☆☆
・剛性復活 ★★★☆☆
■総評
テールの貼り方を変えて2パターンですね。
エッジグリップ重視にするのか、衝撃吸収重視にするのかで付け方を変えると良いでしょう。
こんな人にT-plateのIダンパーをおすすめ
ここまでT-plateのIダンパーの効果や貼り方をお伝えしてきました。
さて、どんな方におすすめできる商品なのかもお伝えしておきます。
・板がヘタってきた方
・突っ込んでいく攻めた滑りがしたい方
・板が自分の圧に耐えられない方
・手軽にメタルボードのような性能にしたい方
・楽して滑りたい方
このような方におすすめの商品です。
また、Iダンパーとセンタープレートの違いを考慮して、悩まれる方にアドバイスをします。
今期からセンタープレートの形状が変わりました。
↓
今期のセンタープレートは、ソフトとハードの二タイプあり、どちらも去年度の製品よりも剛性感がアップしています。
そのため、板に張りをもたらせて性能を上げたい方にはセンタープレートがおすすめです。
しかし、板を硬くし過ぎずに適度に張りが欲しいという方もいるかと思います。
このような方は、Iダンパーをセンターに貼り付けるのも良いでしょう。
[番外編]T-plateの製品を組み合わせたカスタム
T-plateには、Iダンパーの他にバインディングの下に取り付けるプレートがあります。
こちらのプレートに関しては、過去の記事にて性能を詳しく説明しています。
このプレートとIダンパーを併用することで更に性能を変えることができます。
ツノダブル+センターIダンパー
他には、プレートのツノパーツを外側と内側に取り付け(ツノダブル)、I型プレートをセンターに貼り付けることで、ワンピース(一枚型)プレートのような性能にできます。
これは、筆者が勝手に見つけた組み合わせです。
スノボ学オリジナルですね。
※黒いスポンジ部は外してメタルバーのみにします。
この組み合わせは、力を掛けたときに板を綺麗にたわませて走りを出しやすくなります。
筆者に関しては、2021サマーシーズンに試して、板の走りが丸沼のサマーゲレンデでは感じたことのない領域に行かせてくれたと言っても過言ではないでしょう。
これを可能にした理由は、板に掛かる力が均一化しやすくなるからだと考えてます。
仮にツノダブルだけの場合、内側のツノが局所的に押してしまうことになります。
局所的に力が掛かるので、深く曲がりたいということでしたらツノダブルのみでもいいかもしれません。
一方で、センターにIダンパーを貼り付けることで、Iダンパーの端を内側のツノが押すことで板のセンター全体に力が行き渡りやすくなります。
Iダンパーとセンタープレート(フルセット)
Iダンパーをノーズ、テールに貼り、真ん中にセンタープレートを貼ります。
乗り手を選ぶ組み合わせですが、足元の安定感はバツグンです。
パワフルにカービングしたい方は、この組み合わせにすることで板が応えてくれるでしょう。
このように道具の組み合わせ次第で、効果を2倍にも3倍にもできます。
まとめ
今まで、バインディングの下に取り付けるプレートは販売されていましたが、板に直接貼り付けてカスタムするアイテムはそうは多くありません。
更には、軽量且つ低コストでカスタムできるのはT-plate japanが仕掛ける新しい試みと言えます。
板を補助する製品としては、ヘタった板との相性が特に良いです。
コストを抑えつつ板の張りを良くしたい方には合っていますね。
また、自分で板をカスタムして楽しむのもとても良い使い方です。
他の人と差をつけたい方は、Iダンパーを使って楽しんでみてはいかがでしょうか?
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