前回の記事で木の葉落とし(斜め滑走)に関する記事を書きました。
そして、この木の葉落としがターンの前半、いわゆる上半分につながる技術だということをお伝えしました。
ということは、あと残りの半分である「ターン後半」のやり方がわかれば、ターンができるようになるということです。
今回は、このターン後半に関係する「直滑降からの半ターン」のやり方をお伝えします。
スノーボードのターンができるように、ぜひマスターしてください。
なお、「長い記事は嫌!」「簡単にやり方のみを知りたい!」という方は、下記の記事にやり方のみを載せているので、こちらを読んでみてください。
直滑降からの半ターンとは?
「直滑降からの半ターン」と言われても、イメージしにくい方もいるかと思います。
ということで、この記事で説明する直滑降からの半ターンのイメージを先にお伝えします。
この記事でお伝えする直滑降からの半ターンは、【真っ直ぐ滑ってる状態から曲がって止まる】という技術です。
上記の画を見ていただくと、ターンの下半分につながる練習だということがわかるかと思います。
なお、直滑降は初心者にとってとても怖いことですので、直滑降の期間は短くて大丈夫です。
ワンフットで直滑降からの半ターンをやってみる
スノーボードの直滑降からの半ターンのやり方をお伝えする前に、先にお伝えすることがあります。
今回の記事では、一人で練習できるように、「ワンフット」でのやり方をメインに説明していきます。
※ワンフット・・・片足で滑ること
片足装着で滑走しているものは、ワンフットと呼ばれることが多い
◆一例
ただ、ワンフットで練習するのは、正直かなり難しいことです。
両足のほうが断然滑りやすいでしょう。
しかし、両足を着けた状態ですと、先端を斜面下側に向けて直滑降すること自体が難しいです。
そこで、ワンフットにすることで、スタートから板の先端を斜面下側に向けておくことがしやすいです。
そのため、半ターンの動きに集中しやすくなるでしょう。
ただし、斜面が少しでも急に感じるところですと、練習自体ができません。
ということで、練習する場所(斜面)にも気をつけましょう。
おすすめは平地に近く、いつでも止まれそうな場所(斜面)です。
コースの終わり辺りで少し登って練習すると、停止もしやすいのですよ。
※上部から滑走してくる方の妨げにならないようにコースの端っこを使うようにしましょう。
ワンフットでの直滑降からの半ターンのやり方
それでは、実際にワンフットで行う直滑降からの半ターンのやり方をお伝えしていきます。
ヒールサイド(かかと側)の直滑降からの半ターン
1.板を前足だけ装着しておく
2.板の先端を斜面下側に向ける
3.前側の腕で斜面下側に指を差し、できる限りまっすぐに立つ
4.板の真ん中に後ろ足を乗せる
5.前側の腕と目線を背中側に指を差しながら回し続けていく
6.曲がってきたら、つま先をゆっくり上げてブレーキをする
7.スピードが遅くなったら、後ろ脚を板から出して止める
◆一連の流れのイメージGIF動画
※斜面を登る必要がなければ、登るところは省いてください。
トゥサイド(つま先側)の直滑降からの半ターン
1.板の先端を斜面に向ける
2.前側の腕を斜面下側に指を差し、できる限りまっすぐに立つ
3.板の真ん中に後ろ足を乗せる
4.前側の腕を指を差しつつ、体の正面側に少しだけ回す
5.お腹を体の正面側に出すようにして、前足の足首を曲げていく
※足首の曲げ方・・・スネをブーツのタン(ブーツのスネの前にある箇所)に押し当てて、ひざをつま先に近づけるように動かす
7.曲がってきたら、後ろ足も足首をゆっくり曲げていきブレーキをする
8.スピードが遅くなったら、後ろ脚を板から出して止める
◆一連の流れのイメージGIF動画
※斜面を登る必要がなければ、登るところは省いてください。
なお、上記のスネをブーツに当てるときに、間違えやすい注意点があります。
スネをブーツに当てようとして、ひざを前に出す動きをしてしまうことがあります。
これでは、板が立ちすぎてしまい、バランスを崩しやすくしてしまいます。
ひざを動かす方向は、ブーツをつぶす方向、もしくはつま先方向を目指して動かしていくようにすると、結果的につま先に力がかかりやすくバランスが取りやすくなります。
スノーボードで板が曲がる原理
直滑降からの半ターンのやり方をお伝えしましたが、なぜこのやり方で板が曲がるのか、その理由をお伝えしていきます。
スノーボードはサイドカーブがあるから曲がる
まずは、そもそもなぜスノーボードで曲がることができるのか、ということをお伝えします。
スノーボードの板をイメージしてみてください。
真ん中にくびれがあるのをイメージできますでしょうか。
このくびれの度合いを、「サイドカーブ」と呼びます。
このサイドカーブは数字で表記され、板の持つ半径弧を表しています。
かなり専門的で難しいですね。
簡単に言いますと、板をつなげていくと円になるということです。
そして、板によって円の大きさは違うということです。
このサイドカーブを利用することで、スノーボードで簡単に曲がること(ターン)ができるのですね。
と言っても、板がフラット(雪面と平行な状態)ですと曲がりません。
板が少しでも板が立つことで曲がります。
ちょっと難しくなりましたので簡単に言いますと、「雪面に対して板が立つから曲がる」ということです。
ヒールサイド(かかと側)のやり方で曲がる理由
先程紹介した直滑降からの半ターンのやり方で曲がれる理由についてもご説明していきましょう。
まずは、ヒールサイド(かかと側)です。
ヒールサイドの直滑降からの半ターンのやり方で、【前側の腕を背中側に回す】とお伝えしましたね。
この動きも、板を少し立てるために行っています。
↓
「肩が腰を引っ張り」
↓
「腰が前足のつま先を引き上げることで、少しだけつま先が上がる」
このように最終的につま先が少しだけ上がるため、板が雪面に対して少しだけ板が立ち、曲がるということです。
これを見て、最初から「前足のつま先を上げればいいのでは?」と考えている方もいることでしょう。
その通りであり、前足のつま先を意図的に上げることでも曲げることは可能です。
しかし、スノーボードに慣れていない方がつま先を上げようとすると、上げる量が多くなり過ぎて、バランスを崩してしまうことがあるのです。
そして、「体を回すこと」と「つま先を上げること」を一緒に行おうと思うと、意識が散漫になり、上手くできないことがあります。
このことから、簡単にできる方法として「目線と前側の腕を背中側に回す方法」を推奨しています。
トゥサイド(つま先側)のやり方で曲がる理由
次は、トゥサイド(つま先側)の直滑降からの半ターンのやり方で曲がる理由についてもご説明します。
【前側の腕で正面側に指を指して、前足の足首を曲げ、おへそを体の正面も出す】というやり方で曲がる理由は、下記の現象が起きるからです。
↓
「前足の足首を曲げて、お腹を体の正面側に出すことで、かかとが少しだけ上がる」
このようにすることで、「かかとが少しだけ上がる=板が少しだけ立つ」ということが起きます。
そのため、引っかかりが少ない状態で曲がることができるというわけです。
また、ここでポイントになるのが「お腹を正面側に出す」ことです。
お腹を出さずにお尻を背中側に引っ込めてしまうと、かかとが浮かずに曲がらないケースが多いです。
そのため、お尻を背中側に引っ込めずに、お腹を正面側に出すように心がけましょう。
また、ここで一つ注意点をお伝えしておきます。
ここまで読んで「つま先立ちすればいいのでは?」と考える方もいるかと思います。
しかし、かかとを上げる意識をしてしまうと、バランスを崩しやすいだけではなく、板が雪面に刺さるように引っかかってしまうため、スムーズに曲がりづらいのです。
筋力が少ない小さい子供には、つま先立ちを意識してもらうケースもありますが、大人の場合は足首を曲げてブーツの硬さを利用することをおすすめしています。
ターン後半を成功させるためのポイント
できるだけまっすぐ立つこと
怖がってお尻を背中側に引っ込めてしまうと、失敗しやすいです。
ヒールサイドでは、変に体を曲げた姿勢で滑ると、前側の腕を背中側に回しても前足のつま先が上がらないことがあります。
上手くいかないと感じる方は、腰が引けている可能性があるので、できる限りまっすぐに立つことを心がけましょう。
まっすぐと言っても、ピンと脚を伸ばすのではなく、軽く曲げた力を入れすぎていない姿勢が望ましいです。
リラックスすること
必要以上に力が入ってしまうと、体が上手く動かなくなってしまいます。
最初は誰しも怖いと感じることですので、力が入ってしまうのは普通のことです。
ただ、少しでもリラックスできていたほうが上手くできることもあります。
スタートする前に深呼吸をしたり、肩を上下に動かしたりして、できるだけリラックスすることを意識してみましょう。
ヒールサイドターンは思い切って背中側に目線を送り、前側の腕を回す
背中側に回すときに、躊躇してしまう方がいます。
恐怖心を感じることですので、当然のことですね。
ただ、思い切って目線を送り、前側の腕を回したほうが上手くいくことが多いです。
恐怖心を感じるのは、板が思ったように曲がらないから、ということが多いでしょう。
思い切って動いたほうが板は曲がってくれますので、大げさに動いてみてください。
中には、回しているつもりでも、実は回すのが遅いケースもあります。
限界を超える勢いで目線を送りつつ腕を回すことで初めてちょうど良いというケースが比較的多くありますので、最初は自身が思っている以上に目線と前側の腕を回す意識を持つようにしてみましょう。
トゥサイドでは、お腹を体の正面に出すことがポイント
トゥサイドは、先ほどお伝えしたとおり、お腹の位置がとても重要になります。
お尻が背中側に引っ込んでしまうと、せっかく足首を曲げることができても、上手く力が伝わらないことがあります。
そのため、お腹をしっかりと体の正面に出すことを意識しておきましょう。
両足を装着した状態で直滑降からの半ターン
直滑降からの半ターンがワンフットでできたら、次は両足を装着して半ターンの練習をしてみましょう。
両足を装着して斜滑降からの半ターン
板を斜面下側に向けることは難しいので、両足を装着したら、最初は斜滑降から半ターンをしてみましょう。
斜滑降のやり方に関しては、木の葉落としのやり方を説明している記事を参考にしてみてください。
2.かかと側の斜滑降を行う
3.目線と前側の腕を背中側に回していく
4.曲がり始めたら、つま先をゆっくり上げてブレーキ
5.山側へ少し切り上がるように曲がる
◆一連の流れのイメージGIF動画
2.つま先側の斜滑降を行う
3.お腹を山側(正面側)に出したまま、少し山側に前側の腕を回して、前足の足首を曲げていく
4.曲がり始めたら、両足のスネをブーツのタンにゆっくり当ててブレーキ
5.山側へ少し切り上がるように曲がる
◆一連の流れのイメージGIF動画
斜滑降からですと曲がる感覚はあまり感じ取りにくいですが、恐怖心を感じにくいので最初の練習としておすすめです。
両足を装着して直滑降からの半ターン
ワンフットでトライしていた直滑降からの半ターンを、両足を装着して練習してみましょう。
1.斜面下側を向いて立つ
2.ジャンプや板を動かすなどして、板の先端を斜面下側へ向ける
※ジャンプで板の向きを変えるパターン
3.滑走したら、目線と前側の腕を背中側に思い切って回す
4.曲がり始めたら、つま先をゆっくり上げていく(ブレーキ)
◆一連の流れのイメージGIF動画
1.斜面下側を向いて立つ
2.ジャンプや板を動かすなどして、板の先端を斜面下側へ向ける
※体を捻って無理矢理板の向きを変えるパターン
3.滑走したら、前側の腕を体の正面側に少し回して指を差していく
4.お腹を体の正面側に出してながら、前足のスネをブーツのタンに当てて足首を曲げる
4.曲がり始めたら、後ろの足首もゆっくり曲げて両足でブレーキ
◆一連の流れのイメージGIF動画
このように両足を装着して半ターンしてみると、ワンフットよりも簡単にブレーキがかけやすいので、止まりやすいでしょう。
ただし、直滑降のときの姿勢を作るときに、バランスを崩しやすいで上手く曲がることができないことがあります。
最初は、両足を固定してチャレンジするよりも、緩い斜面で片足で試したほうが曲がる感覚は感じ取りやすいでしょう。
木の葉落としのターン前半とヒールサイドの半ターンをつなげる
ここでは、ワンターンにもう少し近づけていきます。
木の葉落としのやり方を利用したターン前半と、ヒールサイドの直滑降からの半ターンをあわせたターンです。
1.斜面下側を向いて立つ
2.前足のつま先を思いっきり下げ、後ろ足のつま先を思いっきり上げる
※これにより板の先端が斜面側に落下していく
板の先端が斜面下側に向いたら、つま先は気にしなくて大丈夫
3.前側の腕と目線を背中側に思いっきり回していく
4.両足のつま先をゆっくり上げてブレーキ
◆一連の流れのイメージGIF動画
これならジャンプや無理に板を動かして板を斜面下側に向けることがありませんので、比較的ゆとりをもって体を動かすことができます。
ターンの恐怖心も比較的少ない技術ですので、ぜひトライしてみてください。
まとめ
サイドスリップと木の葉落としができており、直滑降からの半ターンまでできれば、ワンターンまであと少しです。
これらの技術を組み合わせることでワンターンができます。
ターン後半ができるようになっても、サイドスリップと木の葉落としがおろそかになっているようであれば、見直して練習することをおすすめします。
一つ一つをしっかりとできるようにして、ぜひワンターンにチャレンジしてみてください。
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