本日で、サマーゲレンデのカービングターントレーニングの第6回目となります。
この企画は、最初の第一弾から始まっており、繋がっています。
今回は特に前回の記事と深く繋がっている内容となっています。
そして、今回もサマーシーズンに限らず、ウインターシーズンにも使える話です。
前回の記事の「角付けのやり方」の記事を読んでいない方は、一度読んでいただいた方が今回の内容がより頭に入ってくることでしょう。
今回の内容は、ずばり「角付けの効果」です。
そして、「踏む」ということにも繋がる部分ですよ。
カービングターンで「踏む」とは?人によって意識が異なる?
カービングターンの練習をしてきた方は、一度は「踏む」という言葉を聞いたことがあるかと思います。
この「踏む」。
どのように解釈していますでしょうか。
正直この「踏む」という言葉は、統一性がないもののように感じています。
私が聞いた情報だけでも、
「関節が伸びていること」
「体重を板に乗せること」
「踏みつけるように力を加えること」
「足首にテンションがかかること」」
と情報が散漫しています。
ただ、この情報は全て間違いではないと考えています。
その理由は、最終的には共通した効果が得られるからです。
共通している部分とは、「板をたわませること」ことです。
そのため、中には「踏む」=「板がたわむこと」とお話しする方もいると思います。
しかし、「板がたわむこと」は、あくまで「踏むことによって起こる事象」です。
板をたわませる要素だけで言ったら、他にもたくさんありますので、ただ単に「板をたわませること」と解釈するのは、少々大雑把と言えるでしょう。
ちなみに、「板をフラットにした状態で立つ行為」や、「板を立てて滑る行為」も、【踏んでいる】ことになると考えています。
▼フラットな状態で立つ行為
※立つことによってキャンバー部がフラットになる(たわんでいる)
▼板を立てている状態
※サイドカーブのエッジ全面が接地するまでたわんでいく
板の特性には、キャンバーやサイドカーブなど滑る上で曲がったり、たわんだりする性能が備わっており、ただ滑るだけでも「踏んでいる」ことになります。
ただ、これでは話の腰を折ることになりますので、私が考えている「踏む」についてお伝えします。
カービングターンでいう「踏む」は外力を板に伝える行動
それでは「踏むとは?」という話に戻します。
ちなみに先程の「スノーボードをすること自体=たわむ」というのは、ここでは無しとします。
あくまでカービングターンに対しての「踏む」とします。
このサイトで考えている「踏む」とは、【効率良く外力を板に伝えるための行動】と考えています。
そして、行動とは、
「足首にテンションをかける」
「外力と拮抗するように板に乗る」
です。
ここで注意してほしいのは、ただこの運動をすれば良いわけではないということです。
あくまで「外力を受け止めたうえで、板をよりたわませるということ」という解釈をしていただけたらと思います。
そして、行動は1つに固定せず、「その場面」「ターンの仕方」に合わせて変えても良いと考えています。
「踏む」の解釈が様々だからこそ「確認」が必要
「踏む」の解釈は、人によってイメージが異なる可能性があることはわかりましたでしょうか。
そのため、キャンプやレッスンなどで「踏む」という話が出た際には、一度確認することをおすすめします。
初歩的なことのように思って、確認しない方もいるかと思います。
しかし、伝えている側と伝えられている側の意志が疎通していないと上達は難しいです。
無駄な時間を少しでも減らすために、「踏む」という話が出たら講師に「どのように踏むのか」を確認しておきましょう。
ちなみにこのサイトでは、「踏む」というときには「どのように行動をするのか」ということも一緒に伝えます。
カービングターンの角付けの効果
角付けのやり方は5つ
それでは、本題の角付けのお話をします。
前回の記事では、角付けの方法には大きく5つの方法があるとお伝えしました。
・体軸をターン内側に移動する
・リーンアウト(外傾)を使う
・脚部を使う
・ローテーションを使う
※「体全体でのリーン(内傾)」「体軸をターン内側に移動する」は、本来どちらも「体軸の移動」ですが、分けて表現するためにあえてこの表現とさせていただきます。
この5つの角付けの方法は、それぞれの特徴、効果があります。
それぞれの角付けの方法の効果
体全体でのリーンの効果は、
・板に力を伝えやすい
ことです。
※「体全体のリーン=板に垂直に立つこと」を前提として考えています。
まず「動きやすい」という効果に関しては、言葉の意味そのままです。
カービングターンを独学で行う方は、まずは「体全体のリーン」から取り組んでいくことが多いかと思います。
要は、カービングターン=傾きと考えられることも多く、実際に傾こうと思えば動くこと自体は簡単なのです。
ある程度であれば、「体全体のリーン」だけでもカービングターンができるでしょう。
そして、板に垂直に立つことができれば、傾けば傾くほど板に力が加わります。
体軸の移動方法は、前回の記事でお伝えしましたので割愛します。
体軸をターンの内側に移動させることによる効果は、
・バランスが取りやすい
です。
板を踏みにいく準備とは、「踏もう」と思わなくとも踏めるということです。
※「踏む」=外力を効率良く板に伝えてたわませること
「体軸」の移動による「踏む」の行動に関しては、「足首にテンションがかかる」ことです。
「体軸を移動して角付け」→「足首にテンションがかかる」→「ターン前半からたわみやすい」
となるわけです。
正しいやり方ができれば、「勝手に足首にテンションがかかる」ということがポイントですね。
また、バランスが取りやすいことに関しては、無理な体の傾きを取りにいかないため、単純にリスクが少ないということです。
そして、前半から踏めているため、板が雪面に食いつきやすいということも相まって、バランスが取れやすいと言えるのです。
リーンアウトを使って角付けをする効果は、
ところです。
なお、リーンアウトによる角付けに関しては、ターンの初動ではありません。
あくまで「角付けしている状態でより量を増やす」こととなります。
そのため、傾きを取ってからリーンアウトする必要があります。
しかし、順を追ってリーンアウトを使って角付けができれば、バランスを取りやすい姿勢になりつつも、さらに角付けを強めることができます。
脚部を使っての角付けの効果は、
・角付けのコントロールがしやすい
です。
板に近いところを動かすわけですので、当然角付けを素早くすることができます。
また、足先を動かすことによって板を即座に動かすことができるので、角付けのコントロールもしやすいと言えます。
ローテーションによる角付けの効果は、
・使い方次第で、様々な効果が得られる
です。
※ローテーションもリーンアウト同様、他の動作で角付けが行われたあとに行わなければ角付けには関係してきませんのでご注意ください。
ローテーションを駆使して角付けを行うと、体の向きを板の進行方向と同調させやすいです。
これにより、体がターンに遅れることが少なくなります。
また、ローテーションと言っても、体の一部分ごとに使い分けることができます。
足元に近い部位であるほど角付けに影響しやすく、離れるほど角付けには影響が少ないです。
【足首】→【ひざ】→【骨盤】→【肩】→【頭】の順番に影響力が少なくなっていきます。
そして、部位の使い分け方は本当に様々です。
例えば、
「板に影響を与えないように先行でローテーションする」
「足元の可動域を増やすためにローテーションする」
などです。
このように使い方次第で、ターンの仕方を変えることができます。
カービングターンの角付けの方法はメリットだけではない
5つの角付けの方法に対しての効果をお伝えしました。
しかし、良い効果だけではなく、当然デメリットもあります。
要は使い分けが必要ということですね。
体全体でのリーンは、
というデメリットがあります。
体を傾けようとしても、まっすぐのまま傾くのは実はとても難しいです。
その理由は、関節が存在するからです。
そして、関節が一箇所だけ屈折が大きいとバランスを崩しやすくなります。
その一つの例が、「内倒」です。
上記の画像は極端の動きですが、大げさに表現しますとこのような感じです。
内倒は、ターンしている板の内側に体軸が倒れてしまうことを指します。
股関節の屈折を大きくしてしまうと内倒になりやすいです。
また、地面に手を着けにいこうとする場合も同様ですね。
このように関節を間違えた使い方をしてしまうと、板に力が加わらず、バランスを崩してしまうのです。
また、板に力が加わりづらいので、たわみも少なくなります。
体軸の角付けのデメリットは、
ということです。
体の傾きを意図的に制御していることから、やはり内傾量(リーン)が少なくなりやすいです。
そのため、角付け量も同様に強くなりづらい傾向にあります。
リーンアウトを使っての角付けのデメリットは、
です。
リーンアウト自体は、体を起こすことですので、リーンの反対の動きをします。
そのため、過度にリーンアウトを取ると、リーンが取れなくなります。
外力と拮抗するための適度なリーンアウトである必要があります。
脚部を使っての角付けのデメリットは、
ことです。
足元での角付けは確かにしやすいです。
しかし、足元だけですと、外力と均衡となるバランスが取りにくいのです。
そのため、板に外力が伝わらずにたわみが少なくなります。
ローテーションによる角付けのデメリットは、
ということです。
ローテーションをすると、体の骨格上重心位置も変わります。
そのため、ポジションも変わってしまう可能性があるのです。
このことを理解して、ポジションを気にしつつローテーションを使えると良いでしょう。
角付けと踏む行為は同時にできる?
先程の特徴を見て気づいた方もいるかもしれませんね。
結論から言いますとできます。
角付けと踏む行為を同時に行う方法は、「体軸」を使って内傾するということです。
しっかりとしたやり方で角付けを行うことで、足首にテンションがかかり、勝手に踏めます。
要は、踏む意識をせずとも角付けをすることで踏めてしまうので、同時にできていることになるということです。
ちなみに他の角付けのやり方ではどうでしょうか。
他の角付けでも同時とはいかないかもしれませんが、ほぼ同時に行うことはできるでしょう。
しかし、意識的に「踏む」必要があります。
例えば、体全体でリーンを取る場合は、それに合わせて「脚で押し出していく」というようにする方法です。
雪面に「脚を伸ばす」ことで踏むことが可能と言えるでしょう。
他にも脚部での角付けでも、体軸のやり方も織り交ぜれば足首にテンションがかかって、踏むことも可能です。
また、脚を伸ばすようにする方法でも踏むことができるでしょう。
このように角付けの方法と併せて、同時に踏む行動をすることで同時に行うことも可能です。
ちなみに同時に行うことのメリットは、ターン前半から板をたわませ始めることができることです。
そして、ターン前半からたわませるのであれば、一度ゼロポジション(基本姿勢)を通るようにできると良いでしょう。
切り替えで基本姿勢を通る内容に関しては、以前の下記の記事にまとめています。
まとめ今回は、角付けにより一歩深く話をしてみました。
角付けの方法次第では、効果が異なります。
また、それぞれでメリットとデメリットがあるのです。
このことを理解して、踏まずに角付けだけを意識するのでも良いですし、逆に踏む行為と角付けを同時に行うのでも良いでしょう。
そして、それぞれの運動は、「動きやすい」「動きづらい」というのがありますので、自身で色々と試して自身に合った方法を組み立てると新しい滑りができあがるかもしれません。
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