皆さんは、「動作」を考えるときにどのようなタイミングで動こうと考えていますか?
私自身、今現在この「タイミング」についてかなり深く考えています。
そのため、ちょっと難しい内容になるかと思いますが、自分自身に当てはめて「どのようなタイミングで動作をしているのか」をよく考えてみてもらいたいです。
ということで、今回のお題は「動作のタイミング」です。
この動作のタイミングは、実際の練習にとても役立つ考えだと思っています。
そして、前回の記事の「ターンの分析」したものを実践する際にも役に立ちます。
まだ前回の記事を読んでいない方は、ぜひそちらも併せて読んでみてほしいです。
なお、今回の内容は理解が難しいですが、バッジテストや検定にも役に立つと思っていますので、ぜひ読んでみてください。
それでは、スタートします。
カービングターンの動作のタイミングには「始動」と「完了」がある
まず始めに、今回も理論仕立てになってしまうため、記事の結論だけ簡単に説明しておきます。
この記事で伝えたいことは、
「動きを先読みして、早めのタイミングで体を動かす」
ということです。
これからの内容が難しければ、ここだけを意識してもらうのが良いかと思います。
それでは、細かく説明していきます。
ターンをしているのは自分自身
前回の記事は、「ターンを分析」することについてお話ししました。
そのため、分析の仕方については、割愛します。
分析の結果を簡単にお話ししますと、「板の動きに対して、どのような動作を行うのか」という話です。
そして、実際にターンをする際に動くのは、自分自身と言えます。
「自分自身が動くことで、結果ターンに結びついている」というのが、ターンの根本的なところと言えるでしょう。
この自分自身が動く、いわゆる「動作」に焦点を当てていきます。
そして、今回はある程度共通の認識を持っていただきたいので、「ベーシックカーブ ロング」という種類のカービングターンを使って話を進めます。
今回の分析に使うターン「ベーシックカーブ ロング」
今回は、JSBA(日本スノーボード協会)でいう「ベーシックカーブ ロング」を参考に考えていきます。
念のため、ベーシックターンについて教程本に書いていることを引用します。
ストロークに違いに寄るスタンス&ポジションとして、切り替え期では立ち上がり抜重による高めの姿勢、ターン期では沈み混み荷重に寄る低めの姿勢となります。
引用元:JSBAスノーボード教程
要は、「立ち上がり抜重」(立ち上がって切り替える)と「沈み込み荷重」(しゃがみ込み)を使ったカービングターンということです。
そして、念のため、お伝えしておきますと沈み込み荷重は、「加重」ではありません。
「荷重」です。
教程本には、荷重を下記のように記しています。
「荷重」とは「ボードに加わる力のこと」
引用元:JSBAスノーボード教程
他にも「内力を使う」「外力に耐える・吸収する」という二つの方法がある、ということも書いています。
ただ、この二つの方法の記載がわかりづらくしています。
「荷重」にも「内力」としているので、「加重」と混在してしまいますね。
基本的には、「荷重」は、
「加わる力」=「ターン中に板が受ける力」
と解釈した方がわかりやすいかと思います。
そして、内力も
「外力を使うための動き」
「筋力で負荷をかける動き」
と種類があると考えると良いかと思います。
自身の動き(内力)によって、外力をどのように使うのか、を「荷重」(のせる重さ)。
筋力で板へ負荷をかける(内力)こと、を「加重」(加える重さ)。
と考えた方がイメージしやすいかと思います。
※外力とは、「重力」「遠心力」「雪面抗力」など自身以外の力のこと
どちらも内力は必ず使いますが、「使い方が違う」ということですね。
もっと簡単にお伝えしますと、
「荷重」・・・「外力を使う」
「加重」・・・「筋力を使う」
と考えると、良いかもしれません。
※あくまで私なりにわかりやすくするために考えたことです。
ちょっと話が反れ気味ですが、今回の解説のベースに、ベーシックカーブ ロングの「沈み込み荷重」を使うため、もう少し説明にお付き合いください。
下記の画像をご覧ください。
画像引用元:JSBAスノーボード教程
一部にはこのように書いています
④⑤・⑨⑩沈み込み荷重では、腹部や腰部のみで折り曲げようとせず、脚部を中心にしっかり曲げようと意識します。
引用元:JSBAスノーボード教程
運動としては、「脚部の曲げ」です。
「腹部」「腰部」はあくまで補助的な動きとして考えましょう。
そして、ベーシックカーブ ロングの「沈み込み荷重」を分析してみると、時間で言う「4時~5時」「8時~7時」に行っていることになります。
ここで考えてほしいのが「動作のタイミング」です。
※今回はターンを半分で考えるため、ここからは「0時~6時」までの記載のみとします。
動作のタイミングには「始動」と「完了」
体を動かす動作は、「回旋」「屈曲」「伸展」、そのほかにも多くあります。
ベーシックの動きに一部使われている「ひざの屈曲(曲げ)」を参考にしたGIFをみてみてください。
上記のGIFを見ると、「ひざを曲げ始める(始動)」「ひざを曲げ終えている(完了)」のタイミングがあることがわかるかと思います。
そして、この始動と完了の間は、「動き続けている」わけですね。
先程のJSBAの教程本でも、「4時~5時」の動きとしています。
ということは、この教程本の動きでも「始動(4時)」、「完了(5時)」が行われていると言えますよね。
そして、写真ではわかりませんが、ここで考えてほしいのは、「始動」から「完了」まで【時間がかかる】ことです。
なお、この図はあくまでJSBAの教程本から出した結果です。
教程本に載るほどの方ですので、当然「技術力が高い」ことは伺えるでしょう。
逆を返すと、技術力の違いにより、この考えのままでは上手くできない方がいるということです。
そして、人によって、始動から完了までの動ける速さは「違う」という考えもあります。
「身長・筋力・技術力」によって動ける速さが異なる
私なりの考えですが、始動から完了までの体の動ける速さ(スピード)は、人によって異なると考えています。
まず身長、もしくは骨格によっても違うと言えます。
その理由は、人によって関節間の体の長さが違うはずだからです。
例えば、上記の画像です。
右と左と見比べてもらうとわかりますが、右の脚の長さが短い人形の方がしゃがみきるまでの時間が短いです。
あくまで人形の動きですので正確とは言い切れませんが、考え方によってはこのような考えもあります。
また、筋力に関しても、動きの速さが異なる可能性は十分にあります。
可能性としているのは、筋力は筋肉の付き方(種類)によっても違うため、はっきりと言えないからです。
また、技術力に関しては、明確に動ける速さが異なります。
ここは「動作の慣れ」や「スノーボード独特のバランス感覚」、「脳の判断能力」が違うからです。
私の考える、脳の判断能力というのは、「どのように動けば良いのかを理解しているから速く動くことができる」ということです。
このように、「始動から完了までの速さは人によって異なる」と考えています。
なお、技術力の観点から、教程本のタイミングで必ずしも動けるとは言えないと考えています。
そのため、技術力次第では、始動のタイミングをより早めに行うのが良いと考えています。
カービングターンの動作のタイミングには「始動」よりも先に「思考」がある
動作は「思考」から始まる
ここまで読んで、
「自分自身に合う始動のタイミングさえ考えれば、ターン中に適切な動きができるのでは?」
とお考えの方もいるかと思います。
このようにお考えの方は、鋭い感性をお持ちだと感じますね。
しかし、私の考えはもう一段階あります。
と言いますのも、「体を動かし始める」ためには、体を動かそうと意識する「思考」が必要だからです。
何も考えずに、「勝手に適切に体が動く」のであれば、滑りに悩む方はほとんどいないのではないでしょうか。
あくまで「思考」があって、初めて体が「始動」し、動きが「完了」する言えるのです。
ここまで考えると、前もって動き出すべきタイミングは、とても早いということが言えます。
思考から始動までの速さも人によって違う
「始動から完了」までの速さが違うことをお伝えしましたが、「思考から始動」までの速さも人によって違います。
ちょっとややこしいですね。
というのも、ここは脳の処理能力が関係してきます。
専門的なことまでは言えませんが、「計算力」「発想力」「集中力」「記憶力」「思考力」など人によって能力の差が出ることはイメージできるかと思います。
この差によって、思考してから始動までにかかる時間は人によって様々だと考えられるのです。
「完了」のタイミングを早めに意識する
ここまでで、動作をするためには、「思考」「始動」「完了」という課程を通っていることをお伝えしました。
そして、「動作を完了させるタイミング」も考えてみてほしいです。
ベーシックカーブを行った方はわかるかと思いますが、「沈み込み荷重」をするために脚部を曲げますよね。
曲げきるタイミングを「ピンポイントで、遅れることなく行う」ことはできますでしょうか。
例えで言いますと、
百発百中で、出勤時間や登校時間ギリギリの時間で到着することはできるのか
というのに近いです。
ギリギリですので、何かがあったら遅刻することでしょう。
動作も同じです。
そのため、「完了のタイミング」を合わせるためにも、自分自身は事前に動作を終わらせておくことを考えるべきだと思います。
この意識が結果的に、適切なタイミングに繋がってくると言えます。
動作のタイミングは技術レベルで変えていくべき
ここまでを簡単におさらいします。
↓(時間がかかる)
「始動」
↓(時間がかかる)
「完了」 ※実際の場所よりも早めを意識
と実際に動作が完了するまでに時間がかかることがわかります。
そして、思考や動作にかかる時間も人によって異なるということをお伝えしました。
と言うことは、やはり自分自身で動作のタイミングを考えるのが最終的には必要と言えます。
しかし、このように言われても、現実的にどのようにすれば良いのかわからないかと思います。
そこで、おおよその目安としてのターンの構成をお伝えします。
まずは、時間のターン構造をより細分化していきます。
時間の間に二本の線を付け加えてみましょう。
ここまで細かくしてタイミングを考えていきます。
なお、カービングターンは体感として、数十秒程度の速さですので、かなり早めの意識をしていくことをおすすめします。
そして、ここではバッジテスト・インストラクターの資格を参考にレベルを分けて考えます。
※資格=技術とは言い切れません。
あくまで指標として出しやすいのがこの分け方だったため、使っています。
ご了承くださいませ。
▼無資格・バッジテスト2級・1級・C級インストラクター
始動から完了まで・・・5メモリ分
総合・・・7メモリ分
▼B級・A級インストラクター
始動から完了まで・・・4メモリ分
総合・・・5メモリ分
あくまで目安でしかありませんが、このように早めの考えを持っておくと、適切なタイミングで「動作を完了」させやすいです。
なお、技術レベルが上がってきましたら、このメモリの感覚もどんどん狭まります。
最終的に「思考したタイミング」から「完了するまで」のタイムロスをなくせると、ターン中であっても思い通りに動くことができるでしょう。
簡単にポイントをお伝えしますと、「動作を完了させるためには、早めの思考、始動が必要ということ」です。
まとめ
実際にターンをして練習する際には、このように早めに思考を始めましょう。
早めに思考し、動作を始動させることで、結果的に適切に動くことができる可能性が上がります。
このように早めに思考することでスノーボードが上達しやすくなるかと思いますので、ぜひ活用してみてください。
なお、今回はJSBAの教程本を見てベーシックカーブ ロングの話をしました。
しかし、私の考えとしては、沈み込み荷重はもっと早めに動作を「完了しておきたい」と考えていますね。
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