今回は、カービングターンショートの中でも2軸のやり方について考えていきます。
1軸と2軸の違いは、「重心移動の方向」と言えるでしょう。
また、「ターンの横幅」も変わりやすい傾向にありますね。
なお、「1軸」と「2軸」の違いについては、以前の記事でカービングターンショートの攻略法を踏まえて記載していますので、よろしければ読んでみてください。
また、前回の記事では、1軸のやり方について書いていきました。
こちらの記事では、ノーズドロップのやり方から書いているので、ノーズドロップのことを知らない方は読んでみてください。
今回の記事でもノーズドロップを使ったショートターンから書いています。
なお、今回の2軸のショートターンに関しては、JSBAバッジテスト1級以降に種目としてあるベーシックカーブショートにも繋がりやすい内容としています。
前重心でノーズドロップからのショートターン
ノーズドロップのやり方は、主に「前に重心移動」「脚部の使用」の2つの方法がある、と前回の記事でお伝えしました。
今回は、2軸のショートターンとして、そのうちの「前に重心移動してノーズドロップする」方法を使っていきます。
先程もお伝えしましたが、ノーズドロップの基本的なやり方については、冒頭に貼り付けている「1軸のカービングターンショート」について書いている記事を読んでみてください。
それでは、重心移動でのノーズドロップを使ったショートターンの方法をお伝えしていきます。
ノーズドロップを利用したショートターン
※少し体のローテーションも意識
※お尻をヒールエッジ側に引き過ぎないように注意する
あとは、ターン、ブレーキングと繰り返していくだけです。
ショートターンのリズムにするためには、少し早め早めの動き出しを意識できると良いでしょう。
ちなみに「3.」のトゥサイドの前足の足首の曲げ方とひざの落とし方については、下記のGIFのようにつま先に近い位置にひざを落とすように動かしてみてください。
ひざを前に出すだけですと、板が立つだけでバランスが取りづらいのでご注意ください。
■ひざを前に出すだけの例
重心移動のノーズドロップが2軸のショートターンに繋がる理由
上記で板の上で前に重心移動するノーズドロップするショートターンの方法をお伝えしましたが、なぜこの方法が2軸のショートターンに繋がるのかをお伝えしておきます。
そもそも、2軸とは、カービングターン中における重心の位置がフォールラインを通して、左右に移動していくショートターンです。
少なからず板の進行方向と近い方向に重心を移動していくことが必要になってきます。
この2軸のショートターンの動きに近い動きを簡易的に体感しやすいのが、前重心に移動するノーズドロップというわけです。
ノーズドロップは、重心の位置をターンの内側に入れる動作を強く行わないため、上記のような図のイメージとなります。
このノーズドロップの重心移動に「体軸の傾き」をプラスしていくことで、2軸のショートターンの動きに近くなっていきます。
ということで、まずはノーズドロップのショートターンができるように練習してみることをおすすめします。
地味な練習に思うかもしれませんが、ゆっくりだからこそ一つ一つの動作の確認になります。
2軸のカービングターンショートのやり方
早速、カービングターンショートのやり方について話をしていきます。
やり方は様々ありますので、冒頭でもお伝えしたとおり、今回はバッジテスト1級やインストラクター検定のベーシックカーブショートにも繋がるやり方でご説明していきます。
2軸のイメージとしては、ロングターンやミドルターンをコンパクトに集約したものと考えるとよりイメージしやすいでしょう。
ただ、ここで紹介するやり方は検定向きの動きとしますので、スピードコントロールをするタイミングで動いています。
(トゥサイド)
※お尻をヒールエッジ側に引き過ぎないように注意する
(ヒールサイド)
上記の重心移動の方向について補足します。
上記のGIFではわかりづらいですが、ショートターンですので、板の軌道はロングターンやミドルターンよりも落下していく傾向にあります。
そもそも、板の軌道が落下していく、ということを頭に入れておきましょう。
この板の軌道とフォールラインの中間辺りに重心を移動していきます。
青いライン方向に、内傾していくイメージです。
また、重心移動をする際に注意していただきたいことがあります。
ターン後半で下に落とすような意識をしすぎると、ターン前半がとても少なくなってしまうことがあります。
あくまで、ターン前半を作るため、弧ができるライン取りをしていきましょう。
特にヒールサイドターンでは、ターン前半でズレやすいので注意が必要です。
トゥサイドターンのピーク付近でしっかりとエッジングして、ターン後半で板が曲がるように仕上げましょう。
トゥサイドの後半で板が曲がってくれば、前半で「テールを振り出す」ことや「角付けが弱い状態でのローテーション過多」にならなければ、ラインは弧を描く方向に進むかと思われます。
2軸のショートターンがベーシックカーブショートに繋がる理由
先程ご紹介した2軸のカービングターンショートがベーシックカーブショートに繋がる理由についてもお伝えします。
2軸による「時間」がベーシックカーブショートをしやすくする
まず、ベーシックカーブショート自体は、立ち上がりと沈み込みの運動を伴います。
この運動をすることを考えますと、身長や骨格、体格にもよりますが、ある程度の「時間」が必要になります。
この「時間」を作ることを考えると、ターンの横幅を作ることが比較的簡単な方法と考えています。
当然、横幅を作れば、動くための時間は作りやすく、少しゆっくり動いたとしても適切な運動がしやすいです。
このことを考えますと、2軸のショートターンの方がベーシックの運動要素がしやすい、と言えるでしょう。
なお、1軸でもベーシックカーブショートはできます。
ただし、短い時間の中で運動する必要があるため、動きを的確にかつコンパクトに集約する必要があるので、高い技術レベルが求められます。
一つ一つの運動をしっかりと見せることを考えるのであれば、2軸で行うことをおすすめします。
前足の使い方
上記の2軸のカービングターンショートの切り替えの動きで、「トゥサイドは足首を曲げつつひざを落とす」「ヒールサイドはひざを外側に回旋する」とお伝えしました。
この他にも様々な前足の使い方はあるのものの、この方法で説明した理由は、後のベーシックカーブショートへ繋がるための方法として考えたからです。
まず、トゥサイドで足首を曲げつつひざを落とす理由については、後半に向けて板が立っていくようにするためです。
そもそも、トゥサイドは板を立てやすいという特徴があるため、つま先を伸ばすようにすると板を立てすぎてしまう傾向にあります。
そして、ベーシックの沈み込みのストロークでは、板が寝やすい傾向にあります。
上記のように前半で板が立っている状態を作った後に沈み込みのストロークをしますと、ターン後半に板が寝てしまうことで、バランスを崩しやすいと言えるのです。
このような不適切な動きを避けるために、前半では無理に板を立てる動作を強くするのではなく、後半にかけて板を立てていくための前足の使い方を考えています。
次にヒールサイドです。
ふくらはぎでハイバックを押す意識よりも、ひざの外旋を使っている理由を書きます。
ヒールサイドは板が立ちづらいという特徴があります。
そのため、トゥサイドとは逆に、前足で板を立たせる動きをすることを考えています。
体の傾きを伴っていくことが条件ですが、ひざを外側に回旋させることで、板を立てることができます。
なお、ハイバックを押す意識をしても板を立てることは可能です。
ただ、ハイバックを押す意識をしてしまうと、前足が伸びてしまいやすいため、板の上にある重心の位置が後ろに行きやすいです。
このことを理解して体を動かせる技術レベルの高い方であれば、前重心に動きつつ対応できるかと思います。
しかし、多くの方は無意識のうちにポジションが後ろに行ってしまうでしょう。
その点、ひざを外側に回旋させる動きの場合は、ひざを曲げることも可能です。
前のひざを曲げるということは、ポジションを前に移動することも比較的簡単にできます。
このことを考えて、前足はひざの回旋を使うことをおすすめしました。
今後、バッジテスト1級のベーシックカーブショートも練習することを考えている方は、このようなショートターンの仕方があることを覚えておいてほしいですね。
まとめ
今回は、検定用のカービングターンショートとして、2軸のやり方をお伝えしました。
1級やインストラクター実技検定の合をも目指している方は、先を見越してこのようなショートターンの仕方をしてみてはいかがでしょうか。
なお、加速させる場合は、時間で言うところの「3時」「9時」のタイミングで、エッジングをしつつ外側に脚部を伸ばすようにすると、板に圧が加わりやすいです。
このように加速させることを考えるのであれば、脚部の曲げるストロークは必要はありません。
板がたわむことでしっかりと曲がり、板が曲がるタイミングで重心移動の切り替えをすると、板のたわみが解放されて加速するような動きになります。
このようにタイミングや力の加え方を工夫することで、加速するターンにも応用ができます。
まずは、基本的な動きをしっかりと覚えて、自身の求めているターンに応用させてみてはいかがでしょうか。
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