JSBAのスノーボードバッジテスト2級の種目の中に「カービングターンショート」が含まれています。
実際にバッジテスト2級を受けられた方は、このカービングターンショートの難しさを体感しているのではないでしょうか。
恐らく、このショートターンの種目の影響で合格できていない方もいるかと思います。
そこで、カービングターンショートで注目すべきポイントをお伝えしていきます。
スノーボードバッジテスト2級攻略!カービングターンショートは落差が必要
カービングターンショートは、スライドターンと異なり、スピードが出やすいです。
そのため、「スピードをコントロールするために細かくターンをしよう」と考えている方もいるでしょう。
スノーボードの動画やDVDなどで上手い人を見ると、リズムが早く、細かくターンをしているように見えるかと思います。
しかし、実際に滑っている感覚としては、細かく滑ろうとは思っていない方がほとんどでしょう。
細かく見えるのは、「あくまで結果的になっているもの」なのです。
実際には、ある程度「縦に落差を取って滑っている」ことが多いでしょう。
板には、「サイドカーブ」という、板自体が持つ半径が性能として備わっています。
短いサイズでも「7m」程度の半径を持っていることもあるため、実際にはかなり大きめのターン弧を作ることになります。
と言うことで、細かく滑るということは、とてつもなく半径が小さい板でなければ、細かくフルカービングをすることはできません。
恐らく上級者の方のカッコイイ滑りは、フルカービングなくとも、そこまで大きくズラしているようには見えないかと思います。
ということは、板の性能から考えても、上級者の方々はしっかりと落差を伴っているという言えます。
縦に落差を取ることにより、板に負荷をかける時間を作ることで板をたわませて曲げ、結果的に細かく見えるということです。
そして、たわんだ板の反発(バネのような跳ね返りのイメージ)を利用して、切り替えをしやすくすることで瞬間的に速く滑っている方もいるでしょう。
ただ、このように板をたわませて反発を使うのは、上級者ができる技術です。
とても難しいことですので、すぐには同じような滑りはできないかと思います。
しかし、落差をしっかりと作ることで、テールスイングやバランスの悪いターンになりずらいので、まずは「焦らずに落差をしっかりと作る」ことを意識することをおすすめします。
落差を作ることで、意外にカービングターンができ、板が曲がってくる感覚がわかるかもしれませんよ。
バッジテストのショートターンの横幅は思っているよりも広めで良い
ここでは、ショートターンの幅について考えてみましょう。
バッジテストのショートターンの横幅は、「2~4m」程度と考えられることが多いです。
ちょっと話が反れますが、まずは1級のベーシックカーブショートから触れます。
ベーシックカーブショート(上下運動を使ったターン)の場合は、上下運動という動きをしなければいけません。
そのため、横幅を広めに取ることが必要であり、「4m」程度の幅を使うという考えもあります。
※板にしっかりと荷重ができれば「4m」にする必要はありません。
ベーシックカーブショートでは、このような考えもあります。
それでは、カービングターンショートではいかがでしょうか。
当然、大きな運動を行わなくても大丈夫ですので、横幅は狭めでも大丈夫です。
そして、ターンの横幅に関しては、1軸と2軸で幅のイメージは変わります。
1軸の場合は「2~3m」程度、2軸の場合は「3~4m」程度で滑るケースが多いでしょう。
そして、横幅を取ることでスピードコントロールになります。
バッジテストであれば、上記の幅の中でも広めにターンすることで安定して滑りやすいとも言えるでしょう。
ただ、コントロールしようと考え過ぎて、減速し過ぎてしまうと印象が良くありません。
ある程度の横幅を作るのと合わせて、落下させる(縦幅を作る)ようにするとカービングショートがしやすくなりますよ。
カービングショートターンでもスピードコントロールが重要
カービングショートターンは、カービングターンということから、ガンガンに切っていくことを考えるかと思います。
キレがあることは間違えではありません。
ただ、カービングターンは、全くズレないのがカービングターンではないので、間違えないようにしましょう。
実際のカービングターンはズレを伴っており、意図的にズラすこともあります。
そして、ズレのないターンを意識してしまうと、スピードが出てしまうため、コントロールができずに暴走してしまいます。
暴走してしまうと点は出づらいので、コントロールできる範囲にスピードを調整することがポイントです。
また、ズレのないターンだからと、エッジの切り替えで滑る方もいますが、この場合も点数は出づらいので、ご注意ください。
あくまでターン弧ができており、しっかりとコントロールできる範囲で滑ることが重要です。
上手くエッジングを利用して、スピードコントロールしていきましょう。
エッジングの一つ、ブレーキングのやり方
カービングターンショートでは、エッジングが重要な要素になってきます。
そもそも、エッジングとは、エッジを雪面に立てて板に抵抗を与えることです。
このエッジングのやり方は様々ありますが、簡単に行う方法は、ブレーキングです。
ブレーキングを利用してスピードコントロールすることを考えていきましょう。
それでは、このブレーキングの動きについてお伝えしていきます。
※実際にカービングショートで使うブレーキングは、停止動作ではなく、減速要素のあるエッジングです。
まずは停止動作としての、ブレーキングからお伝えします。
ブレーキングは、「強いブレーキを行うための動作」ですので、板を立てて負荷をかける動作をしていきます。
■ヒールサイドのブレーキング
※「2.」で、完全に板方向に近づくと、板は立ちにくいです。
そのため、お尻を雪面に近づけるように行いましょう。
■トゥサイドのブレーキング
※「2,」でひざを雪面に近づけるとき、お尻を板方向に引きすぎてしまうと、板が寝るので注意してください。
また、「2,」で、足首を曲げるとき、スネをブーツのタンに押し当てて曲げていきます。
その際に、ひざを前に出すように曲げるのではなく、ひざをつま先に近いところに曲げていくようにすることで、「母指球」という親指の付け根付近に力が加わりやすいです。
▼ひざを前に出すパターン【間違い例】
※板を立てるだけのため、エッジ付近への力が弱い
▼ひざをつま先に近いところに曲げて落としていくパターン【正しい例】
※ブーツのタンをスネで押し当てて足首が曲げることで、板に圧がかかりながら立っていく
エッジングを駆使した切り替え
ブレーキングについて把握したところで、実際にターン中にブレーキングすることも考えてみましょう。
そして、ここでは一歩踏み込んでブレーキングによるエッジングを利用して、切り替えもしていきます。
まずは、停止動作としてのブレーキングから体感してみてください。
なお、雪面の反力を活かすため、斜度が15度以上あるところで試すことをおすすめします。
※ターンのサイズは小さめにし、ターン弧を描くように行いましょう。
ターンはズレても問題ありません。
■ヒールサイドターンからのブレーキング
※「3.」のときに、ブレーキングをすることで足場を作っているため、斜面側に切り替えるように動くことが可能
■トゥサイドターンからのブレーキング
※「3.」のときに目線を先行する意識を持つ理由は、ヒールサイドで体が遅れないようにするため
■ブレーキングのタイミングを早める
上記のやり方はターン後半に行っているので、停止動作になってしまいます。
このままでは、スピード感がないため、合格点が出ない可能性もあります。
そこで、このブレーキングのタイミングを早めてみましょう。
時間で言いますと、トゥサイドが「3時を過ぎた辺りから5時」、ヒールサイドが「9時を過ぎた辺りから7時」にブレーキングを行います。
恐らく、この意識をして実際に行っても、少し遅れてしまうことでしょう。
そのため、思っているよりも早めのタイミングでブレーキングできるように意識することをおすすめします。
このタイミングで上手くエッジングができたら、外力で板がたわむことで曲がってきて、スピード感も得られやすいです。
※カービングターン中に、急激に強くて速いエッジングをしてしまうと、吹っ飛ぶことがあるので、徐々に強くしてちょうど良い強さを見つけてください。
▼ヒールサイド
▼トゥサイド
このようにエッジングのタイミングを早めると、反動を使って切り替えられやすいため、スムーズにターンが繋げられやすいです。
バッジテストのカービングターンショートは1軸と2軸はどちらが良い?
バッジテスト対策用にスノーボードスクールに受講したことのある方は、1軸と2軸という言葉を聞いたことがあるかもしれませんね。
知らない方もいるかもしれませんので、この1軸と2軸の違いからお伝えしていきます。
・1軸のショートターン・・・
重心の位置をフォールラインと同じ位置で滑るショートターン
脚部(腰より下)が動いているように見えるケースが多い
・2軸のショートターン・・・
重心の位置をフォールラインから外れて、左右に移動するショートターン
上半身も傾きを作り、1軸よりも幅ができやすい
簡単にお伝えしますと、重心位置の移動が大きいか、小さいかの違いがあります。
よく「どちらが良いの?」という話を聞きますが、自分自身がやりやすい方をチョイスするのが良いかと思います。
例えば、
・前足を上手く使えて、ズレを上手く使えるのであれば1軸
・板を立ててたわみで反発を利用したいのであれば2軸
という考え方もあります。
板が短ければ1軸、長ければ2軸という考えもアリでしょう。
このように自身の特性を利用したターンを目指すのが良いかと思います。
カービングターンショートはリズムが重要!バッジテストで好印象
バッジテスト2級のカービングターンショートの合格点を出すのであれば、リズムを気にすることをおすすめします。
しかし、実際にはリズムに関する着眼点にはありません。
それでは、なぜリズムを気にするのが良いのでしょうか。
その理由は、リズムを取れているということは、「適切に動けている」という証明になりやすいからです。
そして、見栄えが良いため、とても印象が良くなります。
ただし、リズムだけが良いからと言って合格点が出るわけではありません。
暴走してしまっていたり、カービングターンになっていない場合は点数が出ないので、基本的な技術は必要です。
それでは、リズムを取るためのポイントです。
■1軸のリズム
「タン、タン、」のリズムで滑ってみましょう。
「タン」でブレーキングをし、「、(小休止)」で切り替えてからターンをしていくことでリズムがつくりやすいです。
■2軸のリズム
「12、12、」のリズムで滑ってみましょう。
「1」で体軸の傾き、「2」でブレーキング、「、(小休止)」で切り替えていくことでリズムがつくりやすいです。
2軸の方がターンの横幅が必要になりますので、それに合わせたリズムです。
この他にも、リズムの作り方は色々とありますので、自身で考えて試してみるのも良いですよ。
■前手でリズムを作る
前の手を∞の字を描くように動かしてきます。
このようにすることでリズムが作りやすいです。
なお、ただ前の手を動かすだけの意識だと不自然になりがちですので、動かす理由を考えましょう。
ターン前半で手を下げる理由は、重心位置をターン内側に入れやすくしています。
ターン後半で手を少し上げる理由は、重心位置を高くして、切り替えをしやすくするためです。
2軸での場合は、前の手を下げてリーン(体の傾き)、前の手を上げてリーンアウト(傾きに対して起こす動き)をしていく意識もしやすくなるでしょう。
このように前の手を動かす理由をつけて、リズムの取ってみてはいかがでしょうか。
バッジテストではフォールラインを守るべし!
フォールラインとは、「斜面に落下していく方向」のことです。
もう少しわかりやすく書きますと、「斜面にボールを置いたときにまっすぐに落ちていくライン」のことです。
ただし、検定バーンが片斜面(片方が上がっていて、片方が下がっている斜めに傾いている斜面)になっていることもあります。
そのため、フォールラインの考え方を少し変えてみましょう。
「自身の立ち位置からゴールエリアまでまっすぐ引いた線」を意識してみてください。
自身の立ち位置からまっすぐ滑ってきたら、印象が良く点が出やすいでしょう。
フォールラインに合わせて滑るポイントは、
・2軸は、ゴール地点から大きく目線を外さない程度に斜めに目線を動かしていく
と「目線」がとても重要なポイントです。
ゴールが見えるようにしておくことで、自身がどのラインを滑っているのか比較的把握しやすいです。
フォールラインがズレないように、目線を意識してみましょう。
まとめ
今回は、細かめにカービングターンショートに対して重要な点を書きました。
重要なポイントをまとめると下記の通りです。
・ブレーキングと切り替え
・リズムを気にする
・フォールラインを守る
この点を気にしてみると点が出やすいでしょう。
縦幅と横幅を意識することで、ブレーキングで得られる外力が大きくなり、効率良くターンができます。
そして、ブレーキングをして切り替えることで、リズムができます。
リズムを作ることで、フォールラインが崩れにくくなります。
このように一つ一つの動作はつながっています。
最初から全てを行おうと考えずに、一つ一つの動作の練習をして、つなげるようにすると上達も早いですよ。
バッジテスト2級全体の対策法については、下記の記事にて紹介していますので、2級を受ける方はぜひ読んでみてください。
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