以前にエッジのチューンナップ道具について紹介しましたので、今回は実際にチューンナップをどのようにしているのかをお伝えしていきます。
どんな道具を使うのかを知りたい方は、まず下記の記事から読んでみてください。
以前に紹介した道具を元にスノボ学流のチューンナップ方法を紹介します。
筆者はチューンナップのプロではありませんが、数年間やり方を模索しつつできるようになった方法をお伝えします。
この研ぎ方でエッジの角をしっかりと立てることができており、ピスラボやプラスノーなどのサマーゲレンデを楽しく滑っています。
よろしければ参考にしてみてください!
※エッジは刃物のようになっているので、エッジを研ぐときや研いだ後の板を持つときなど、怪我には十分にご注意ください。
ベースエッジとサイドエッジを知ろう
まずは、エッジのことを知っておきましょう。
エッジは基本的にベースエッジとサイドエッジが存在します。
ソール側に面しているエッジが「ベースエッジ」。
ベースエッジに対して横に面しているのが「サイドエッジ」。
このベースエッジとサイドエッジの合わさる角を立てることで、しっかりと雪やブラシに引っ掛かります。
そして、このエッジの角の角度を変えることによって滑りやすさが変化します。
ベースエッジとサイドエッジの角度を変えたときの効果
ベースエッジとサイドエッジは、角度を変えるとそれぞれ違った効果を得られます。
ベースエッジの角度による効果
まず、ベースエッジの角度の効果についてです。
ベースエッジの角度は、コントロール性能に関わってきます。
ベースエッジの角度を落とすと、意図的にズラしやすくなります。
引っ掛かりが少なくなるため、板をズラしたり、面での操作をしたい方は、ベースエッジの角度をつけるといいでしょう。
逆にベースエッジの角度が0度に近いと、板を立て始めたときにすぐに雪面に引っ掛かります。
そのため、早いタイミングでグリップさせたい方にはベースエッジ0度に近い角度がいいでしょう。
ただし、逆エッジなどになりやすいので、基本的にはベースエッジの角度は少しでも落としたほうが良いと考えています。
ちなみにベースエッジの角度は、0.5度刻みに角度をつけられます。
カービングメインで一般的に多いのが、0.5度〜1度の角度を落とすパターンです。
他にグラトリやジブなどでは、1度〜1.5度の角度を落とすパターンもあります。
操作性とエッジの引っ掛かるタイミングのバランスを考えて、自分の好みの角度にするといいでしょう。
・0.5度刻みに調整できる
・カービングメインは0.5度~1度、グラトリやジブメインは1度~1.5度が多い
・ベースエッジの角度が0度に近い程コントロールがシビア、角度を落とすと操作しやすくなる
サイドエッジの角度による効果
次にサイドエッジの角度の効果です。
サイドエッジの角度をきつくしていくと、グリップ力が強くなります。
そして、その効果を感じやすいのは、アイスバーンやサマーゲレンデという状況下です。
ただし、角度をきつくしていくにつれて、角が丸くなるのが早くなるというデメリットがあります。
ちなみにサイドエッジは1度刻みに角度をつけるのが一般的です。
お店によっては、0.5度の調整もできるところもありますが、市販で売っているガイドは90度、89度、88度、87度…と1度刻みになっています。
なお、スノーボードのカービングメインの方は、89度や88度にする方が多いです。
・1度刻みに調整できる
・カービングメインは89度や88度が多い
・サイドエッジの角度をきつくすると、グリップ力が上がる
・角度をきつくすると、角が丸まりやすくなる
サマーゲレンデを楽しむためのエッジの角度
正直言って、好みです。
ただ、ベースエッジは1度落としておくことをおすすめします。
サマーゲレンデの中でも特にピスラボは、エッジが引っかかるタイミングが早いです。
そのため、0度だと操作しにくく、変なタイミングでターンが始まりやすいです。
このような不意なエッジングを避けるためにも、ベースエッジは1度落としておくことをおすすめします。
サイドエッジは、グリップ力の強さで考えるといいと考えています。
板を立ててズレないようにしたいなら88度にすることで、グリップ力を強く感じと思います。
板を操作して乗りたいのであれば89度にすることで、必要な量グリップさせつつも板を操作しやすいかと思います。
なお、丸沼高原スキー場のサマーゲレンデはスノーエースというブラシを採用しており、ズラしやすい分、ズレやすいという特徴があります。
そのため、不意にズレにくくするためにもサイドエッジを88度以上に角度をつけることをおすすめします。
ちなみに、スキーヤーの場合は、よりサイドエッジの角度をきつくする傾向にあり、86度などの角度にすることもあるようです。
・おすすめはベースエッジを1度落とす
・サイドエッジは、板を立てるか(88度)、立て過ぎないか(89度)で角度を決める
・丸沼高原スキー場は、サイドエッジ88度以上に角度をつけることをおすすめ
・スキーヤーは、サイドエッジの角度をよりきつくする傾向にある
自分でチューンナップするのはサイドエッジ
エッジを研ぐ際は、基本サイドエッジのみにしておくことをおすすめします。
ベースエッジを研ぐのは難しく、角度を変え過ぎた後の修正は自分ではできません。
修正する場合は、チューンナップショップにソールを削る「サンディング」を依頼する必要があります。
ベースエッジ側はソールと面しており、「滑る」ことに関わる大事なところですので、むやみに自分でエッジを触るのは避けたほうがいいでしょう。
その点、サイドエッジは自身で角度を変えることができる部分です。
角度をつけすぎた場合も、最悪エッジを大きく削れば角度を戻すことも可能です。
このことから、自身でチューンナップするならサイドエッジのみをチューンすることをおすすめします。
なお、ベースエッジの角度を一度作っておけば、エッジの角を立たせるのはサイドエッジを研ぐだけで大丈夫です。
サイドエッジの研ぎ方|ボーダーカッター
それでは、サイドエッジの研ぎ方をお伝えしていきます。
動画でやり方が見たい方は、下記の動画にてやり方を説明しています。
拙い説明でわかりづらいところもありますが、ご了承くださいませ。
それでは、下記では文章にて説明していきます。
※バイス(板を立てかける道具)やチューン道具の説明に関しては、以前の道具の紹介記事(概要説明に貼り付けているリンク記事)にて書いているため割愛します。
まずは、ボーダーカッターの使い方です。
筆者が使っているボーダーカッターで説明します。
1.ボーダーカッターの刃の奥行きを決める
刃の場所は、ボーダー(エッジとサイドウォールの間の金属)に当たる位置に調整します。
2.刃を少し斜め(刃の角が当たるよう)にして固定
3.刃の高さを調整(刃が当たるか、当たらないかの位置)
4.ボーダーカッターを持つ
5.ボーダーカッターをソール側から押し当てて引く
ソール側からしっかりと押しつけて、親指で刃がズレない程度に押さえておきます。
下に力を掛け過ぎないようにして、ボーダーカッターを「引く方向」に力を入れます。
※削った跡がガタガタするときは、下に押さえつける力が強すぎるか、高さが合っていない可能性があります。
6.ボーダーカッターの刃の位置を調整してボーダーとサイドウォールを削る
7.エッジよりボーダーが低くなるぐらいまで削る
8.ボーダーカッターの奥行きをサイドウォールの削れていない出っ張りに合わせて削る
ここまで削れたら、ボーダーカッターのパートは完了です。
なお、ボーダーを削ったときに、サイドウォールの硬さによってはガタガタしてしまうこともあるかと思います。
多少のガタガタは、そこまで気にしなくとも大丈夫と言えるでしょう。
サイドエッジの研ぎ方|エッジ研磨(サマーゲレンデ)
ボーダーとサイドウォールを必要な分削ったら、次は遂にエッジ研磨です。
ここで使う道具が、ファイル、ガイド、クランプです。
簡易的なエッジシャープナーの場合は、単体のみでOKです。
ここではガイドを用いた場合のチューンナップのやり方を説明していきます。
なお、簡易的なエッジシャープナーの場合も、やり方は基本一緒です。
まずは、サマーゲレンデの場合のやり方をお伝えします。
※まだ慣れていない方は、最初に油性マジックでエッジを塗ってから削るようにすると、削れている場所がわかりやすいです。
また、エッジに汚れや水分が付いているときは、タオルなどで拭き取ることをおすすめします。
ファイルの目詰まりや、錆を防ぐために拭き取ります。
1.ファイルとガイドとクランプを組み合わる
ファイルを斜めに取り付ける理由は、一度にエッジの削れる量を少なくするためと、ファイルの寿命を長く持たせるためです。
なお、エッジの角度を変えるときは、波目ファイル→粗目もしくは中目ファイルの順番に削ります。
エッジの角度を変えずに角を立てるだけなら、粗目もしくは中目のどちらかのファイルのみで大丈夫です。
2.ガイドを持つ
3.ソール側から押し当てて、少しづつ引いていく
ソール側からしっかりと押しつけて、親指で刃がズレない程度に押さえておきます。
下に力を掛け過ぎないようにして、ファイルを「引く方向」に力を入れます。
また、全体が均等に削れるように、削る回数は同じ回数になるようにしましょう。
4.エッジの状態を確認
ソール側からエッジを手でなぞるようにして、エッジの角が立っているか確認します。
手で触って角が立っているか分からない方は、指の爪の表面をエッジに当ててなぞれば薄く爪が削れます。
ここでは、波目ファイルと粗目ファイルのみを使っているため、バリが少し出てしまいますが、サマーゲレンデでは問題ないと考えています。
※バリとは、荒く削ったエッジのトゲトゲのこと。
筆者は、逆に多少のバリがあることでしっかりとエッジが噛むので、そのまま滑っています。
サイドエッジの研ぎ方|エッジ研磨(雪の場合)
冬の場合は、基本的にバリを無くしていきます。
理由は、バリがあることで雪面に引っ掛かりを感じるからです。
ただ、あまりシビアに考えなくても良いのであれば、先程のサマーゲレンデでのエッジ研磨のやり方だけで冬も滑って問題はありません。
感覚が敏感な方でなければ、バリが少しあってもそこまで大きな引っ掛かりは感じないと思います。
しかし、少しのバリも気になる方や、引っ掛かりを最小限にしたい方もいるでしょう。
そういった方のために、雪で使用するときのサイドエッジ研磨のやり方をお伝えします。
なお、先程のサマーゲレンデ用のサイドエッジ研磨の続きになります。
1.サマーゲレンデ用と同じようにエッジを研磨する
2.粗め→中目→細目のファイルを順番に、ガイドにセットしてサイドエッジを研いでいく
3.ダイヤモンドファイルで、ベースエッジのエッジの面に当てて、ズレないように引いてバリを取っていく
4.サイドエッジもエッジの面に当てて、ズレないように引いてバリを取っていく
※ダイヤモンドファイルを使う際は、水で濡らしてから研ぐようにしたほうが良いようです。
また、手で面に当てるのが心配な方は、ガイドにセットして研ぐいいでしょう。
これでバリがほとんど無くなり、引っ掛かりが少なくなり、雪で快適に滑れるでしょう。
まとめ
今回のチューンナップ方法はあくまで筆者のやり方です。
もし、しっかりとしたチューンナップをしたいのであれば、お店に依頼するのが間違いないでしょう。
ただ、サマーゲレンデの場合はエッジを研磨してくれるところがなかったり、研磨するにも料金がかかります。
このことを考えると、自分でエッジを削れるようにできたほうがエッジのことも知れる上に、最終的にコストパフォーマンスは良いと言えます。
また、アイスバーンにもサイドエッジチューンナップは絶大な効果を発揮しますので、アイスバーンになりやすいスキー場をメインにしている方にも、自分で研げるようになることはとてもおすすめできます。
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